私は日本共産党豊島区議団を代表して、「安心して産み、育て、学び、住み続けられる豊島区にするために いまこそ切れ目のない支援を」と題して、
1.区長の政治姿勢について
2.切れ目のない子育て支援について
3.教育と学校をとりまく課題について
①学校施設等長寿命化計画について ②水泳授業の外部化について
4.その他として、区長の憲法遵守の立場について、一般質問いたします。区長ご自身の明快な答弁を求めます。
まず大きな第一の質問、区長の政治姿勢についてです。
私は4月の区議会議員選挙で3期目の区議会へと押し上げていただきました。これまでの2期8年間、「安心して子育てができ、学び、住み続けられる豊島区」にするため、子育て支援をライフワークに取り組んでまいりました。区政にとっても子育て支援は重要な課題です。
さて新しい区議会は第一回臨時会、第二回定例会を終え、第三回定例会が始まり、早いもので5カ月がたとうとしています。
同じく高際区長も就任5カ月が過ぎました。本定例会、招集挨拶で、高際区長は「子育て支援の強化」について、「子どもと女性にやさしいまちづくり」「切れ目のない子育て支援」「安心して子どもを生み、育てることができる環境づくりを推進」と述べています。であるならば私の目指すところと同じのはずです。
しかし、これまで再三、高野前区長に、子育て世代と子どもたちの切実な声を取り上げ、政策提案してきましたが、一向に進んでこなかったのが現実です。その現状を端的に示しているのが特殊出生率です。2021年は全国で1.30、一番低いのは東京都1.08です。23区は1.09、なかでも豊島区は0.93の最下位となっています。生み育てられない豊島区だからこそ23区最下位になっているのではありませんか。
そうした中でも今月、2023年度2学期から区立小中学校の学校給食無償化が始まりました。私が議員となり8年間求め続けてきた、就学援助の入学支度金の大幅増額と入学前支給、子どもの医療費の18歳までの無償化に続く実現は、区民の声と運動と合わせ、わが党が長年求め続けてきた大きな成果です。給食費無償化について、先の第2回定例会のわが党、垣内議員の一般質問でこれまでの議会での経緯を明らかにし、さらに来年度以降の継続を強く求めました。それに対し、区長は「来年度以降も継続して実施していくべきもの」と答弁したことは評価いたします。しかし、様々なライフステージで切れ目のない支援が求められており、スピード感、内容ともに、まだまだ不十分です。
そこで質問です。区長は「女性と子どもにやさしいまちづくり」、「安心して子どもを生み、育てることができる環境づくり」といいます。そのためにこれまで不十分だった、切れ目のない子育て支援の具体策―すなわち、豊島区で生まれ、育ち、学び、住み、生涯、豊島区で暮らし続けられるための、子育て全般の施策が早急に必要だと考えますが、区長の決意をお聞かせください。
次に大きな第二の質問、切れ目ない子育て支援について、順次、質問してまいります。
ひとつめは、出産後の女性の心とからだをサポートする、「産後ケア」についてです。
現在、豊島区の「産後ケア事業」は、出産後に体調不良や育児不安があり、家族等から十分な支援を受けられない方を対象に、区が契約する区外の助産院等の母子ショートステイの利用料の一部を助成する宿泊型事業のみです。わが党は今年第一回定例会の一般質問で、宿泊型産後ケア施設の区内整備と産後ドゥーラの養成への補助を求めたところです。
今年6月政府は、出産後の育児相談などの「産後ケア」に関し、育児不安や心身に不調がある場合だけではなく、支援を必要とする人は誰でも受けられるようにして利用を促す。利用者全員を料金補助の対象とし1回当たり2500円を5回まで支援すると自治体に通知しました。
そこで質問です。先日、豊島区助産師会の方から来年度予算要望を伺いました。ご要望にあるように、出産後間もない時期に「産後ケア事業」が全出産後家庭へ格差なく届き、母子が安心して生活できるよう、助産師のアウトリーチが受けられるクーポン券の配布、宿泊型産後ケアの自己負担軽減と利用日数の増、宿泊型、デイケアを区内に設け、全出産後ママにデイケア利用券の配布、ゆりかご面接時に産後ドゥーラ券を全出産後ママに配布するなどが必要だと考えますが、いかがですか。合わせて、産後ドゥーラ育成事業にも取り組むべきです、答弁ください。
