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区議会質問
第16号議案 財産の無償譲渡について 反対討論(小林ひろみ)
2014/3/24

 私は、日本共産党区議団を代表し、ただ今議題となっております第16号議案 財産の無償譲渡について の可決に反対の立場から討論いたします。

 本議案は、旧区立特別養護老人ホーム(山吹の里、アトリエ村、風かおる里、菊かおる園)について、それぞれを運営する社会福祉法人に当該施設の建物等を無償譲渡するために提案されたものです。

 区は、無償譲渡の目的は、社会福祉法人に建物等を無償譲渡することにより、将来を見据えた施設運営を可能にさせ、安定したサービス提供体制を整えさせることで、良質な介護保険サービスを提供できるようにするとしています。その他、施設運営に自由度及び効率性が高まり一層の創意工夫が生かされるとか、建物修繕や設備の導入等にあたって、法人の自主的な判断で実施することができる、一層のサービス向上につなげることができる等としています。
 無償譲渡する建物の建築年次は、山吹の里は1989年、アトリエ村は1994年、風かおる里は1996年、菊かおる園は1999年と、すべて介護保険が始まる前に区が直接建てたものです。また、無償譲渡する建物の底地については、定期借地権契約による有償貸付を行うとしています。今後は、経営支援補助金を創設し、@土地賃料支払額の70%を補助する、A建物無償譲渡後10年間の間に施設の改修等で、一時的に多額の支出が発生した場合には一定の補助を行うとしています。

 第一の理由は、運営する社会福祉法人の負担が増えることです。
 賃料の補助をうけても、たとえば山吹の里で年間168万9000円とか、アトリエ村では229万7000円とかの金額を区に払わねばなりません。また今後法人が改修のため多額の支出が発生した場合、いわゆる大規模改修のときには、本来東京都からなされる補助が、無償譲渡後10年間はうけられないため、区が東京都の補助より少し上乗せをして補助をするというものです。
 つまり、法人にとってはこれまで、土地も建物も無料でかりて、大規模改修については区の費用でやっていたのに、今後は建物の改修は一部区からの補助はあるにせよ基本的に法人の負担となり法人の負担が増え、また土地の賃借料も軽減されるものの支払うことになり、これまた負担が増えるのです。

 第二は、介護をとりまく状況が大変厳しいのに、それを支えるべき豊島区が責任を放棄しているからです。
 現在区内の社会福祉法人が介護職員初任者研修を実施し、終了後その法人に就職すれば後で受講料の一部や全額を補助する形で、職員確保をしている状況があります。介護の現場では夜勤があるなど仕事が大変なわりに低賃金なことなどから人手不足で困っているのです。また事業団の経営する施設でも職員がくるくる変わっているのであります。これらは入所者へのサービスの低下につながります。これまでも、胃ろうなど医療的な手当が必要な方は、事実上特養には入れない事態になっています。元々は区立特養であったのですから、法人に負担を押し付けるのではなく余裕があるなら少しでも困っている区民が入所でき、必要な介護が受けられるようたとえば職員の態勢や処遇改善ができるよう支援するのが当然であり、区はそれを支援するのが役割ではありませんか。ところがこれに対し、理事者は、「もともと区立だからではなく今後の高齢化にどう対応するかという観点で検討していく課題」として、区の責任を放棄したのであります。

 第三は、区民の財産が今後どうなるのか、不明なまま譲渡しようとしていることです。
 当該建物は、介護保険開始前に区が建設してきたもので、まさに区民の財産であります。これが、社会福祉法人に無償譲渡されても、これまでどおり区民のための施設になるのか、勝手に売却したり、用途を変えてしまうことがないのか、さらには法人が解散、合併などした場合どうなるのか、という観点の質問が与党の会派からもなされました。
 あいまいな答弁が多く、また、「覚書や借地権契約についても議決してから細目はきめていく」というもので、まったく無責任です。そこで資料要求したところ、休憩後に出されたのは、参考資料としての旧中央図書館での特養建設にかかる法人との借地権の契約書と、急いで作成した、契約書で担保する事項と覚書で担保する事項を箇条書きにしたものだけでした。また覚書で担保する事項として「合併等で変更をしようとするときには、区の承認を受ける」「特養ホームの入居に関しては区民を優先する」をあげていますが、これらには強制力はありません。

 以上、本議案は、旧区立特養ホームの建物の無償譲渡により、本来豊島区がおこなうべき責任を放棄し、区民サービスを低下させることにつながるものであり、可決に反対します。