私は、日本共産党豊島区議団を代表し「個人を尊重し、誰もが住み続けられる豊島区にするために」と題して、
1、 豊島区の「まちづくり」の方向について
2、 子育て支援策について
3.マイナンバーカードについて
の大きく三点について質問します。
第一に、豊島区の「まちづくり」の方向について四点質問します。
最初は、「消滅可能性都市」に関連して、質問します。
今年4月、民間有識者でつくる「人口戦略会議」が、人口から見た全国の地方自治体の「持続可能性」について分析。「自立持続可能性自治体」「ブラックホール型自治体」「消滅可能性自治体」などと分類し公表しました。報道では、豊島区は、10年前の「消滅可能性都市」を脱却したこと、しかし、一方で、出生率が低くほかの地域からの人口流入に依存しているとして「ブラックホール型自治体」と指摘されました。
高際区長は、招集あいさつの中で、「若年女性をはじめとする皆様の声を迅速に施策に反映するなど積極的に対策を講じた結果、今回の消滅可能性都市からの脱却につながったと認識しています」と述べています。確かに、高野前区長が指摘を受けた後F1会議や女性に優しい街づくりを標榜し、認可保育園の増設などを進めてきたのは事実ですが、それが「脱却」につながったのか、といえばそうではありません。
2014年5月「日本創生会議」が、豊島区を23区で唯一「消滅可能性都市」とした、当時の豊島区の人口は住民基本台帳ベースで増加傾向であり、女性の人口が大きく減少する兆候もなかったのです。元としたデータが、社宅の廃止が急増したことなどに伴い、一時的に人口が対前年を下回る年も出現するなど微増にとどまった期間と重なっており、豊島区のその後の人口の増加人口が反映されていない推計であったと、豊島区基本計画(前期計画)に明記されています。
その後、高野前区長が自民党の質問にこたえて「消滅可能性都市は脱却した」と宣言しましたが、もともと「消滅可能性都市」ではなかったのです。
そこで質問です。高際区長は、前期基本計画の記載にあったように、もともと豊島区は「消滅可能性都市」などではなかったとの認識を持っていますか。
20歳から39歳の女性人口が半減するという一面で「消滅可能性都市」と断定することはまちがっていると考えますが、いかがか。
また、「ブラックホール型自治体」についても、全国で25自治体があげられたうち16が東京23区であり、東京一極集中のひずみにほかなりません。これまで豊島区が進めてきた「外から人を呼び込むまちづくり」をつづければ、さらに加速されていくと考えますが
いかがでしょうか。
結婚するかどうかも、子どもをもつかどうかも、個人が決めることです。大事なことは、個人が選択できるようになっているかです。
小池都知事が所信表明で、人口は国力そのもの、子供を持つ、それが一つの幸せな生き方につながると確信を持てるかどうか、だと述べ、そのために出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援をする、結婚を身近にポジティブに捉えていただくために、結婚機運醸成キャンペーンに取り組む、と表明しました。しかし、これは、男女の結婚のみを前提としていることなど、多様な家族の在り方のうち、一つだけを肯定しているようにみえます。
そこで質問します。
招集挨拶で高際区長は、「希望する方が安心して出産・子育て出来る街」を目指すとしています。これは決して、「早く結婚して、子どもをうめ」などという意味ではないと受けとめていますが、いかがですか。
また、小池都知事の先ほどのような発言について、区長は肯定されるのですか、東京都が「婚活アプリ」を予算に計上していると聞いていますが、この政策について区長はいかがお考えか、お答えください。
同性カップルの里親も認めるようになりました。豊島区では、パートナーシップ制度に加え、ファミリーシップ制度についても検討中とのことですが、区長の基本的なスタンスは、多様な家族の在り方や一人一人を大切にする方向だと考えますが、いかがか。
あらためて、同性婚や選択的夫婦別姓についての区長の考えをお聞かせください。
今年5月、長崎県大村市は男性どうしのカップルに「夫(未届)」と記載した住民票を交付したことが、報道されています。その後、23区では杉並区、世田谷区が対応を検討しているとのことです。豊島区でも導入すべきと考えますが、見解をお答えください。
まちづくりの方向の二番目に、住宅政策についてうかがいます。
豊島区でうまれ育った人でも、結婚したり子どもが生まれたりすると、家賃が高い、住宅も高いと、区外へ転出していくことは問題だと指摘し、大切なことは、「住む権利を保障する」ことであるとわが党は提案してきました。