ふたつめは保育園の保育料についてです。保育料の負担軽減は子育て支援に不可欠です。
2019年10月から3歳以上の幼児教育・保育の無償化が、消費税率10%への引き上げと抱き合わせで実施されました。0~2歳は住民税非課税世帯が無償化ですが、すでに低所得世帯などへの減免措置が実施されていたため、低所得世帯への恩恵は少なく消費税増税の負担が増えただけで、さらに「無償化」のための費用の多くは、比較的所得の高い世帯に偏ることが当初から明らかになっています。
先日、区立保育園に0歳のお子さんを通わせるご夫婦から「保育料が高すぎる」というご相談がありました。お話を聞くと「毎月の保育料が53,300円もかかり、年間で60万円を超える」「給料は上がらないのに、物価は上がって他の負担も増えている」「二人目からは補助があるが一人だと何もない。本当に苦しい、保育料を下げてほしい」という切実な声です。
そこで質問です。豊島区では、現在、子どもが2人以上の保育料について、第二子は半額、第三子以降は無料。さらに10月からは認可保育施設及び認証保育所を利用している「第二子の保育料」は無償化となります。しかし、子どもが一人の場合の補助はありません。所得によって保育料は異なりますが、一定の所得があってもこれでは負担が重すぎ、二人目を望んでも諦めたり、そもそも子どもを産み育てようということが困難になってしまいます。豊島区として、第一子から保育料の補助をすべきと考えますが、区長の答弁を求めます。
三つめは、義務教育における私費負担の軽減についてです。
先にも述べましたが、今月から区立小中学校の給食費無償化が実現し、保護者、子どもたち、学校関係者に大変喜ばれています。しかし同じ豊島区の子どもでも区立以外の小中学校に通う場合は対象外です。シングルマザーのAさんは私立中学校へ子どもを通わせていますがこう話されています。「私立に通っていても裕福なわけではありません。生活はとても苦しい。私立も給食を無償にしてほしい」。
そこで質問です。区立小中学校以外へ通う子どもたちへも給食費無償になるよう補助すべきです。また区長は、第二回定例会の招集あいさつで国の責任において無償化を図るよう求めるとしていますが、財政支援を含め都に対しても制度化するよう求めるべきです。
さらに私はこれまで修学旅行費、卒業アルバム代、部活動に係る費用など、給食費以外の私費負担の軽減も求め続けてきました。
そこで質問です。義務教育は無償が原則です。安心して子育てできるようにするには、給食費だけに終わらせることなく、さらに私費負担の軽減が求められます。今後どのように私費負担の軽減を進めていくのか、区長の見解を求めます。
四つ目は、高校生以降の高すぎる学費についてです。
まず高校生への支援です。子どもを私立高校に進学させたシングルマザーの方から「東京都の私立高等学校等授業料軽減助成金を使っている。授業料は助成金で賄えるが、授業料とほぼ同額の施設使用料は助成されない。そのうえ助成金の支給は12月と遅すぎる。結局、入学当初に100万円近くが必要で、毎年それの繰り返しで本当に苦しい。なんとかしてほしい」とご相談がありました。
そこで質問です。家庭の経済的な理由で私立高校への進学を諦めることのないよう、助成金支給までの区独自に学びを保障する制度を創設すべきですが、区長の見解を伺います。
次に大学生、専門学校生などへの支援についてです。これまで私は繰り返し、区独自の学費補助、給付制奨学金の創設を求めてきました。今年第1回定例会のわが党の一般質問で改めて強く求めたところ、当時副区長だった高際区長は「国の支援制度だけで、十分に救済できるものとは考えておりません」と認めつつも、「区として独自の給付型奨学金制度を創設する考えはない」「今後の国の動向を注視する」と、これまで通りの冷たい答弁でした。
しかし国立の理学部に通う大学生の方からは「4年間で約300万円の奨学金を借りている。大学院まで進みたいがさらに奨学金を借りなければならず、返済を考えると諦めて就職した方が良いのかと悩んでいる」という声。保護者からは「学費に家じゅうの貯えを、それでも足りなくて自分の生命保険を担保に借入までしている。私の老後のお金はどこにもありません」という悲痛な声が届いています。
