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区議会質問
介護保険請願・国保陳情不採択反対討論(渡辺くみ子)
2015/3/19

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、ただいま議題となりました27請願第1号「介護報酬の引き下げと介護保険料の値上げをしないことを求める請願」、27陳情第4号「いのちと健康を守るため国保料の値上げに反対する陳情」について不採択に反対し直ちに採択することを求めそれぞれ討論します。
 
 まず、27請願第1号「介護報酬の引き下げと介護保険料の値上げをしないことを求める請願」についてです。
 この請願は、政府は介護報酬を2,27%引き下げを決定したが、「介護報酬引き下げは介護施設等の経営を直撃し、介護現場の労働条件をさらに悪化させることになります。その結果、地域の介護力は低下し、「介護難民の増加」などの危機がいっそう深刻になることは必至です。」とし、誰もが安心して介護を受けられるためには、国庫負担割合を引き上げ「介護の質と量を拡充し国民・利用者の負担を軽減すること」で、介護報酬の引き下げをやめ、国庫負担割合を上げるよう国に意見書の提出を求め、同時に介護保険料を値上げしないことを求め、600名を超える署名とともに提出されたものです。
 請願者の意見陳述では、今でも介護従事者の給与水準は全産業平均の6割から7割にとどまり、介護事業所では慢性的な人手不足で厳しい状況が続いている。昨年末、全国老人福祉施設協議会など3団体は介護報酬引き下げに断固反対するとの見解を表明し、2,27%の引き下げでの試算では特養の5割近くが赤字になるとしています。そして処遇改善加算の拡充が言われていますが、事業所全体の収入が減れば、業務の過密化などにより、逆に処遇、労働条件全体の悪化が懸念され、ひいては事業の継続が困難になり、結果地域の介護サービスの解体につながる、と指摘しています。そして陳述者は区内92か所の事業者のうち21事業者から署名が送られてきた。安心、安全の介護の実現はすべての高齢者、国民の願いとし、最後に区内の介護事業者、介護従事者、介護を受ける区民のため国への意見書提出と、保険料値上げをしないよう強く求めました。
 
 今回の介護報酬引き下げは総体で2,27%、しかし特養等は実質4,48%もの引き下げになっています。また処遇改善加算として介護士一人当たり12,000円分が介護報酬に加算されるとなっています。
 最近、聞いたのですが、区内のある特養では「介護報酬引き下げで年間800万円以上の影響額となる。今後運営が赤字になるかもしれない」と深刻でした。これでは請願陳述者の指摘通り、処遇改善加算が拡充されても、事業者自体が経営困難になれば、実質的に処遇が悪くなることは明らかです。
 さらに安倍内閣は「在宅での介護」を強調していますが、委員会審査で、訪問介護、通所介護の介護報酬も下がっている部分が明らかになりました。理事者は「20分未満の訪問介護が認められ、40分、60分だけでなく20分の訪問介護を入れれば事業所の報酬を全体で確保できると聞いている」と説明しました。しかし60分が40分になってから、利用者からは「介護の中身が大幅に減った。必要なことが頼めなくなった」、訪問介護者からは「時間に追われ、十分な介護ができない」との声が続いています。いったい20分で何ができるというのでしょうか。結局、在宅でも、施設でも介護事業者が必要な介護を提供できなくなるという事です。また、介護従事者にとっても処遇改善にはつながらないという事です。
 保険料は大幅に引き上げられ、さらに今年8月から特養の利用者自己負担の引き上げも行われ、介護報酬はかってなく引き下げられ、まさに区民、介護保険利用者、介護事業所のすべてがさまざまな負担を強いられるということです。地域の介護サービスそのものの解体につながるという事です。

 さて、今回の委員会審査で他の会派の皆さんは介護報酬削減に関して「企業努力は皆やっているのではないか」等として、保険料値上げ、介護報酬引き下げを認めました。必要な介護を利用できない高齢者、必要な介護サービスを提供できない事業所では何のための制度存続でしょうか。自公政権がいう、「安心の介護」がどこにあるのでしょうか。どこに「介護の社会化」があるのでしょうか。・・・
 
 以上、また27請願第1号「介護報酬の引き下げと介護保険料の値上げをしないことを求める請願」は直ちに採択していただくよう改めて強く求めます。
 
 次に27陳情第4号「いのちと健康を守るため国保料の値上げに反対する陳情」について不採択に反対し採択することを求め討論します。
 この陳情は、「長引く不況、雇用破壊、連続する社会保障の改悪、そして昨年4月からの消費税増税の下で国民の暮らしは悪化の一途をたどっている」とし、この様な中で、毎年の国保料の引き上げは区民の生活を圧迫し、「診療抑制は健康破壊を深刻化させている」と指摘し@来年度の国保料の値上げをしないこと、A区独自の国保料の補助制度をつくること、B差し押さえなど強制的な徴収は慎重にすることを求めたものです。
 
