HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
 
池袋運輸区構内堀内人道橋撤去工事委託契約についての反対討論(森とおる議員)

【討論(どんどん橋)】
 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第28号議案「池袋運輸区構内堀之内人道橋撤去工事委託契約について」、可決に反対の立場から討論をおこないます。

 本議案は、堀之内人道橋、通称どんどん橋の撤去工事を行うために、JR東日本と契約するというものです。その内容は随意契約で金額407,829千円、履行期限は2010年3月末日として議会の議決を求めるものです。
 どんどん橋は、上池袋と池袋本町の往来に重要であり、通勤、通学や買い物、家族づれや犬の散歩、子供たちが橋の上から大好きな電車を見て喜ぶ光景など、地域の生活にとって無くてはならない大切な存在です。どんどん橋は老朽化が進んでいるため、区は架け替えするために土地を購入し、その計画図面を示していました。また、架け替えを前提として改修工事も行ってきませんでした。このような経過があったことで、地域住民は、いずれどんどん橋は架け替えられるものと信じていました。
 区は、一昨年の12月に上池袋と池袋本町で、3回の撤去説明会を行いました。その内容は、撤去のみの説明だけで、架け替え案や代替案が示されないものであり、参加者からは続々と反対意見が相次ぎました。これは当然のことです。その後、上池袋と池袋本町において、代替案を要望する署名活動が始まり、多くの署名と共に陳情が議会に提出され、全会一致で採択されました。
 
 本議案に反対する第一の理由は、代替施設建設が、まだ具体化されていないにもかかわらず、どんどん橋を撤去する内容だからです。
 地域住民は、少なくとも代替施設建設計画が具体化されれば、撤去工事を容認できるとしているのです。区の計画は代替施設として2011年か2012年には堀之内踏切に立体横断施設を建設するとしています。議案が審査された総務委員会で、私が「実現性が確実になる時点」を質したところ、区は「最も重要なのは土地が確保できた時点」と答弁しました。その時期は早くて今年の6月くらいになるとのことです。現時点では全く、その土地の確保が保証されていないのです。土地が確保できていないのに撤去工事を決定するなど、まさに陳情者や地域住民の願いを裏切る行為にほかなりません。どんどん橋の重要性は区も認めていながら、撤去ありきの姿勢が一向に改まっていないのです。土地の確保ができていない以上、撤去工事を決定するなど到底認められません。
 区は橋の老朽化が進んでいることの危険性を殊更強調します。そうであるならば、これまでろくに改修を行ってこなかったことを反省すべきです。手立てが無かったなど言い訳にすぎません。
 
 第二の理由は、契約内容そのものに問題があるからです。
 その問題の1つめは、どんどん橋の池袋本町側が残り、撤去されないということです。区は総務委員会の冒頭の説明で、あたかも本契約は、どんどん橋全ての撤去工事契約であるかのごとく説明を行いました。ところが私の質問で、上池袋側からJRに関わる部分のみであり、池袋本町側から東武鉄道に関わる部分については撤去工事が決まっておらず、その部分の金額については含まれていないことが判明しました。このことは、契約が履行されたとしても、池袋本町から東武鉄道部分の橋は残ったままということであり重大問題です。誰が見ても合理性の無い契約にもかかわらず、議会の承認を得るなどもってのほかです。あまりにも時期尚早です。JR東日本、東武鉄道との協議を整え、一体の工事契約とした上で議案とすべきです。区はどんどん橋が老朽化し危険だからと言いますが、池袋本町側の撤去工事のめどが立っていない以上、それは全く理由になりません。
 さらにこのような重大問題が、議案書にも資料にも説明が無く、私が質問しなければ、区は事実を明らかにしなかったということも看過できません。
 
 契約内容の2つめは、お金の問題です。今回の契約は入札ではなく随意契約となった理由について、区は鉄道敷地内の工事であるという特殊性は説明しましたが、契約金額407,829千円の提示については、明確な根拠を示すことはできませんでした。これでは、JRの言い値の契約ではないかと言われても仕方がありません。また、一つの橋の撤去工事を二つの契約に分けることは、契約の手続き面においても、実際の撤去工事の作業面においても、様々な無駄が生じて金額が割高になります。この点を私が質したところ区は「金額が割高になる」と認めざるを得ませんでした。契約を一本にまとめれば、かかる費用が少なく済むことは明白です。この手法は、税金の無駄遣い以外の何物でもありません。

 これまで述べてきましたように、あまりにも異様なやり方で、区民を無視しています。まず早急に代替施設建設を具体化させること。次に撤去工事を一本化すること。その上で区民に対して説明を行う。これが区民から求められているやり方です。
 撤去工事計画は今に始まったことではありません。架け替えや代替施設建設を信じていた地域住民を無視して区は少なくとも一昨年前から進めていたことです。代替施設計画は具体化していない、JR東日本に橋全体の撤去工事を依頼していたにもかかわらず、東武鉄道との協議が不調のままで、JR東日本から「JR部分しか工事ができません。東武鉄道部分の橋は残りますが、契約を」と言われ、「はい早速議会に諮ります」では、とても納得できるものではありません。

 最後に総務委員会における各会派の態度について一言触れます。自民、公明、民主はいずれも一様に、どんどん橋の老朽化を理由に「危険だから仕方が無い」といった態度で可決に賛成を表明しました。これは、どんどん橋撤去に代替案の策定を要請する陳情を採択した態度に反するものであり、地域住民の願いを裏切るものであります。

 以上、反対理由を述べてきましたとおり、第28号議案「池袋運輸区構内堀之内人道橋撤去工事委託契約について」、可決に反対します。
 討論を終わります。