今年4月策定の住宅マスタープランでは、改訂の視点として、「とくに子どもが生まれて、成長していくと、住宅についての条件は大きく変化し、地域に住み続けるためには課題が生じます」とし、また、「18 歳以下の子どものいる世帯の転出状況によると 63.1%の世帯が子どもの年齢が6歳に達するまでに転出している」とあります。そこで対策の一つとして、ファミリー住宅の付置義務を要綱で規定しました。しかし、その効果は疑問です。附置義務で、高額のマンションや高家賃の住宅がふえても、住み続けることができないからです。
今、マンション価格が高騰し、一部屋200億円などというマンションがあったり、以前は億ションと言えば、超高級だったが、今は平均で億ションとなっています。
報道では、23区内のファミリー向け物件の平均家賃は、昨年に比べて月額3万2千円上昇し、21万円を超え、シングル向け物件も初めて10万円を超えたとのことです。
豊島区は、中堅所得ファミリー層向けの定住化対策として1990年代に「区民住宅」の建設を進めましたが、20年の期限が来たら次々に廃止、最後の1棟も今年度中に廃止する予定です。わが党によせられた区民アンケ―トでも、若い人が済み続けられるように、家賃補助や公営住宅を求める声は強くなっています。
5月15日開催の議会報告会で、区営住宅の定期利用について「ひとり親」も申し込めるように改正したことについて、区民からは、住み続けられるのは、『児童が12歳まで、となっているのはおかしい。13歳になったら自立できるわけではない。18歳までにすべき』との意見がありましたが、まったくその通りです。
そこで質問します。
子育て世帯が望む、安定して安心して住み続けられる住宅、区営住宅をはじめとする公営住宅の増設が必要だと指摘してきました。しかし、区は拒否し、民間の住宅を活用するとしてきたけれども、うまくいっていないのが現状です。区営住宅の要件緩和をし、対象世帯を増やしながら、入れる区営住宅の個数を増やさないのでは、不公平感はより一層強くなります。改めて住宅政策は区民の「住む権利」を保障し、民間だのみでなく、公営住宅増設が必要と考えますが、いかがですか。そして、そのことを基本計画に位置付け、財源とともに具体的な増設を入れ込むべきです。答弁ください。
また、区営住宅については定期利用であっても低所得の世帯に対しては、児童が18歳になるまで住み続けられるよう延長すべきですがいかがでしょうか。
さらに、区民住宅は廃止せず、子育て世帯の区営住宅にすべきです。また、あくまで廃止するというなら、区民住宅にかわる思い切った新たな家賃補助制度を実施すべきです。
まちづくりの方向として三番目に、大型開発について3点質問します。
その一点目は、池袋駅西口地区の都市計画決定の手続きについてです。
豊島区街づくり推進条例の第11条には、「区長は、地区計画等の案を作成しようとするときは、当該地区計画等に利害関係を有する区民等の意見をあらかじめ聴いた上、地区計画等の案の内容となるべき事項(以下「地区計画等の原案」という。)を作成するものとする」とあります。
これは地区計画等の「原案」を作るときに、「当該計画地等に利害関係を有する区民等の意見をあらかじめ聴く」ということであり、さらには、そうして作成した原案を示して利害関係を有する区民等に説明会の開催等をするということです。
しかし、4月15日に開催された豊島副都心調査特別委員会で、清水議員に質問に理事者は、事業者の素案をうけて、変更なく区が原案を作成した、と答弁、つまり「当該地区計画等に利害関係を有する区民等」に「あらかじめ」意見を聴取していないことが明らかになりました。さらには、この原案の縦覧、意見募集については、広報としまに掲載せず、個々に地区計画区域内の権利者に通知、「区域内の利害関係者は意見書を出せる」としました。
都市計画法16条2項では、原案作成手続きは条例にゆだねるとしており、例えば「東京都再開発等促進区を定める地区計画等の案の作成手続きに関する条例」では、その規定があります。しかし、豊島区の街づくり推進条例では、目的は都市計画法18条の2都市計画マスタープランの実現をはかるためのもので、都市計画法16条2項の委任を受けたものでない、施行規則では、「利害関係人」として「区内の不動産に権利を持つもの」という定義はあるが、区域内の住民という規定はないのであります。
最高高さが、270mというサンシャイン60よりも高いビルを含む3棟の超高層ビルを建てる巨大な再開発ビルをつくる地区計画の原案ですから、本来区域内だけでなく、豊島区民の意見をきいてつくられるべきです。
そこで質問します。原案が、事業者の提案のみでつくられ、原案については地区計画区域内の利害関係者だけしか意見募集がみとめられずに作られたことは、住民参加のまちづくりという考え方に反するし、条例違反とかんがえます。手続きにおいて明確な条例違反があることについて、区長は認めますか、それをどう是正するつもりなのか、お答えください。
二つ目は、今豊島区が進めている池袋周辺の街づくりの行く先についてです。