 この間、国保の保険料は、旧ただし書き方式への変更、激変緩和措置の打ち切り、高額療養費を賦課総額に組み入れる等で、一人当たり保険料は10万円台と高額になりました。
 さて、来年度の保険料の値上げ案が23区長会で決定されたとの報告がありました。
 それによると、案は所得割料率の基礎分が6,30%から6,45%に、均等割額が43,200円から44,700円と1,500円の引き上げ、賦課限度額が67万円から69万円とし、結果豊島区の一人当たりの保険料は108,386円と今年度より4,638円もの大幅値上げ案となっています。
 区は保険料引き上げの理由を第1に2013年度から行われてきた住民税非課税措置者への減額措置を打ち切ったこと、第2に一般会計から全額繰り入れてきた高額療養費分を2014年度から4年間で全額賦課総額に算入することとし、来年度は4分の2、5億円を賦課総額に算入するためとしています。
 
 以下、今陳情を直ちに採択すべき理由について述べます。
 第一は保険料の値上げは区民の生活に重大な影響を与えるということです。
 国保加入者は中小零細企業や退職後の高齢者が多く占めています。その上、この間の国の悪政のもとで、大企業の雇用破壊による失業者や非正規労働者、派遣労働者等となった人達が国保に加入し、また自営業者の経営難、廃業が増加するなどさらに「国保加入者の貧困化」が進行しています。
 この様な実態は本区でも例外ではありません。
 区の資料によると、2014年3月末の国保加入世帯は62,437世帯で加入率は38,3%、区民の約4割の世帯が国保に加入しています。そして加入世帯の39,3%が所得金額が無く、所得200万円以下の世帯が39,2%、両方合わせると78,5%、加入者の約8割の人が所得無しか、低所得の区民です。区の来年度の国民健康保険事業計画でも「長期にわたる景気の低迷の中、被保険者の経済状況は依然厳しく、国保財政を圧迫する要因となっている」とし、さらに「本区においても国民健康保険制度が抱える、構造的問題の一つである負担能力の低い低所得層が多く加入している実態」と指摘しています。
 陳情者のいう通り「負担能力の低い所得層が多く」「被保険者の経済状況は依然厳しい状態」なのです。
 ところが区はこういう状態を認識しているにもかかわらず、保険料試算のモデルケースでは、給与所得200万円の4人家族(介護保険2名該当)に192,388円と今年度より23,205円も多くのしかも所得の1割にも達する保険料を課すとしているのです。
 これでは高すぎて払えず、滞納世帯が増加するのは当たり前のことです。
 委員会審査でも明らかになりましたが、各保険者の一世帯当たりの平均所得は国保145万円、協会けんぽ242万円、組合健保372万円となっています。国保制度の性格からして当然のことですが所得はダントツ低いのです。同時に理事者も指摘している通り、年齢構成は高く、さらに疾病で働けない人も多く、医療給付費が他の保険制度から比べれば高くなっているのです。
 だからこそ、もともと国保制度は財政基盤が脆弱で、国庫支出金を入れて運営する仕組で作られたのです。ところが、1984年の国保法改悪でそれまで45%だった国庫支出金を激減させ反対に保険料に賦課させてきたのです。そしてなんと今年度(2014年度)は23,2%、来年度はさらに減り19,7%とついに20%を割りました。都の支出金も今年度6,4%が来年度は5,2%です。さらに区の繰入金は今年度16,9%が16%と公的歳入割合をどんどん下げているのです。理事者は「実際には国庫支出金は増額している」といいましたが、事業会計総額が増えているのですから当然のことで、しかも増えた額は8,100万円のみです。このように国や都の支出金や区の繰入金をどんどん下げ、反対に賦課総額を増やしていることが保険料の大幅な値上げにつながっているのです。
 
