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一般質問
2020年第2回定例会「区民の命を守るために医療、介護、保健の抜本的強化を」
2020.06.24

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、「区民の命を守るために医療、介護、保健の抜本的強化を」と題し、
第一にPCR検査の拡充と保健所の今後の在り方について、
第二に区独自の医療支援と介護支援について、
第三に国民健康保険について、
第四に都立大塚病院について
質問します。区長の区民の命を守る立場に立った答弁を求めます。

 緊急事態宣言が解除されても、感染者が2ケタとなる日が続いており、豊島区の感染者は累計で現在168人です。今こそ第二波、第三波に備えることが求められています。コロナ問題では経済的・社会的に立場が弱い人たちほど大きな犠牲を強いられる事態が続いており、その深刻さは、「経済的先進国」とされる国でも貧困国でも共通しています。格差と貧困を広げてきた21世紀の世界資本主義が、コロナ危機の中で改めて問われていることは昨日の清水議員の質問でも明らかになりました。
 今、感染拡大防止と経済活動再開を両立させるための政策が大きく求められています。そして最大のカギはPCRなどの検査の抜本的な拡充であり、医療体制の強化です。しかしこの間の安倍政権の新型コロナ対策は、後手後手で極めて不十分と言わざるを得ません。国際比較でも我が国のPCR検査は異常に少なく、医療機関への財政支援も貧弱、国民に自粛を求めながら深刻な状態への補償も少ない、一人10万円の給付も遅すぎます。都政でも同様で、小池都知事はPCR検査については「必要な検査は実施されている」との答弁を繰り返しています。
 第一の質問、PCR検査と保健所の今後の在り方として機能強化について伺います。
 この間のわが党のアンケートにも「全員PCR検査をしてほしい」「PCR検査をもっと早くたくさんできるようにしてほしい」「医療機関や介護施設、福祉施設などの職員の検査を」「PCR検査をうけられない。実際の患者数が見えない」等の意見が寄せられています。
 わが党区議団は4月23日の新型コロナ対策の第2次緊急要望で「早急に体制をとりPCR検査を実施するよう」求めてきました。区は4月28日から区施設の敷地内に区独自のPCR検査センターを設置、運用を開始。同時に区医師会と連携し、帰国者・接触者外来等を設置している医療機関にPCR検査実施の為、陰圧テント及び感染防護に必要な衛生資材を提供してきました。また6月からは区の検査センターの運営を医師会に委託しています。さらに医療機関へは検査委託と医療機関での検査受信者の自己負担分を公費負担として補助するための補正予算が今議会に提案されています。
 PCR検査規模はセンターで週2回、1日20件、1ヶ月160件、3件の医療機関の検査で1ヶ月1,500件実施する体制を作っています。この間センターでの検査数は6月  日現在  件です。しかし医療機関での検査数については常時把握できる体制がなく把握は難しいとしています。
 そこで1つ目の質問です
 区の検査センターでは検査実施数は減少しているといいますが、感染状況を含めどう分析しているのか、また、感染の実態を正確につかむための体制確保を含め、効果的な対策を進め、感染拡大を収束させ、経済活動の再開と両立させるために、区は今後どのように取り組んでいこうとしているのか、合わせて答弁ください。
 2つ目の質問は医療、介護・福祉従事者と入院患者・入所者への検査を積極的に行う事についてです。本区では医療機関や介護・福祉施設での集団感染はまだありません。これはそれぞれの施設が面会等を規制し、職員、家族の方々が必死で頑張っているからと思います。この状況を継続するためにも医療、介護、福祉の現場の安心と安全を確保することは絶対必要で、従事者と入院患者・入所者にPCR検査を積極的に実施できる体制を作るべきと考えます。答弁ください。
 3つ目の質問は国、都に対する財政支援の要求です。
 5月11日の補正予算のうちPCR検査体制強化として2,500万円が示されていますが、このうち国の補助は705万円のみです。今回、感染症対策費として、区は新たにPCR検査体制の拡充のため補正予算を計上、しかし国庫補助は補正予算の2分の1です。改めて国・都に対し大幅な財政支援を求めるべきです。答弁ください。