そこで質問です。区長は区民のこうした声をどう受け止めますか。お金の心配なく学び、住み続けられる豊島区にするために、区独自の学費補助、給付制奨学金の創設が今こそ必要です、区長の政治的決断を求めるものです。合わせて答弁ください。
五つ目は、豊島区で子育てし、学び、定住化するための「住まい」についてです。
私は「住まいは人権」の立場から公営住宅の増設、家賃補助を繰り返し求めて来ました。しかし、高野区政は増設どころか、中堅所得ファミリー世帯の定住化のための区民住宅の廃止で住宅費の予算を削り、家賃補助も不十分なままでした。
しかし高際区長は「安心して子どもを生み、育てることができる環境づくり」を掲げています。その基本となるのが「住まい」であると考えます。
そこで質問です。高際区長は豊島区の住宅施策を今後どう発展させていこうとしているのか、区長の住宅施策に対する基本的な考え方をお聞かせください。
次にファミリー世帯家賃助成制度についてです。昨年2022年第4回定例会の一般質問で、制度の要件が厳しく使いづらいとの声を取り上げ改善を求めましたが、「住宅相談にそのような声は届いていない、要件緩和はしない」と冷たい答弁でした。しかし私のもとには子育て世帯の声が引き続き届いています。特に転居が条件であるのに加えて、申請時に転居先での3か月分の家賃を支払った証明が必要であることは、経済的負担があまりにも重すぎて使いたくても使えないという声が多いのです。区長の区民の声を「聞く力」が試されます。
そこで質問です。子育て世帯の定住化をはかるために、ファミリー世帯家賃助成制度については転居、家賃の3か月分の支払い証明など要件を緩和するとともに、4年目以降の補助額の減額はやめ拡充すべきです。また若年層、単身世帯なども使いやすい家賃助成制度の創設が必要です。いかがですか。
次に公営住宅についてです。本定例会、区長招集挨拶で「若年ファミリーサポート」事業、すなわち若年ファミリー世帯専用の区営住宅を増設し、子育てがしやすい仕様に改修、2024年度4月に募集を目指す、とありました。これは本定例会上程の補正予算案に計上されているもので、区営住宅のうち3戸の改修であり、「増設」といいますが全体数が増えるわけではありません。若年ファミリー向けは10年間の定期利用で、予算は1,980万円余、財源はすべて東京都の補助金です
そこで質問です。区民は低廉な家賃で良質な住宅の公営住宅を求めています。区もファミリー世帯定住のために公営住宅が必要という認識があるからこそ、本事業を「子育て支援の強化」に位置付けているのではありませんか。必要であるなら改修でなく増設、民間の賃貸住宅を借り上げてでも公営住宅の増設をすすめるべきです。区長の答弁を求めます。
次に、大きな3つ目の質問、教育と学校をとりまく課題についてです。
〇その第一は学校施設等長寿命化計画についてです。
学校施設等長寿命化計画の計画期間は2022年度から31年度までの10年間。いただいた資料には「今後10年間で建築後60年を経過する学校は全30校中20校と言う状況」とあります。しかし改築校として名前が上がっているのは千川中学校と要小学校のみ。具体的なスケジュールが示されているのは千川中学校のみです。これまでわが党は繰り返し、学校施設は子どもたちの学びと生活の場であり、災害時には救援センターの役割も果たすため、学校改築は喫緊の課題と計画の全体像を早急に示し、学校改築を進めるよう求めてきました。しかし区は「様々な条件を踏まえ、適切な時期にこれを改訂し、より実効性のある具体的な計画を示していく」と繰り返すばかりです。
そこで質問です。学校改築には多額の費用が必要です。そのため計画的に進める必要があります。このように具体的な計画が遅々として進まない原因はどこにあるのか、現在の到達点を明らかにして、あらゆる角度で全ての問題点を明らかにすべきです。教育長の見解をお示しください。
また私は地元の池袋小学校について3月の予算特別委員会で地元の声を取り上げ、検討状況を質しました。池袋小学校は池袋本町小学校、池袋中学校、池袋第三小学校、西池袋中学校、池袋第一小学校と改築校に囲まれており、地元も早期の改築を待ち望んでいます。しかし今年度の新一年生はとうとう一クラスになってしまい、地域の方からは不安の声が出ています。
そこで質問です。予算特別委員会で当時の齊藤区長職務代理者から「仮校舎確保の方策を検討」「なるべく早い時期に方向性を示せるように検討を進めてまいりたい」と答弁がありました。改めて池袋小学校の仮校舎確保をはじめとした進捗状況を具体的にお示しください。
