私は、日本共産党豊島区議団を代表して、
「命を守る社会保障制度にするために いまこそ公助を基本に」と題し、
1命と人権を守る社会保障を、2国民健康保険について 質問します。
菅自民・公明政権は、コロナ感染症危機の下でも社会保障全般の改悪を進めています。75歳以上が支払う現行1割の医療費窓口負担に2割負担を導入することを柱とした医療制度改定一括法案を国会に提出、2022年度後半から導入する計画です。一括法案には、国民健康保険について、2022年度から保険料の「均等割」を、未就学児に限って公費で軽減することが盛り込まれてはいますが、一方保険料を抑えるため市区町村が独自に実施している公費繰り入れの「解消」などに向けた取り組みを都道府県の運営方針に明記させる改悪も盛り込まれています。いまでも高すぎる国保料の大幅値上げへの圧力となります。
介護保険では、21年度以降の介護報酬が0.7%引き上げられることになりました。ただし、そのうち0・05%分は、新型コロナウイルス対応分として21年9月末までの時限措置。度重なる報酬引き下げやコロナ危機による現場の疲弊を打開するには、程遠い水準です。
安倍政権が進め、菅政権も引き継いできた「全世代型社会保障への改革」は少子高齢化の中でも必要な労働力を確保し、社会保障の削減・市場化を促す、大企業中心の新たな成長戦略であり、社会保障改悪の総仕上げであります。「切れ目なく全ての世代を対象とするとともに、全ての世代が公平に支え合う」としていますが、全世代の負担が増えることだけがはっきりしています。社会全体で支えあうというなら、もうかっている大企業や富裕層に負担を求めるべきですが、そういう話は一切ありません。
本来、社会保障というのは貧困、生活苦、就学困難、医療を受けられないなど国民の生活難を解決するために、生存権と個人の尊重のために存在するのであります。
第一の質問、命と人権を守る社会保障を、では後期高齢者医療と介護保険について伺います。
最初に、後期高齢者医療についてです。
後期高齢者は病気やけがをすることが多く複数の医療機関にかかったり、治療が長期化したりします。一方、収入は公的年金などに限られている上、年金額も目減りしています。75歳を過ぎても生活維持のため働かざるをえない人も少なくなく、家計を切り詰めているのが、現実です。保険料は、2年ごと改定時には毎回値上げされ、また軽減措置が次々と廃止されてきました。高い保険料をとって医療にかかる時にはさらに高い自己負担がある、これでは医者に行くのをやめる、受診抑制で重症化リスクが懸念されます。冷たい政治です。
菅政権は2割負担の最大の口実に「若い世代の保険料上昇を少しでも減らす」ことを挙げますが、もともと高齢者の医療費を若い世代に肩代わりさせる後期高齢者医療制度をつくったのは自公政権です。高齢者の医療費に占める国庫負担分は、老人保健制度が始まった1983年の45%から現在は35%に減少しました。若い世代の負担軽減というなら、少なくとも国庫負担を45%に戻し、国としての公的役割を果たすべきです。
そこで質問します。
豊島区でも5000人が二割負担の対象になると想定しています。国が責任を投げ捨て、高齢者を「お荷物扱い」し、世代間の対立をあおり、分断をはかるのが、菅首相のいう「自助・共助・公助」です。区長、「高齢者にやさしいまちづくり」というなら生存権保障と社会保障の向上・増進を定めた憲法25条に基づき、このような後期高齢者の負担増に反対の立場を表明すべきです。答弁ください。
次に、介護保険について二点伺います。
「介護の社会化」をうたって介護保険が始まって20年が経ちました。しかし、「保険あって介護なし」の状況はこの間ひどくなっています。1号被保険者の保険料の基準額月額は第一期当初の3025円から現在6090円に、これが6200円になろうとしています。高い保険料を払っても、特養ホームの入所は要介護度3以上となり、それでも待機者がいて入れない、また介護給付の利用料も、所得によって2割負担が導入されました。歴代政府が「保険料の上昇を収めるため」と言って給付抑制を続けてきたことは、介護保険をいざというときに使えない仕組みにしてしまいました。