 次に保健所の機能強化について2点質問します。
 第1は職員体制です。現在、保健所ではPCR検査後、陽性反応者で、中・重症者については病院への移送を行い、軽症または無症状の患者も原則宿泊療養となっていますが、事情により自宅療養をしている方に対しては、健康状態をより的確に把握するため、血中酸素濃度測定器の配布等を行っています。区民や医師からの相談も多く寄せられており、5月25日までの区民からの相談は5,737件、医師からの相談は293件で合わせると6,030件、6月12日まででは計7,354件、一日100件を超えています。さらに「心の相談」が28件です。夜間等は都庁舎での電話相談には保健師さんが派遣されています。本当に保健所の職員さんの大変さがわかります。このような中で、区は保健所の新コロナ対策室の改変を実施し22人体制を44人体制へと拡充しましたが、まさに新型コロナで公衆衛生の要である保健所の業務が激増しているという事です。
 そこで質問します。新型コロナ感染症の第二波、第三波に備えるために、保健師等の専門職を含め職員体制の強化は急務です。区として保健所の体制強化についての対応をどう考えているのか、答弁ください。また国、都に対し必要な人員確保のため財政支援を求めるべきです。合わせて答弁ください。
 次に保健所の拡充についてです。
 国は1994年保健所法を地域保健法に変え、結果、東京都の保健所数は1994年71か所が現在31か所で56%もの減となりました。本区でも1940年東京市立豊島健康相談所が、1953年には東京都豊島長崎保健所が開設されました。しかし1965年に地方自治法の変更で保健所業務の一部が区に移管され、1975年には保健所業務すべてが都から区に移管、名称も豊島区池袋保健所、豊島区長崎保健所と変更されました。そして区は地域保健法と区の「新生としま改革プラン」に基づき、2002年池袋保健所と長崎保健所を統合、長崎保健所を長崎健康相談所に改変、わが党は反対しましたが、本区でも保健所は池袋保健所一か所となったのであります。そして現在、池袋保健所では13グループ事業を行い感染症グループもその一つで、職員数は96人です。長崎健康相談所では乳幼児相談等の母子保健、栄養教室等3グループ事業のみで職員数は11人で大幅に縮小したのです。これでは今回のような事態に全く対応できないのです。
 そこで質問します。池袋保健所と合わせて長崎健康相談所については、食品衛生や環境衛生の業務を行うとともに、感染症についての機能を強化し保健所として機能できるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。答弁ください。

 次に大きな第二の質問、医療機関と介護施設への支援についてです。
 先日都内の病院で働いている方からお話を伺いました。コロナ病棟があり、感染回避による受診抑制がおこり、健診もできず収入は大幅に減っている、反対に感染対策費等の支出や人的配置等過大な負担がかかっているという事でした。また区内の診療所でも前年同月の収入対比では7割まで落ちていて大変深刻とのことです。
 医療崩壊を起こさせないためにコロナ対応医療機関への減収、負担増を保障することは喫緊の課題です。この様な中で、厚生労働省は5月27日、新型コロナ危機で収入が減少した医療機関の資金繰り対策として、診療報酬の「概算前払い」を認める特例措置を発表しています。しかし新型コロナ感染症の治療を行わない医療機関への経営危機には財政支援はありません。地域の病院、診療所や医院等が閉鎖になればまさに区民にとって地域医療の崩壊です。
 そこで質問します。これでは区民の命を守ることはできません。区として地域医療を担う医療機関への支援が必要と考えます。同時に国に財政支援を求めるべきです。あわせて答弁ください。

 次に、介護事業所への区独自の支援についてです。
 介護施設では特に通所介護の利用者が大きく減っています。区の資料でも6か所が5日間から1ヶ月以上の休業、2か所が土日休業、通所リハを訪問介護サービスに変更が1か所となっています。また休業しない施設でも利用者が減っています。このような中で通所介護費は前年同月比で4月は19%減、5月は更に減額が必至と言われています。施設の経営的側面からみても大変深刻な状態という事で、これでは介護基盤そのものの崩壊につながります。また新型コロナ感染の終了後、多くの高齢者への支援の拡大が予想されます。
 そこで質問します。介護基盤確保のため国の財政支援と、合わせて、区独自の支援が求められます。区の対応について答弁ください。

