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第4回定例会/最終本会議討論 儀武さとる 《羽田空港への都心低空飛行ルート》に関する2件の陳情ー採択を求めるー
2022.12.06

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております4陳情第28号 都心低空飛行ルートに関する教室型説明会を国土交通省に要請する陳情及び4陳情第29号羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情について、不採択することに反対し、ただちに採択することを求めて討論を行います。

これらの陳情は、羽田新飛行ルートの運用が2020年3月29日から始まり、騒音、落下物、振動、排気ガスなどへの不安や懸念、危惧が大きくひろがっているので、区民のくらし、生命を守る立場から提出されたものであります。 

4陳情第28号 は、教室型説明会の開催と固定化回避検討会で、2本の飛行ルート同時飛行が対応できる新ルート変更の検討結果をいつまでに示せるかを明らかにすることを国土交通省に求めるものであります。

4陳情第29号は、羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情であります。

羽田新飛行ルートは、住民にとって百害あって一利なしです。都心上空の飛行は、さらに拡大される恐れもあります。国は住民の安全を第一に考え、新ルートの中止をすべきです。以下、採択することを求める理由について述べます。

 第一に騒音被害についてです。

従来の羽田飛行ルートの原則は「海から入り海へ出る」ものでした。騒音や落下物に配慮したからです。新飛行ルートは、市民の命、くらしを脅かします。成田空港開港の目的は、羽田の混雑緩和や騒音対策などでした。羽田空港の沖合展開も人口密集地を避けることと騒音防止策の一環でした。

ところが、安倍政権は、新ルートの増便で世界からヒト、モノ、カネを取り込み、国際競争力を強化するとした成長戦略を掲げ、住民の理解も合意を得ずに2020年3月に新飛行ルートを強行実施したのです。新型コロナ禍のもとで、訪日外国人の客数は激減し、インバンド頼みの観光政策は根底から破綻したのです。

羽田新飛行ルートは、豊島区の上空を約1000m、新宿都庁上空で900m、恵比寿駅上空ではスカイツリーよりも低い約600m、品川区の大井町上空では東京タワーより低い約300mまで高度を下げ超低空飛行で羽田空港に向かいます。

その上、頻度は最大で朝の山手線のラッシュ時並みに2分に一機が轟音を響かせて飛行します。この間、豊島区民から「午後3時を過ぎると、うるさくてテレビの音がききづらい」「いつ落下物が落ちてくるかわからないのでストレスを感じる」「音がするたびに見上げると首がいたい」などの声が陳情にも紹介されています。

 第二に、落下物は避けられないからです。

航空機からの落下物や墜落事故が万が一にでも発生すれば、命にかかわる重大な事故へ発展します。アメリカのユナイテッド航空機、ボーイング777型、エンジンが爆発して、部品が住宅街に落下する衝撃的な事故やオランダや那覇空港でも同系列の機体・エンジンの破損・落下物事故もありました。

国が実施している航空機からの部品欠落調査によれば、羽田空港を含む7つの空港の総計は、2019年度928個、2020年度1005個、2021年度1064個と増えています。区の説明では、点検内容を強化した分、部品欠落の発見個数が増えたといいますが、1日に約2.9個も航空機の部品が欠落、つまり、場所の特定はできないが、どこかで落下している計算になります。都心の上空で落下すれば、重大な事故につながりかねません。

落下物はなくならない。だからこそ、落下物は落ちる前提で、2次被害を生み出さないことを考えるのが落下物対策の基本であります。新ルート直下には、住宅、学校、保育施設など数多くあり、火力発電所などもルート付近にはあります。その上、これまでは飛行禁止とされていた石油や危険物を多く取り扱う川崎コンビナート上空も新ルートは含んでおり、重大な2次被害を防ぐには、新ルートの中止こそ一番の安全対策です。

 第三に、「固定化回避の技術的方策」についての検討会は、「現在の滑走路の使い方を前提」としているからです。

国土交通省は2020年以降、新ルートの「固定化回避の技術的方策」についての検討会を5回開いています。しかしこれは新ルートのための「現在の滑走路の使い方を前提」としたもので、新ルートの騒音や落下物、墜落など、住民の不安や危惧に応えていません。 ですから、検討、検討と言って、飛行ルートを示すことができません。来年の秋ごろまでに第6回の検討会を開催するとしていますが、事実上、3年間も飛行ルートの固定化を既成事実化しているではありませんか。

 わが党は、これまで再三、教室型の住民説明会の開催、新ルートの撤回を求めて来ました。品川区議会では、新ルートを容認できない決議が全会一致で可決され、渋谷区や港区の区議会でも新ルートの見直しを求める意見書が採択されました。当時、安倍首相は、新ルートの実施には「地元の理解」が必要と繰り返し約束してきましたので、教室型説明会を開催し、固定化回避の新ルートの検討結果を説明するのは当然であります。

委員会審査では、4陳情第28号 都心低空飛行ルートに関する教室型説明会を国土交通省に要請する陳情について、公明党、都民ファーストの会・民主、自民党などは、「区も国に要望するなど対策をとっている」などと言って、不採択を主張。無所属の会と共産党は採択を主張。立憲としまは、継続審査を主張しましたが、継続が否決されると、採択を主張。採決の結果、賛成少数で陳情は不採択となりました。

4陳情第28号 は、せめて豊島区議会が国交省に対し、教室型説明会を開催し、固定化回避の新ルートの検討結果を、いつまでに示せるかを明らかにしてほしい、と要望するものです。実にささやかな要望ですが、公明党、都民ファーストの会・民主、自民党のみなさんは、なぜ採択することが、できないのでしょうか。

4陳情第29号羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情については、公明党、都民ファーストの会・民主、自民党などは、「区も国に要望するなど対策をとっている」などと言って、不採択。無所属の会と立憲としまは、継続審査を主張しましたが、継続が否決されると、立憲としまは不採択を主張。無所属の会と共産党は採択を主張しましたが、採決の結果、賛成少数で陳情は不採択となりました。

前にも述べましたが、これらの陳情は、区民のくらし、生命を守るために都心部を超低空飛行する新ルートの変更、中止を求めるものです。新ルートは住民にとって百害あって一利なしです。

よって、4陳情第28号 都心低空飛行ルートに関する教室型説明会を国土交通省に要請する陳情及び4陳情第29号羽田空港への新飛行ルートの中止を求め、豊島区議会から意見書提出を求める陳情をただちに採択することを求めるものです。 以上で討論を終わります。 ご清聴ありがとうございました。

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