私は日本共産党豊島区議団を代表して、只今上程されました第79号議案「豊島区立保育所条例の一部を改正する条例」について、可決に反対の立場から討論を行います。
この議案は、公設公営である豊島区立東池袋第一保育園の民設民営化に伴い同園を2023年4月1日付けで公立保育園条例から削るとして提案されたものです。
さて区は、平成17年度(2005年度)に策定した「子どもプラン」で、「多様化し、複雑化した保育需要や新たな子育て支援需要に公私協働で対応していくため、区立保育所の民営化・委託化を進める」とし、2008年度から2023年度の14年間で12か所の区立保育園の民営化を進めてきました。
そして今回、豊島区立東池袋第一保育園を区立保育園最後の民営化として提案されたものです。委員会審査では、改めて区立保育園の役割が示されました。
区は、区立保育園の役割は地域の子育て支援の中核であり、またコロナ禍では応急保育の実戦、緊急災害時等の対応、そして地域の保育の質を向上させる役割があるとし、区立保育園の職員さんたちは「豊島区の子どもたちをまもる、保護者の就労等も守る」「私立保育園の子どもも守る」と率先して行っているなど区立保育園の割は大きいと報告されました。
大変重要な役割を担っているという事です。それこそ区立保育園の民営化の理由には全くならない、反対に減らしてはならない大きな理由であります。
以下、委員会審査で明らかになった民営化の問題点を改めて指摘します。
第一の問題は国や都の財政的な対応についてです。
区は私立認可保育園の場合、国や都の補助金が活用できるという事で財政的な効果があるとしています。
要は、区立保育園では国や東京都からの補助がないので、区の一般財源のみで対応せざるを得ない。支援が必要というのであれば、国や都にもきちんと要望すべきです。ところが区からは「それは難しい」との答弁が繰り返されました。
結局これは、国、すなわち自公政権の「新自由主義」の流れに沿ったものであり、公立ではなく民間の保育園に切り替えていくという大きな方針に則っているという事です。
第二の問題は認可保育園に株式会社の参入が行われているという事です。
株式会社による認可園の設置は2000年に解禁され、子ども・子育て支援法が施行された2015年には弾力運用として、運営費の使途が大幅に緩和されました。かつて本区では区立保育園と社会福祉法人立の保育園でした。
今回、情報公開でとった資料によると、本区で株式会社が運用する保育園の弾力運用で会社の税金や本部経費に使われている実態が明らかになっています。主なもので、グローバルキッズ㏍が1億3085万円、今回の民営化で引き継ぐHITОWAキッズライフ㏍が4743万円となっています。
保育所運営のための貴重な税金が株式会社の運営に充てられているなどとは、本当に許されません。ところが区は「国の枠組みの中なので弾力運用について意見は言えない」と言いました。
また今年2月の子ども文教委員会でライフサポートkkの運営する保育園で人件費の不正請求が報告され、さらに今年6月の子ども文教委員会ではグローバルキッズ㏍が27カ月分732万円の人件費の不正請求し受け取っていたことが報告されました。
このような不正行為で一番影響を受けるのは保育園の子ども達であり、保護者であり、職員です。絶対に許されないことです。
自治体から支払われる保育園への委託料は、「8割は人件費」とされていますが、弾力運用を認めているため人件費に回されていない現実があるという事です。結局、保育の質を下げることにつながるという事です。
株式会社はあくまでも儲けを求める組織です。弾力運用で人件費が削られる、結果十分な保育体制が取られない等、先ほども言いましたが子どもたちに一番影響が出る、同時に働いている保育士さんたちにも影響が出るという事です。
区は区民のことを考え、現場の状況をきちんと調査をしながら、国や都に意見を出すのは当然の責務です。
区として「国が決めたから」とそのまま受け入れるのではなく、区民に直結している区政だからこそ、きちんと問題点を指摘すべきであります。区の民営化への説明は納得できるものではありません。
結局、保育に関する公的責任を放棄するものであり、同時に株式会社のもうけを保障するものであります。
改めて指摘します。子どもの保育で金を設けるなどとは許しがたい行為です。 是非区立保育園を残すことを強く求め、第79号議案 「豊島区立保育所条例の一部を改正する条例」の可決に反対であることを述べ、討論を終わります。