HOME第29号議案「 豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に反対、6陳情第3号「子育て世代の国民健康保険料の負担軽減を求める陳情」・5陳情第25号「高すぎる国民健康保険料の引き下げを求める陳情」の可決を求める討論をしました 儀武さとる (3/26)
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第29号議案「 豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に反対、6陳情第3号「子育て世代の国民健康保険料の負担軽減を求める陳情」・5陳情第25号「高すぎる国民健康保険料の引き下げを求める陳情」の可決を求める討論をしました 儀武さとる (3/26)
2024.03.28
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 後ほど上程されます6陳情第3号 子育て世代の国民健康保険料の負担軽減を求める陳情、及び5陳情第25号 高すぎる国民健康保険料の引き下げを求める陳情について、不採択とすることに反対し、採択すべき立場から討論をおこないます。議案と陳情2件は、3件一括で区民厚生委員会において審査されたものであります。 

 まず、第29号議案  豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例について述べます。この議案は、国民健康保険法施行令の一部改正に伴い、一点目は、保険料率及び賦課限度額の改定。二点目は、低所得者の保険料減額を判定する所得基準の改定です。三点目は国民健康保険法改正に伴う条ずれを改めるなど規定の整備を行うものです。 

 今回の改定で、最大の問題は、保険料率及び賦課限度額の改定で、大幅な値上げになることであります。

 令和6年度の特別区の一人当たり保険料は前年度から13,157円負担が増えて156,520円となります。前年度比9.18%も増えます。来年度一人当たり保険料値上げは、令和5年度の11,550円に続き、旧但し書き方式になって以来、2年連続の過去最大の値上げとなります。

 区が提出した令和6年度 収入別・世帯構成別の保険料試算モデルケースの資料をみると、年収200万円の前年度比でみると、年金受給者一人世帯で13,300円の値上げです。10のモデルケースすべてで13,300円から30,000円台の値上げです。特に、65歳未満の給与所得者3人世帯で31,658円の値上げです。

 子育て世代も大幅な負担増になります。夫婦2人、子ども2人の4人世代を見ると、年収200万円で29,278円の負担増、年収300万円で50,198円の負担増、年収400万円で69,666円の大幅な負担増です。年収が増えれば負担額はさらに増えます。子育て世代から悲鳴が上がるのも当然です。

 子育て世代の負担軽減については、区は、国が令和5年度に全世代未就学児の均等割額の半額軽減し、対象人数1,217人、軽減額2700万余を実施。本区では、産前産後期間に係る保険料の軽減を4か月分150万円余行ったと説明しました。今回の大幅な値上げは、子育て支援にも逆行するものであり、到底容認することができません。

 保険料増加の主な要因として、(1)加入者の高齢化や医療の高度化による医療費の増加、(2)70歳から74歳加入者数の減少、(3)後期高齢者への支援金の増加、(4)特別区独自の負担抑制策の段階的縮小としています。 

 保険料増加の最大の要因は、特別区独自の負担抑制策の段階的縮小であります。来年度は、特別区全体で今年度の244億から168億円へ74億円も減らしています。区も9億円から6億円へ、3億円も減らしています。2018年国保の都道府県化以後も国保料は、法定外繰り入れの解消を理由に値上げを繰り返してきました。本区でも、国保の広域化がスタートとする前は、一般会計からの繰入金は55億円、令和4年度の決算では34億円になり21億円も減少しています。そのことが、国保料の大幅値上げの要因の一つとなっているのです。 また、75歳以上の高齢者を各医療保険から別枠に移して、差別医療を創設し、その財源の一部を各医療保険、国保や協会けんぽなどの被用者保険に求め、国庫負担を減らし続けた国の責任にあります。現役世代と高齢者を対立・分断するやり方は許せません。 

 国民健康保険制度は「国民皆保険」の根幹をなす制度ですが、構造的な問題を抱えています。かつては農林水産業や自営業が加入者の7割でしたが、現在は年金生活者など無職と非正規労働者が8割を占めています。国が制度の安定運営のために投入してきた「国庫支出金」の割合は年々下がり、他の協会けんぽや組合健保の加入者に比べて、「収入が低いのに保険料が高い」という極めて矛盾した制度になっています。 

 現行の国保制度がスタートした1960年代、当時首相の諮問機関だった社会保障制度審議会は「加入者に低所得者が多く、保険料に事業主負担がない国保は、相当額、国庫負担する必要がある」と勧告しました。国が予算を投入することで、国保と健保の保険料の格差を是正するのが、当初の制度の理念です。ところが、自民党政権が国保の国庫負担の削減・抑制を続ける一方、国保に加入する人の高齢化・貧困化が進んだことで、国保料の値上げが止まらなくなり、国保と健保の保険料の格差はいっそう広がりました。 