 大きな第三の質問、国民健康保険についてです。
 6月1日付けの毎日新聞に「国保にも傷病手当金」「コロナで特例 健保格差に風穴」という記事が掲載されました。感染拡大の防止という観点で政府の緊急対策として、国民健康保険(国保)から被用者へ傷病手当金を支給するとし、本区でも5月11日全会派一致で条例改正がなされました。
 しかし今回の傷病手支給対象は被用者に限定され、自営業者や家族専従者、フリーランスは対象になっていません。自営業者で本人が休業すると当然収入が無くなり生活ができない状態が起きています。フリーランスも同様です。今年3月26日の参院の厚生労働委員会で、わが党の倉林明子議員が国保の傷病手当を実施する際に「自治体が独自に、自営業者やフリーランスに対象拡大することは可能か」と質したのに対し、厚労省の保険局長は「市町村長の判断で可能」と答弁。また都議会でもわが党議員の質問に東京都は「自営業者やフリーランスの方々も含め、だれもが休みやすい環境を整備することは重要」との認識を示しました。
 そこで質問します。区として国に自営業者やフリ-ランス等の対象拡大を求めること、当面、区独自に支給対象を拡大すべきです。答弁ください。
 次に保険料についてです。
 わが党は高すぎる保険料について一貫して下げるよう要求してきました。今回、コロナ感染症にかかる来年度の保険料の緊急減免制度が示され、2020年2月1日から2021年3月31日までが該当する期間とされています。
 しかしこの間の状況を見ても高すぎる保険料が払えない世帯は多く、資格証や短期証を発行されている世帯は現在でも7,000世帯を超えています。これらの世帯に対しても、従来の減免基準を見直して対象を広げる等の緊急減免、緊急猶予などの施策の拡充は待ったなしです。具体的な対応策の検討を求めます。答弁ください。

 最後、第四の質問は都立大塚病院についてです。
 小池都知事は今年3月31日「新たな病院運営改革ビジョン」を提案し都立病院と公社病院を都の直接的な運営から外し、地方独立行政法人化の方針を決定しました。新型コロナ感染症ではPCR検査や治療等、本区でも地域医療の中で都立大塚病院は大きな役割を果たしていることは周知の事実です。感染症医療は、感染が拡大した時のために日常の備えが必要で、当然、民間医療機関では担いきれない部分です。そもそも都立病院は明治初期に大流行したコレラ等感染症の流行に伴い開設され、都が直接責任をもって都民の命を守る役割を果たしてきたのです。
 都立大塚病院は508床で都の年間予算28億8000万円です。母子医療、救急医療、災害医療及び障害者医療を重点医療とし、高度専門医療を提供しています。さらに、地域医療機関からの紹介に基づいた紹介予約制をとっており、高額医療機器の共同利用なども含め、地域医療機関との連携の推進を図っており、多くの区民の方が受診しています。私自身も夜間受診し入院治療を受けました。
 さて、先の第一回定例会でわが党儀武議員が区長に独立行政法人化の中止を求めるよう質しましたが、区長は「求めない」とし「経営主体が変更になったとしても」「地域医療の中核的役割を担い続けて頂けるよう強く要請する」と答弁しています。しかし小池都知事は今回のビジョンで「最小の経費で最大のサービスを提供」とし経費削減を明らかにしています。財政支出を削減すれば、都立・公社病院が行っている感染症、小児、救急、周産期医療など、民間では対応が難しい不採算の行政的医療は後退することは明らかです。今回の新型コロナ感染症で民間病院の困難さが改めて明らかになり、同時に「行政的医療」を担う公的病院の役割が大きく示されました。
 そこで質問します。先程来指摘しているように、都立大塚病院の独立行政法人化は区民の命を守ることはできないことは明らかです。今こそ区長は区民の命を守る立場に立ち切り、独立行政法人化をなんとしてもやめさせることを強く求めます。答弁ください。

 以上で私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

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