池袋駅西口地区の「都市計画案の公告・縦覧・意見募集・説明会の開催」が行われました。今後、豊島区都市計画審議会で付議され、答申がだされ、すすんでいくとされます。
6月8日~10日にかけて、池袋駅西口地区にかかる都市計画案、オープンハウス型説明会が開かれました。私は、10日夕方に行きましたが、思ったより参加者は少ないように感じました、また、9日(日)に行った方からも「自分一人だった」「模型をみたらこれまでの池袋が全く変わってしまい、なじみの店もなくなる」「完成は約20年後では自分は生きていない」といわれました。私も巨大なビルが駅前に立つことを実感しました。今後、池袋駅の西側には、西池袋1丁目地区の再開発計画があり、東側にはこれまで指摘してきた、南池袋2丁目C地区と東池袋1丁目地区の2か所が都市計画決定済み、これに加えて、南池袋2丁目28番街区地区、大塚駅南口に計画があります。さらに東池袋地域では、造幣局南地区も街づくり協議会があります。これらによって、オフィスビル、タワーマンションが次々につくられるのであります。現在オフィスビルの需要は低く、空室率も危険水域と言われています。タワーマンションが次々とつくられる中で、急激に子どもの数が増え教室がたりない、子どもスキップが足りない、との状況も起きます。
そこで質問します。
かつて、まちづくりにおいて、「豊島区らしさ」ということが言われたことがあります。2014年に策定した「池袋副都心整備ガイドライン」、日本共産党区議団は反対しましたが、ここでは、ガイドプランの対象地域全体を「賑わい交流エリア」として、ヒューマンスケールの賑わいを誘導、「気安さが魅力の池袋の街の雰囲気を生かし」等と書いてありました。しかし、池袋駅西口再開発のこんな巨大な建造物の中に「豊島区らしさ」「池袋らしさ」「ヒューマンスケール」はどこにあるのでしょうか。ただただ、大企業が進めるビル建設優先になっているではありませんか。
人口減少社会の中で、来街者をふやす、人を呼び込む街づくりと言って、東京一極集中をあおり、超巨大なビルを作り、タワーマンションなど高級マンション建設を促進していくやり方は、見直す時期に来ているのではありませんか。答弁ください。
大型開発の三つ目に特定整備路線についてです。
特定整備路線については、東京都は「防災」を強調してきましたが、現実には、補助73号線十条駅前や補助26号線大山ハッピーロードの問題等、道路建設をテコにして大型開発、再開発ビルが作られています。
東京都は、今年4月機動取得推進課を63人の体制で建設局に設置しました。ここが担当する中で最も多い32件が池袋本町の補助82号に集中しているとのことです。また、建設局では「『建設局土地収用制度適用基準』の運用」を今年3月29日改訂しました。第一に、土地収用以前の大前提とされていた任意折衝による円満解決を原則とするとの文言が削除されていること。第二に、基準となる八〇%を超える用地取得や事業開始五年の期限を過ぎて、測量や調査、折衝などの手続を経てもなお合意できないときは、都が事業の早期完成のため緊急を要する場合や事業効果の早期発現に支障があると判断さえすれば、土地収用法に定める手続を進めるとされており、さらには「留保の規定」が削除されています。これは権利者の住民が、どんなに正当な理由で反対していても、都の権限で強引に土地収用手続に入れる、そのための運用規定といわざるを得ません。
補助82号は今年3月末現在の用地取得率は全体で約75%ですが、上池袋側は約73%、本町側は約78%となっています。現地は、木密とはいえない普通の住宅地であり、碁盤の目のように道路がありますが、現道がない場所に無理やり斜めに道路を通した結果、虫食い状態になっているだけです。特段に補助82号に重点的に集中して用地買収の人員を配置する理由は何なのか、大変疑問です。
そこで質問します。
まず、82号線への機動取得推進課の職員の集中的な投入、および今回の「建設局土地収用制度適用基準の運用」の改定について豊島区は知っていたのかどうか、伺います。
また、知らなかったとすれば、地元自治体には知らせずに進める東京都のやり方はあまりにも独断的ではありませんか。答弁ください。
上野副区長は、東京都技官でありました。技官当時にこれら「運用」の改定や用地取得の促進についてかかわったことがあるのか、伺います。
そして、なぜ豊島区の補助82号に機動取得推進課職員が集中して入ったのか、区民に一番身近な自治体である豊島区が、明らかにすべきではありませんか。答弁ください。
また、機動取得推進課の職員投入と「運用」の改定など、一方的で強権的なやり方は撤回させるべきです。いかがか。
まちづくりの方向の項目の最後に、財政運営について伺います。
昨日、儀武議員が学校改築にかかわり財源について質問しました。
