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区議会質問
 
2010年7月22日(木)
第45号議案、西池袋中学校改築に伴う給排水衛生・ガス・消火設備工事請負契約について、第46号議案、西池袋中学校改築に伴う冷暖房・換気設備工事請負契約について、2議案についての反対討論(儀武ぎぶさとる議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、第45号議案西池袋中学校改築に伴う給排水衛生・ガス・消火設備工事請負契約について及び、第46号議案西池袋中学校改築に伴う冷暖房・換気設備工事請負契約について可決することに反対の立場から討論をおこないます。なお、第43号議案、第44号議案、改築工事請負契約及び、電気設備工事請負契約については賛成致します。
 
 今定例会には西池袋中学校改築に伴う契約案件4議案が提案されました。第45議案、第46議案の2議案は、今年の5月20日、条件付一般競争入札で2件ともクリマ・日和特定建設工事共同企業体(共同企業体代表者、豊島区上池袋二丁目37番2号、株式会社クリマテック豊島営業所)が落札し、工事請負契約を締結するものです。
 給排水衛生・ガス・消化設備工事請負契約金額は、予定価格2億1105万円に対し、1億4647万5千円で落札率69.4%であります。冷暖房・換気設備工事請負契約金額は予定価格2億8035万円に対し1億1964万7500円で落札率は42.7%と予定価格を大幅に下回るものとなっています。
 
 区民の税金を原資とする公共事業は、できる限り安く無駄なく執行されるのは当然であります。区が発注する公共事業には、完成物の品質や安全性の確保、地域経済の振興、地元業者の健全な発展などが重要な役割として求められます。「安かろう、悪かろう」は許されません。中学校の校舎建設は、生徒が安全で安心して学べる校舎を提供することは行政の最低限の義務です。
 この立場から、以下の3つの問題点を指摘します。
 
 第1の問題点は、なぜこんな低価格で落札したのか、区が説明できないことです。
 委員会審査では、特に請負契約の落札率42.7%の異常な低さが大きな問題となり、各会派から質問が相次ぎました。常識ではとても採算が合わないと考えるのが普通ですが、私がこの点を指摘すると、課長は「(株)クリマテックは資機材を60%安く確保することができる」「人件費の圧縮はない」と答弁しましたが、説明になっていません。また、渡辺議員が「人件費はいくら見積もっているのか」「区は何に基づいて可能と判断したのか、その資料を出すべき」と再三再四求めたのであります。資料が出ないためにその日は継続審査となりました。16日にだされた資料は「誓約書」なるものでした。その内容は「人件費等の圧縮はいたしません」「下請け業者につきましても極力区内業者を使う予定」というもので、業者側の言い分のみで、区の判断を裏付けるものではありませんでした。20日に再度審査したにも関わらず、結局、この点について明確な理由を全く示すことができませんでした。
 
 第2の問題点は(株)クリマテックは区内業者といえるのかどうかです。
 国土交通省では、2009年度以降の直轄事業の入札に際して、名ばかり営業所の排除を厳格に排除することになりました。だからこそ区は8月から実態調査を実施するとしているのです。(株)クリマテック豊島営業所の近隣住民からは、「人はいないようだ」「電気がついていたとこを見たことがない」「本当に事務所なのか」などの声がよせられています。私も現地を2度確認しましたが、古い木造2階で営業所の看板版は1階のドアに取り付けられ、とても、数億円の公共工事を受注するような営業所にはみえませんでした。
 区は、(株)クリマテックを事前に区に呼び意見聴取をおこない、その後訪問もしましたとしていますが、営業実態があるかどうかを本気で調査もしていません。水道、電気などの公共料金の領収書を過去2年分についても確認する意思がありません。8月に入札制度を改革し、営業実態も調査をするとしていますが、区民や区内業者の信頼を損なわないためにも、ただちに遡及しておこなうべきであります。不明朗なままで、区内業者として実績づくりを認めるのは将来に禍根を残すことになるのではないでしょうか。
 
 第三の問題は、区内の中小業者に受注する機会の確保をしているかどうかです。
 この10年間、自公政権の「構造改革」路線で、地方自治体の公共事業は大幅に縮小されてきました。縮小された公共事業をめぐる激しい低価格受注競争は、重層下請け制度のもとで、そのしわ寄せを下へ下へと押しつけています。その結果、区内の中小零細業者は経営の悪化、労務費の大幅低下など深刻な状態が続いています。
 だからこそ、自治体の公共事業は大企業ではなく、地元の中小業者に発注できるようランク別の導入や、小規模工事の発注量を増大させることが求められています。また最低制限価格について国土交通省はダンピング競争を排除し中小建設業の健全な発展のため、昨年4月から「予定価格の10分の7.5から10分の9」に改定しています。
 しかし(株)クリマテックは自ら「大規模な現場を中心として東京都区内の20箇所以上の手持ち工事」を持っている企業体です。しかも、(株)クリマテックは鹿島建設が100%出資している子会社です。大企業が丸抱えで営業しているも同然です。同じ土俵で大人と中学生が相撲をとれば結果は目に見えています。これでは区内の中小業者は太刀打ちできません。また、分離発注は区内業者に受注する機会を増やすためにおこなっていますが、(株)クリマテックが2件とも同時に受注したのではその意義が無くなります。自治体の公共事業を区内業者が受注する機会を増やすという本来の目的を区自ら逸脱しています。とんでもないことです。
 
 さて、3日間の審査の中で、他の会派はいろいろ問題点があると言いつつも、「与党だから」などと言って、無責任にも採決では賛成しました。
 今回の45、46号議案はあまりにも問題が多すぎます。契約は一旦破棄し、入札をやり直しすべきです。
 
 最後に、地元の下請け業者とそこで働く労働者の際限ない価格競争や賃金・労働条件を地域の一定水準以下にしないためには入札制度改革だけでは不十分です。
 公共工事をめぐる激しい低価格受注競争を防止し、そのしわ寄せを下請業者や労働者に及ばなくさせるためには、入札制度だけでなく、より根本的改革が求められています。
 そのひとつが、公契約条例です。地方自治体が請負または委託で発注する工事などで働く民間労働者の賃金・労働条件を地域の一定水準以下にしないことをうたったものです。このことによって、現場労働者の賃金の際限ない切り下げを防ぐとともに、工事を受注する下請け業者の低価格競争を防止することにも役立つ。また、それによって、一定の品質水準の公共物をつくることができるのです。豊島区でも公契約条例の検討を進めるべきです。
以上の問題点を指摘して、この2議案について反対を致します。
 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。