2016年からは、要支援1と2に対するホームヘルプやデイサービスには、保険給付より単価が低く設定される総合事業が導入されました。
総合事業で、「利用者の利用料負担が下がった」と言いましたが、介護事業者には収入減となったのです。要支援と要介護にまたがるような区分変更の申請をする場合など、暫定ケアプランと介護認定がちがっていると、その期間の介護サービスは、全額自己負担とすることで、豊島区は事実上区分変更を抑制しています。要介護認定によって、その人らしく生きるために必要なサービスが受けられない、これは個人として尊重されていないということです。この問題をわが党は2016年から議会で取り上げていますが、豊島区は改善してきませんでした。
介護保険の一点目は保険料についてです。
豊島区の第8期介護保険事業計画における介護保険料は、基準額(第五段階)で年額74400円、月額6200円となります。また値上げです。
介護保険給付費準備基金は、2020年度末で24億5000万円となります。過去最高の残高です。
世田谷区では、2020年度末の介護給付費準備基金残高が94億4000万円とみこみ、57億7000万円を保険料抑制にあて、基準額だけでなく全段階で第7期より保険料を引き下げることになるとのことです。また23区の中で4区が値上げしないと聞いています。
そこで質問します。
介護給付費準備基金残高がここまで多額となった理由についてお答えください。
豊島区は、介護保険料を、なぜ引き下げないのですか。24億5000万円ある準備基金の一部を使い介護保険料を引き下げるべきです。答弁ください。
介護保険の2点目は、介護事業所の経営難と介護人材の深刻な不足です。
東京商工リサーチは12月3日、2020年の「老人福祉・介護事業」の倒産件数が12月2日時点で112件に達し、介護保険法の施行以降、最多を更新したと発表しました。「休廃業・解散」も過去最多となる見通しで、倒産と合わせて初めて600件を超える可能性が高まったとしています。「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、安倍前政権が行った、2015年度の過去最大の介護報酬引き下げ以降に激増しています。新型コロナで利用者が減っていることが追い打ちをかけています。
介護業界で働く多くが女性で、非常勤等不安定な雇用です。ホームヘルパーでは、年齢は60歳代以上が四割を占め、80代のヘルパーも現場の重要な戦力、20代は全体の4%と言われています。介護従事者の厳しい労働環境や劣悪な処遇が原因です。政府は今後5年間に毎年6万人以上の介護人材を増やすことが必要と強調しますが、外国人やボランティアだのみのやり方ではうまくいきません。
今、世界でも日本でも、介護・医療・障害福祉・保育等ケアの重要性が見直されています。ILOのガイ事務局長は、新型コロナ感染症大流行の中で、これまで過小評価されてきたケア労働の不可欠の役割が明らかになった、そしてもっぱら女性や移民労働者で担われているそれらの仕事が低賃金・不安定雇用となっていることは、「不正義」だとしたのです。かつて、民主党政権時代、自民党も公明党も給付の充実や従事者の処遇改善を保険料・利用料に跳ね返らせずに行うため、介護保険の国庫負担・公費負担を引き上げることを主張していました。いまこそ保険財源の公費負担割合を増やし、保険料・利用料の負担増につなげずに介護報酬を引き上げるべきです。
そこで質問します。
まず、新型コロナ感染症がある中で頑張っている介護事業所に対する支援が必要です。区有地を活用した介護施設に2021年度限定で臨時特例的に土地賃料などの財政支援をするのは、評価します。しかし、それ以外の介護事業者の経営も大変です。昨年豊島区は介護事業所1事業所10万円の支援金を出しましたが、他区では50万円というところや、従事者への直接支援を行った自治体もあり、豊島区はあまりにも少なすぎます。介護事業所への家賃補助、従事者への直接補助、さらには再度の支援金支給を求めます。
