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区議会質問
「2019年10月からの消費税10%引き上げ中止を求める意見書」提出に関する請願についての討論

2019年7月8日

 私は日本共産党豊島区議団を代表しまして、ただいま議題されております元請願第1号「2019年10月からの消費税10%引き上げ中止を求める意見書」提出に関する請願について、不採択に反対し、ただちに採択することを求めて討論を行います。
 この請願は、「このまま税率引き上げが実施されれば、地域経済をさらに疲弊させ、中小企業や小規模事業者の営業を脅かし、雇用不安を招くなど国民生活への影響は計り知れません。」として、10月からの消費税10%引き上げ中止を求める意見書の提出を求めるものです。
 審査するにあたって、請願者2人が意見陳述をおこない、立正大学法学部客員教授・税理士の浦野広明さんは「税金は、負担能力に応じて払うのが原則」「税金の使途については、憲法13条、14条、25条に基づき、福祉、社会保障のために使わなければならないが、実際には、国の借金を増やし、元金と利息を返済するために国の税収の約4割を充てるため、社会保障にまわらず、結果、社会保障費を削減した」と陳述しました。豊島民主商工会会長の長谷川清さんは「小規模事業者は、消費税と社会保険料負担が重く、経営を圧迫している現状と自身の給料を減らして従業員を解雇しないで守っている」と陳述しました。
 まさに、消費税10%引き上げは、中小企業や小規模事業者の営業を脅かし、雇用不安を招くなど国民生活に深刻な影響を与えることは必至です。消費税10%引き上げは中止すべきです。以下、その理由を3点述べます。
 
第一に、区民のくらしと景気に大打撃となるからです。
 前回の消費税8%への増税を契機に、実質家計消費は年25万円も落ち込み、労働者の実質賃金も年10万円も低下してしまいました。内閣府が発表した景気動向指数が6年2カ月ぶりに「悪化」となるなど、政府自身も景気悪化の可能性を認めざるを得なくなっています。
 これまで3回の消費税増税が行われましたが、1989年の3%増税は「バブル経済」のさなかであり、1997年の5%増税も、2014年の8%増税も、政府の景気判断は「回復」でした。それでも、消費税増税は深刻な消費不況を招きました。今回は、景気後退の局面で5兆円に近い大増税を強行しようとしているのです。これほど無謀な増税があるでしょうか。
 また、国と区は、消費税は社会保障に充てると言っていますが、本当でしょうか。
 医療、介護保険、年金、生活保護などの社会保障は、年々改悪され続けています。労働者本人の窓口負担は、消費税導入時は1割から現在では3割負担になり、高齢者の窓口負担は、800円から2割〜3割になっています。介護保険料は、スタート時と比較して現在はほぼ倍の6090円です。いま大問題になっている年金制度は、マクロ経済スライドによって、7兆円も削減されます。消費税8%を 10%に引き上げると、すべての国民1人あたり年間2万7千円、4人世帯ならば約8万円(月額 6,500 円以上)の増税になります。消費税引き上げは、実質的な賃金引下げになります。私が、消費税が導入されて、社会保障で良くなったものがあるか、と問うと、区は、これまでの事には一斉ふれず今回10%増税された場合「幼児教育・保育料の無償化」と、答弁しました。対象は3歳児以上、0〜2歳児は住民税非課税世帯のみで、全世帯が対象になるわけではありません。区の持ち出しも、約4億円になります。
 さらに、区は、消費税8%から10%になると、地方消費税交付金増収分は22億円、社会保障費の伸びは68.1億円になると説明しました。そのうえ、消費税の精算基準の見直しで、15億円の減収、法人税の一部国税化で18億円の減収となり、あわせて33億円の減収となります。国のやり方は、本当に許せません。「消費税は社会保障のため」と言っていますが、消費税増税は、区民も区も負担が大幅に増え大打撃となるということです。
 
