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私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま上程されました第12号議案 介護保険条例の一部を改正する条例について、可決することに反対の立場から討論をおこないます。また、後程上程されます6陳情第2号介護保険料の引き下げ及び在宅支援強化を求める陳情、及び5陳情第26号介護保険料の引き下げと制度充実を求める陳情について、不採択とすることに反対し直ちに採択すべき立場から討論をおこないます。
この議案と陳情2件は、3件一括で区民厚生委員会において、審査されたものであります。
まず、第12号議案 介護保険条例の一部を改正する条例について述べます。この議案は、第9期介護保険事業計画期間の2024年度から2026年度までの3年間の介護保険料額を改定するものであります。
保険料基準額の第5段階は、第8期と同額の年額で74400円、月額で6200円です。低所得者の保険料軽減策として、国が介護給付費に係る公費負担分5割分とは別枠で公費を投入し、豊島区は、これに独自に上乗せし、第1段階から第3段階まで、第8期より1,116円の引き下げを行ったことは、一定評価したいと思います。これは区民の世論と運動の成果だと確信しています。国も区も保険料の負担軽減を決断すれば、保険料の引き下げを実現できることを証明したものであります。
しかし、一方では区の独自の基準で保険料額を決めていたのを、所得段階を国基準と同様にしたために、第12段階から16段階までは、それぞれ7,440円引き上げます。9期の事業計画では、介護給付費準備基金を9億6千万円取り崩す計画ですが、あと8000万円取崩せば、第12段階以降の方々も値上げする必要がありません。せめて、このくらいはやるべきではありませんか。
ところが、区は「国が示した標準の段階に合わせた」と言って、全くやる気がありません。介護給付費準備基金は、2023年度末に約45億積み立てていますが、今回は、2割を取りくずしただけです。保険料の値上げは認めることができません。
委員会審査では、日本共産党、立憲・れいわが反対しましたが、自民党、公明党、都民ファーストの会・国民、維新・無所属は「制度の持続性」とか「国の制度改革だから」と主張し、賛成多数で可決しました。
年金は下がり続けています。コロナ後も物価高騰で生活はますます厳しくなる中で、保険料の値上げは、高齢者にとって、まさに3重苦であります
よって、第12号議案 介護保険条例の一部を改正する条例について、可決することに反対します。
次に、6陳情第2号 介護保険料の引き下げ及び在宅支援強化を求める陳情 及び5陳情第26号 介護保険料の引き下げと制度充実を求める陳情について述べます。6陳情第2号は、訪問介護の基本報酬が引き下げられようとする中で在宅支援強化を求めるとともに基金を活用するなどして、2024年度からの豊島区の介護保険料を引き下げることを求めるものであります。5陳情第26号は、昨年の第4回定例会で介護保険料の引き下げと国や都に介護保険事業へ負担金、補助金を抜本的に増やし介護保険を利用しやすい制度とするために649人の署名を添えて提出されたものが継続審査となったものであり、合わせて審査されたのであります。
来年度は、介護報酬の改定があり、訪問介護の基本報酬が2%~3%引き下げられます。
基本報酬の引き下げは、介護の現場に衝撃を与えています。全国ホームヘルパー協議会と日本ホームヘルパー協会は、武見敬三厚生労働大臣宛に連名で手渡した意見書には、「私たちの誇りを傷つけ、さらなる人材不足を招くことは明らかで、断じて許されるものではない」と怒りを表明しています。
基本報酬は、入浴や排せつ、食事などの身体介護も、調理、洗濯、掃除などの生活援助も通院時の車の乗り降りする時の介助も軒並み引き下げます。「事業所をつぶす気か」「やっていることがめちゃくちゃ」と批判も出ています。
引き下げの理由は、ほかの介護より利益率が高いからだとしています。しかし、これは都合よい数字だけを使ったごまかしです。厚労省が示す訪問介護事業所の平均利益率は「7.8%」(介護事業経営実態調査)です。ところがその中身を見ると、赤字の事業所は約4割(36.7%)です。サービス付き高齢者住宅などで集中的に訪問回数を増やし、大手の事業所が異常な高利益で平均を押し上げたからです。