高齢者が安心して介護を受けられるよう、高すぎる保険料を引き下げるためにも、必要な介護が受けられる制度にするためにも、国に対し、国庫負担割合を引き上げるよう求めるべきです。答弁ください。
第二の質問、国民健康保険について伺います。
一昨日16日開催の国民健康保険運営協議会で、国保条例の一部改正について、諮問がありました。16日午後に区長会がおこなわれ、その夜審議会を開催のため、資料は机上配布です。その場で資料を見せられて、その日に答申、というのは余りに乱暴、区民無視です。昨年も同様のことがありました、こんなことでは国保運協が形骸化してしまいます。
貧困と格差が増大し、年金、医療、介護などの社会保障改悪と消費税増税のもとで、区民のくらしは悪化の一途をたどってきました。それに加えて新型コロナウイルスの感染拡大は、区民のくらしや営業を深刻な事態に陥れています。昨年2月から実施されている新型コロナウイルス感染症の影響による国保の減免申請は、12月28日現在で3537世帯が減免の対象になっています。
さらに現在の「第3波」の急激な拡大は、「医療崩壊」の危機とともに、廃業・倒産・雇止めなどを加速させており、一刻も早く感染防止と国民健康保険の抜本的な拡充が求められています。
ところが厚労省は、保険料の値上げと徴収強化を迫り、財務省は、法定外繰入解消や都道府県単位での保険料率の統一化の法的措置を迫っています。東京都も来年度からの国保運営方針改定案では、各自治体に繰入解消を迫っています。
今でも高くて払えない国保料がコロナ危機のもとでさらに大幅に引き上がることになるならば、一層深刻な事態を招くことは必至です。国保加入者の7割が所得の低い非正規労働者や無職者・年金生活者で占められているのに保険料は高いという構造的な問題を自治体も国も認識しているはずです。コロナ危機を経験したからこそ、真に命と健康を守る医療保険制度にしなければなりません。
そこで質問します。
2月5日にわが党区議団は、来年度の国保料については、現状を認識し、区長が16日の特別区長会では、国保料を値上げせず引き下げる立場に立つよう要望しました。区長は、「事務方がやるので、当日発言しても仕方がない」と言っていましたが、そういう姿勢が間違っているのです。区長会で、区長はどのような発言をしたのか、お答えください。
「構造的問題」を解決するには公助が必要なのです。高すぎる保険料を下げるには、区の財政支出としての法定外繰入や、国や東京都の財政支出が必要です。改めてこの立場に立つことを求めます。いかがですか。
また、多子世帯の負担が重くなる子どもの均等割については、国は未就学児を対象に2022年度から均等割の軽減など減免の実施を示していますが、直ちに子育て世帯への国保料の負担軽減が必要です。来年度豊島区独自に就学前の子どもの均等割りを2分の1補助するための経費は約3900万円とのこと。十分できるので実施すべきです。答弁ください。
国民健康保険は、前年度の所得を基準に保険料がきまるため、景気後退などで急に収入減になっても保険料が上がるということがおきます。これまで保険料の減免制度はあっても「生活保護を利用したとき」以外には、ほとんど適用されていませんでした。今回新型コロナウイルス感染症による減収について、保険料減免制度ができて多くの人が利用しています。国保の傷病手当金の支給も不十分ですが創設されました。前進面といえますが、新型コロナ感染症でなくても社会保障として必要な医療を受けられなければなりません。
そこで質問します。
コロナ感染症はいまだ収束の目途はありません。まず、来年度も保険料の減免は実施すべきと考えますが、いかがですか。傷病手当金については自営業者にも拡大するとともに、新型コロナ対応の国保料の減免にあたっては、フリーランスなどの「雑所得」で確定申告している方も対象とするよう求めます。
さらに、保険料の減免制度を見直し、コロナが収束した後でも、だれもが安心して医療が受けられる国民健康保険制度にすべきと考えますが答弁ください。