 全国知事会は2017年に低所得者が多く加入する国保の保険料負担が重いのは「国保の構造問題だとし、公費1兆円の投入で高すぎる国保料を「協会けんぽの保険料並み」に引き下げるよう国に要望しました。その後も、全国知事会、全国市長会は、国保への定率国庫負担を増額することを、国に要望し続けています。 

 わが党も全国知事会などの要望を踏まえ、国保への「1兆円の公費負担増を行うことで国保料を協会けんぽ並みに下げることを提案してきました。被保険者の数に応じて「人頭税」のようにかかる均等割という、健保には無い保険料賦課の仕組みの廃止を求めてきました。国のいいなりで国保のさらなる連続値上げを許すわけにはいきません。全国知事会などの自治体の要望を受け、公費投入を増やして高すぎる保険料を引き下げることこそ物価高騰で厳しい家計のやりくりを強いられている区民が望む道です。 

 委員会審査では、日本共産党、立憲・れいわが反対しましたが、自民党、公明党、都民ファーストの会・国民、維新・無所属が「負担の公平性」とか「国の方針だから」などと主張し、賛成多数で可決してしまいました。 

  よって、第29号議案 豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例について反対します。

 次に、6陳情第3号 子育て世代の国民健康保険料の負担軽減を求める陳情、及び5陳情第25号 高すぎる国民健康保険料の引き下げを求める陳情について述べます。5陳情第25号は、昨年第4回定例会で継続審査となってものです。これらの陳情は、国と都に国保会計への負担金・補助金を増やし、国民健康保険料の引き下げと子育て世代の保険料負担を軽減することや均等割り補助制度の創設することを求めて提出されたものであります。 

 国保の広域化が始まって6年間で999自治体が値上げを行っています。 

 2024年度は、都道府県が策定する次期国保運営方針の初年度です。厚労省はさらに国保の負担軽減を廃止するよう全国の自治体に圧力をかけています。こうした状況のもとでも国民健康保険料を引き下げる自治体が411あります。 

岩手県陸前高田市は今年度、物価高騰を踏まえ、国保税の「均等割」部分を1人、年最大1万3千円減額しました。 

 昨年の第4回定例会で私が、18未満の高校生まで、均等割の負担を軽減するためにかかる費用は、いくらになるかと、質問すると、区は5500万円だと答弁しました。基金残高は、507億円積みあがっていますし、学校給食費の無償化を実施したように、区長が決断すれば、豊島区独自に実施できます。子どもの保険料負担を軽減するために均等割り補助制度に踏み出すべきではありませんか。 

 特別区長会は、2023年11月16日、武見敬三厚生労働大臣に対して、国民健康保険制度の見直しに関する提言をおこない、子どもに係る均等割額の軽減措置について、未就学児までの制限を撤廃し、対象と軽減割合の拡充を求めています。これらは、日本共産党の「国保提言」とも一致しています。国は「異次元の少子化対策」と言っていますので、そのくらいは直ちに実施すべきです。当然、区議会も応援すべきです。 

 コロナ禍、物価高騰の下で、賃金と年金は実質下がり続けています。毎年、国保料の値上げと窓口負担が重くのしかかっています。国民健康保険制度は、民間の保険と違って、公費を投入している社会保障です。国保の構造問題を解決してこそ安心して医療を受けられます。医療を受ける権利、健康になる権利、生きる権利を保障するのは当然です。 

 委員会審査では、日本共産党、立憲・れいわ、維新・無所属が採択を主張しましたが、自民、公明、都民ファースト・国民が「5陳情第25号 高すぎる国民健康保険料の引き下げを求める陳情は、前回は議論されている最中で継続、今回は区の考え、保険料は明確」になったなどと言って6陳情第3号とともに不採択を主張し、採決の結果、不採択としてしまいました。  

 区民の国保料の負担は限界です。負担を軽減するためには、国庫負担や都の財政支援を増やす以外にありません。当面、区が一般財源を投入し、子どもの保険料負担を軽減するために未就学児までの制限を撤廃し、対象と軽減割合の拡充をすべきです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

 以上のことから、6陳情第3号 子育て世代の国民健康保険料の負担軽減を求める陳情、及び継続審査分の5陳情第25号 高すぎる国民健康保険料の引き下げを求める陳情を不採択とすることに反対し、直ちに採択することを求め、私の討論を終わります。 

ご清聴ありがとうございました。 

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