豊島区では、すでに今年度の予算で示された今後5年の投資的経費では、市街地再開発事業や防災街区事業などの大型開発が盛り込まれています。これまで指摘してきた東池袋一丁目、南池袋2丁目C地区に加え、20年かかる巨大な池袋西口地区の開発、これは25年度予定されている事業計画認可で定まっていくとのことですが、さらに投資的経費が増えるのは想像に難くありません。「市街地再開発は、財政調整交付金があるので、実質的に区の負担はない」と区は言いますが、国の補助金も財調交付金もすべて税金です。
そこで質問です。
大型開発を見直せば、税金の使い方が変わります。この間、国や東京都は、大企業がもうかる大型開発には湯水のように税金を投入しますが、学校改築・改修にはお金を出さないのが現実です。この姿勢を変えさせるためにも、豊島区は大型開発をやめ、最優先すべきである子どもたちの教育や地域コミュニティの中心となる学校や区有施設、高齢者や障がい者の施設や施策に全力を尽くすべきです。区長の見解をうかがいます。
第二に、子育て支援策について質問します。
小中学校の私費負担を軽減することについてです。
第一回定例会で、わが党が東京都が実施する学校給食の無償化の半額補助の活用について質問したところ区長は、「今後の補正予算において、財源更正により、教育費の特定財源として充当する予定」と答弁しました。また、教育長は、学校給食費の無償化のさらなる拡充について拒否し、私立やフリースクールには、別に補助がでると答弁していましたが、インターナショナルスクールには補助がないということではありませんか。区は、学校給食無償化の東京都の補助として3億円余りを都に申請したと聞いております。
そこで、質問します。
第一回定例会での「教育費の特定財源として充当する」とはどういう意味でしょうか。あらためて、東京都の給食費補助によって浮いたお金を使って、インターナショナルスクール、フリースクールや国立私立の児童の給食費や、小中学校の学用品代として補助を行い、保護者の負担軽減をすべきです。いかがか答弁ください。
第三に マイナンバーカードについてです。
先日、薬局の受付で「マイナンバーカードもってますか。次回持ってきてください」といわれた男性が「マイナンバーカードはもっていない。なんでそんなことをいうのか。」と怒っていました。後期高齢者の方から、「病院でマイナンバーカードがないと受診できない、と言われた、押し問答の末、受診はできたがおかしい。病院も変える」とお怒りの電話をいただきました。
報道にもありますが、国が医療機関に支援金を出してまで推し進めている『マイナ保険証』の普及キャンペーンで、マイナ保険証を優遇するなどの状況が生まれ、病院や薬局の窓口でトラブルが生じているのです。
「マイナ保険証」の4月の利用率が6.56%と低迷しています。多くの国民がマイナ保険証をつかわないのは、この間の「別人との紐づけ」や、今後も多くの情報がマイナンバーに紐づけられ、漏洩や目的外使用をされたときの被害など、マイナンバーカードそのものに不安があるからであり、また持ち歩いたときに落とす危険もあるからです。
12月2日以降は、被保険者の資格確認方法は、マイナ保険証のスマホ搭載も含めて9種類にもなり、医療機関から悲鳴が上がっています。取得は任意というならマイナンバーカードがなくても、安心して必要なサービスが受けられるようにする、保険証を発行するのが当然ではありませんか。にもかかわらず、政府は「保険証廃止」の手続をすすめているのです。
マイナンバーカードにかかわる経費は、豊島区では制度開始から2022年度までに6億円以上が費やされてきました。さらに今定例会では、国民健康保険事業会計補正予算(第一号)で、「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行するとして、3100万円余が計上されています。その多くの財源は国や東京都から来るとはいえ、お金も手間もかかるということです。
2022年第二回定例区議会で、私は、「事実上の強制となる健康保険証をマイナンバーカードとするなど、国民にマイナンバーカードを押しつけるのはやめるべき」と質問。当時の区長は、保険証の原則廃止の例外として『加入者から申請があれば保険証は交付される』という一文が明記されている、選択可能な制度であることは変わりはない、としていました。
そこで質問します。
今後、後期高齢者医療の、「マイナ保険証」に移行するための経費は、いくらかかるのかでしょうか。そして、これまでの混乱にさらに拍車をかける「保険証の廃止」はやめるべきと考えますが、答弁ください。
政府がいう「選択可能な制度」とは建前で、実際には次々と強制する施策が打ち出され、それをごまかすために制度が複雑化しています。あらためて、マイナンバーカードの利用促進の業務はやめ、一度立ち止まって再検討するよう国に申入れをすべきです。
以上で質問をおわります。ご清聴ありがとうございました。