政府は加算措置の引上げなどで「処遇改善を最優先した」「メリハリ付けた」としていますが、わが党の小池参議員が予算委員会で、「処遇改善などの加算をいずれも取得していない事業所は全国で1割もなく、大幅に加算が増える事業所は少ないのが実態だ」と追及すると、厚労省には、加算を増やす目標がないことが明らかになっています。
処遇改善について、私が、賃金体系等の整備、一定の賃金配分で14.5%の加算が取れる区内事業者はいくつあるのか」また「経験技能のある職員などの配置による最大24.5%の加算が取れる事業所は、どのくらいあるのか」と質問すると、区は、「いずれもその数字は持ち合わせていません」と答弁しました。つまり、加算が取れる事業者の実態をつかんでいません。区は政府が処遇改善を優先させ、6,000円程度賃金の改定をしたと言っていますが、これでは、加算が取れない事業所の賃金アップは担保されていません。地域の家を1件1軒回っている中小事業所は収入も人手も足りず赤字に苦しんでいます。賃金も上がらないのでは、職員のモチベーションもあがりません。
介護事業所の倒産は、67軒と過去最高を更新しています。今度の改定で倒産、休業、廃業する事業所と離職する人が増え、在宅介護の崩壊が、さらに進むことは必至です。
私が知っている若い介護職員は「この仕事は嫌いではないが、将来を考えると続けるのは難しい」と言って、やめた人がいますが、今回の基本報酬の引き下げは、この流れを、さらに加速させるものです。今でも、介護職の給与は全産業平均7万円も下回っています。人員確保が困難で、有効求人倍率は、全産業平均の1.31倍に対し、訪問介護は15.53倍と突出しています。大変深刻な状況です。ホームヘルパーの高齢化も進んでいます。7.4人に1人が70歳以上です。60歳以上で見ると全体の4割近くに迫っています。家庭だけでなく、公的保険サービスも「老々介護」が広がっているのが実態です。
現行の介護保険は、サービスの利用が増えたり、介護職の労働条件を改善したりすれば、ただちに保険料・利用料の負担増に跳ね返るという根本矛盾をかかえています。保険料・利用料の高騰を抑えながら、制度の充実や基盤の拡充を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。
介護保険を持続可能な制度とするため、国庫負担・公費負担を引き上げることは、実は、かつて自民党、公明党も主張していたことです。自民党は「持続可能な介護保険制度を堅持するため、公費負担の増加を図り、高齢化の進展により増大が想定される介護保険料の上昇を抑制します。と参院選Jファイル2010年で公約しています。公明党は「介護施設の大幅な拡充や在宅介護の充実、介護職員の大幅給与のアップ等につながる介護報酬の引き上げは必要ですが、介護保険料の上昇を抑制するため、公費負担割合を現行の5割から当面6割に引き上げ、2025年には介護保険の3分の2を公費で賄うことを提案します」と「新・介護公明ビジョン2010年で公約しています。当面6割と言って、もう14年も経っています。2025年には介護保険の3分の2を公費負担するという公約は、あと1年に迫っています。介護保険を持続可能な制度とするためには、公費負担の割合を増やす以外にありません。それが介護の危機を打開する唯一の道であります。
委員会審査では、日本共産党、立憲・れいわ、維新・無所属が採択を主張しましたが、自民、公明、都民ファースト・国民は「負担の公平感が保たれるのか」とか「制度の持続可能性を考えたときかなり厳しい」などと言って、不採択を主張し採決の結果、不採択としてしまいました。
自公政権は、社会保障の自然増分を毎年削減してきました。介護保険料の引き下げと介護職員の賃上げ、介護事業所などの基盤整備など、区民が必要な介護サービスを受けるためには、どうしても国の公費負担の引上げが必要です。
以上のことから、6陳情第2号介護保険料の引き下げ及び在宅支援を求める陳情、及び5陳情第26号介護保険料の引き下げと制度充実を求める陳情について、不採択とすることに反対し、直ちに採択することを求め、私の討論を終わります。 ご清聴ありがとうございました。