第二は、「水泳授業の外部化」についてです。豊島区では、すべての区立小中学校にプールがあり教員が水泳授業を行っていますが、現在、「水泳授業の外部化」の検討を進めていると、先の第2回定例会、子ども文教委員会で報告がありました。
区は現状の課題に、水泳授業やプール設備管理などの教員負担、指導の質の確保、屋外プールは天候に左右される、水道代、修繕などのコストなどをあげ、今年度中に方針をとりまとめ、協議・調整を進め、来年度(2024年度)から3校程度のモデル事業を開始。モデル事業の検証を踏まえて、2025年度以降、実施校を増やしていくとしています。すでに南池袋小学校は教室数確保のため、現在プールのある場所に別棟を建てる計画が示され、来年度から水泳授業は雑司が谷体育館を活用するということです。
そこで質問です。教員の負担軽減は大いに進めるべきです。しかし負担軽減がなぜ来年度からの外部化になるのでしょうか。設備管理、水泳専門の教員がいないというのであれば、まずそこに早急に人的支援、配置をすべきではないですか。お答えください。
加えて児童、教員の外部プールへの移動や安全確保など新たな負担と、夏休みの水泳指導、着衣泳など新たな学校間格差が生まれかねない懸念についてどのように考えているのですか。
さらにモデル事業3校程度と言いますが、南池袋小学校の他2校はどうやって決めるのですか。なにより児童、保護者、現場の教職員への説明と意見を丁寧に聞き、どう反映するのか。同時に外部化で利用するプール施設の利用者への説明と同意をどうやって得ようと考えているのですか。教育委員会の方針が決まってからというのでは、区民不在ではありませんか。いずれにしても拙速に進めるべきではないと考えますが、教育長の見解をお示しください。
最後に、その他として、区長の憲法遵守の立場について質問します。
区長は、憲法を順守する立場にあることは言うまでもありません。その立場から、「憲法遵守」が区政運営のすべての基礎になるということについて、区長はどのように考えているのか、まず区長の考えをお聞かせください。
次に憲法遵守の立場から、「ストライキ」に関する区長の発言についてです。先月8月31日、百貨店のそごう・西武売却を巡り、労働組合によるストライキが西武池袋本店で行われたことに関して、高際区長が「ストが決行されても何のプラスはない」と発言したとの報道がありました。この発言について日本共産党区議団は、9月11日と13日に行った「区民の暮らしと命を守る緊急申し入れ」と合わせて、高際区長に申し入れを行いました。
高際区長は「言ったのは事実」としつつも、「一部を切り取られた」「雇用と事業の継続を協議することがベスト」と述べ、ただし「批判を受けており、反省している」とも述べました。
そこで質問です。区長の発言は極めて重いものです。区長は政治家であるのですから、これからも慎重に言葉を選んで、区政に当たるべきと考えますが、いかがですか。
またストは憲法に保障された権利です。区長は憲法を順守する立場にあります。まず今回のスト否定の発言を撤回すべきですが、いかがですか。
つぎに、平和憲法遵守の立場から、核兵器についておたずねします。
米国による原爆投下の惨禍から78年。「核兵器のない世界」を目指す取組も重要な局面を迎えています。岸田首相が主導してまとめた「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」は、「核抑止力」を明記する一方、核兵器禁止条約には一言も触れないなど、被爆者はじめ多くの国民の願いをことごとく裏切りました。これに対して、今年の広島と長崎の平和宣言をはじめ、「核抑止力」論は完全に破綻しているという声が幅広い方々から上がり、核兵器禁止条約への参加を求める声が広がっています。
そこで質問です。豊島区は、1982年7月、23区で初めて非核都市宣言を行いました。その豊島区長として「核抑止論」は既に破綻し脱却すべきと考えますが、区長の見解を伺います。そして区長は今からでも核兵器禁止条約に参加するよう国に強く求めるべきです。答弁ください。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。