第二に、消費税は逆累進性が高く、所得の低い人にとっては最悪の不平等税制だからです。そもそも税金は、累進税制、生計費非課税、総合課税等の原則が、憲法の、実質的平等や健康で文化的な生活保障等との考え方にかなった集め方であります。
 この点で消費税は、所得の低い世帯、所得のない世帯ほど負担割合が高くなり、累進税制や生計費非課税という大原則を逸脱している最悪の税制であり、格差をますます拡大させることは明らかであります。
 1989 年に消費税がスタートして、もうすぐ 30 年。この 30年間で、税率は3%から8%に引き上げられてきました。この間に国民1人が納めた消費税は295万円、総額では372兆円にもなります。一方で、大企業などの法人3税(法人所得税・事業税・住民税)の減税額は 291 兆円になります。消費税が、企業減税の穴埋めに使われたその結果、大企業の内部留保は 17 年春には 425.8 兆円に膨らんでいるのです。因みに、輸出大企業に対する消費税還付金は、トヨタ自動車の1社だけで3633億円、12社で1兆102億円にもなります。様々な優遇税制で恩恵をうけているのであります。意見陳述でも「小規模事業者は、消費税と社会保険料負担が重く、経営を圧迫している現状と自身の給料を減らして従業員を解雇しないで守っている」との発言がありましたが、これ以上の消費税増税には耐えられません。

第三に、消費税10%に引き上げなくても、富裕層と大企業に応分の負担を求めるなどで社会保障を拡充することはできるからです。
 わが党は「消費税に頼らない別の道」を提案しています。消費税10%増税による増収は5兆円規模です。安倍政権は、「増税分は全部お返しする」としていますが、政府が増収分を財源に充てるとしている施策のなかで、幼児・保育無償化、高等教育の負担軽減、低年金底上げなど社会保障や教育・子育てに関するもの(2.6兆円程度)は、すべて実施します。一方、ポイント還元や軽減税率、景気対策としての大型公共事業などの財源は、消費税増税をしなければ必要がなくなります。
 大企業に中小企業並みの負担を求めれば4兆円の財源がつくれます。中小企業の法人税負担率は18%ですが、大企業は10%しか負担していません。研究開発減税などもっぱら大企業だけが利用できる優遇税制があるためです。
 所得が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がってしまいます。多額の金融所得がある富裕層に有利な証券税制の是正と最高税率の引き上げで3.1兆円の財源になります。
 日米安保条約上は負担する必要のない「思いやり予算」や辺野古の海を埋め立ててつくる米軍基地の建設費など、国民の税金を使う必要のない予算を廃止して0.4兆円の財源をつくります。トランプ米大統領言いなりの高額の米国製武器の「爆買い」も大問題です。F35戦闘機1機116億円をやめただけで、保育所なら4000人分、特養ホームなら900人分、学校のエアコン設置なら4000教室が可能になります。安倍政権は、このF35を100機以上も購入する計画です。F35の爆買いをやめるべきです。

 委員会審査では、自民党は「少子高齢化で増税せざるを得ない」、公明党は「増税しても低所得者対策で負担や影響が少ない」と不採択を主張。都民ファーストの会・民主は継続を主張し、継続が否決されると不採択としました。立憲民主党、日本共産党は採択を主張しましたが、採決の結果、不採択となりました。国民民主党は、国政では、市民と野党共闘の政策で、消費税10%引き上げに反対で一致しています。区政では、なぜ採択に賛成できないのでしょうか。また、公明党は「民主党政権時代の三党合意」を持ち出してきましたが、あの三党合意には「景気条項があり、景気が悪化していれば増税できない」との規定があったのに安倍政権になってその条項を抹消したのです。三党合意を破ったのは自民党と公明党であります。
 よって、「2019年10月からの消費税10%引き上げ中止を求める意見書」提出に関する請願について、不採択に反対し、直ちに採択することを求めて討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。