 第二は区民の医療を受ける権利を保障するためにも区独自に保険料の減免制度を実施すべきという事です。
 先ほど来指摘している通り、所得の少ない区民に払えない高額な保険料を課せば未納になるのは当然のことであります。ところが区は「負担の公平」といって資格証や短期証を発行し続け、区民の医療を受ける権利を奪っているのです。
 この間の委員会審査でも明らかになっていますが、本区の資格証、短期証発行数は23区でも常に高位を占めています。差し押さえでも今年は667件で、昨年度は515件、比率は23区中4位とこれまた高位です。
 理事者は「資格証や短期証の発行を通じて納付相談を増やすために必要な施策」と繰り返し答弁していますが、私どものところには「とにかくお金をもっていかないと相談だけでは行けない」「金、金と言われてきた」等の声が寄せられており、これが本当の区民の
声ではないでしょうか。
 相談に行けば減額や免除等あれば、多くの区民が相談に行くずです。しかし2014年度の保険料減額は187件ですが全てが資産や所得に関係のない「旧被扶養者に係る保険料の減免」で、免除は7件でそのうち3件は東日本大震災被災による免除で、経済的理由はたったの3件のみです。
 私はこの間、保険料減免は区長の裁量でできることを言い続けていますが、区は拒否し続け、いまだに改善されていません。区として独自の保険料の減免制度の拡充に対して理事者は「23区統一保険料」なので、「保険料の独自の減免制度はできない」とし、では「23区課長会で提案したことがあるのか」と問うと「無い」との答弁です。本気で保険料の軽減をなぜ考えないのですか。
 
 国は2015年度から1,700億円の保険者支援制度の拡充を実施します。
 この制度を活用し立川市では、後期高齢者支援金分および介護納付金の所得割・均等割りを引き下げ、また低所得者対策の7割5割2割対象者への支援額を増やし、2割・5割の対象者を拡大するとしています。
 ところが、本区では支援制度で確保される3億5000万円の財源の効果を「法定外の繰入が圧縮される」としました。これでは区民負担は何にも軽減されません。高額療養費分の賦課総額への繰り入れで、区は今年度と来年度で法定外繰り入れは5億円も軽減されるのです。その上支援金3億5000万円
 消費税8%分の地方消費税交付金は来年度26億円といいます。新規拡充事業に12億円、残り14億円の活用は社会保障の安定化のためといいますが、内容は不明なままです。国は年金や保険にも活用できるとしています。であれば支援制度や消費税交付金を賦課総額削減や、保険料軽減になぜ活用しないのでしょうか。今回の保険者支援制度の拡充分3億5000万円を活用すれば、保険料を上げずに済むのです。区長の区民に対する冷たい姿勢が最大の問題であります。 

 さて委員会審議で、与党委員の方々は「制度存続のためには保険料引き上げは仕方ない」「保険料をきちんと払っている人と払っていない人とは不公平」等を繰り返し、保険料の収納率の向上を強調し、陳情を不採択にしました。
 しかし区自ら「長期にわたる景気の低迷の中、被保険者の経済状況は依然厳しく、国保財政を圧迫する要因となっている」「負担能力の低い低所得層が多く加入している実態」「医療費は高齢化の進展や医療の高度化に伴って年々増加している」と指摘している通り、これが国保制度なのです。ところが1980年代にそれまでの所得方式を医療費対応方式に変え、さらに国庫支出金をどんどん削減する。反対に保険料を引き上げる。これでは高すぎる保険料のため払えない人が増えるのは当然のことです。
 だからこそ国の支援制度の活用や社会保障に使うとされている消費税交付金を使ってでも保険料の引き下げをすべきではないでしょうか。区民の命と健康を守る立場になぜ立てないのでしょうか?高すぎる保険料のため区民が必要な医療を受けられない制度では「だれのための制度存続と言っているのか」と言わざるを得ません。
 さらに、区は医療費抑制を強化しています。しかしすでに一人当たり医療費は23区で一番少ない状況です。医療費高騰は先ほども示しましたが区が言っている通り、「高齢化の進展や医療の高度化に伴って年々増加しているのです。無駄な医療は抑制すべきですが、時と場合によっては医療行為への越権行為にもなります。

 最後に理事者は「平成30年から都道府県が財政運営の責任主体となる」と広域化を言います。しかし広域化が区民にとってどういう効果があるのか全く明らかにされていません。理事者は、「財政運営が不安定な小規模自治体がある」等と説明していますがどこの自治体も国保制度の在り方からすれば深刻です。区との関係がどうなるのか、区民が安心して医療が受けられる制度になるのか、それらを何ら示すことをしないで、広域化進めること自体区民無視であります。

 国保法には(1958年)「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」としでいます。国の責任で国民に医療を保障するための制度であることを区長はきちんと受け止めるべきであります。

 以上、区議会として区民の健康と命を守る立場に立ち、27陳情第4号「いのちと健康を守るため国保料の値上げに反対する陳情」について不採択とせず直ちに採択することを強く求め、討論を終わります。
ご清聴有難うございました。