HOME主な活動議員別かきうち信行「区民住宅廃止条例を廃止する条例」反対討論しました かきうち信行 【12/3】
かきうち信行
「区民住宅廃止条例を廃止する条例」反対討論しました かきうち信行 【12/3】
2024.12.06

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております第82号議案、豊島区立区民住宅条例を廃止する条例について、可決に反対の立場から討論を行います。
 本議案は、借り上げ契約が満了する区民住宅をオーナーに返還することにより、全ての区民住宅の管理が終了するために条例を廃止するため提出されたものであります。

 今回返還予定の区民住宅は、ソシエ南池袋第二の1団地12戸です。
 すでに区は、平成26年度末より20年の契約満了に伴い、順次オーナーに変換をすすめ、312戸を返還。今年度の1団地をもって区民住宅は本区からはすべて無くなります。

 そもそも区民住宅は、特定優良賃貸住宅として、区がオーナーより20年契約で借り上げ、入居者には20年間を期限として利用承認する区の住宅であります。豊島区では、ソシエという名称で呼ばれているものです。
 特定優良賃貸住宅を取り巻く状況について区は、地域優良賃貸住宅制度、すなわち地優賃制度へ移行したことにより、全国的にその役割を終えたとしています。また東京都の事業である都民住宅も例外なく返還する方針です。そのために本区でも借り上げ契約が終了した住宅を順次オーナーに返還し、今回ですべて終了ため条例を廃止するものであります。
 今回の条例改正は、区の住宅対策の後退であることは明白であり、順次廃止に反対する理由について述べます。

 まず第1に、無責任な区の対応についてであります。
 区の住宅対策を若干振り返りますと、バブル期から本格的に始まりました。自民党政権は、自分の家は自分でという持ち家政策が中心のため、日本の公営住宅建設は余り進んできませんでした。特に都心部は土地が高く、定住化は困難で、マイホームを持つことは夢のまた夢、バブル期では住まいの確保は難しく、本区でもファミリー世帯の流出が大きな課題でありました。年々減り続ける人口は、土地の高騰と高家賃によるもので、その対策は本区でも急がれていたのでありました。特に所得の低い人は家が持てず、居住水準に満たない住宅に住まなければならない状況に置かれ、豊島区のように都営住宅など公営住宅が少ない区は、なおさらでありました。
 区は、我が党の粘り強い主張から、80年代後半から独自の住宅対策に乗り出しました。区民住宅もその1つで、区営住宅や福祉住宅だけでなく、中堅所得者層向けの住宅として区民の定住化を図るというものでありました。
 1995年4月ソシエ西池袋とソシエ長崎の2団地を皮切りに2005年までに324戸を供給してきました。

 私はこの区民住宅条例の新設にあたり審査に当たった1人ですが、当時もさまざまな角度で議論されました。理事者は、中堅所得者層の人たちを公的にカバーしていく住宅政策がなかったということが一番の始まりで、一番何もやっていなかった対象に向けた政策であると答弁しております。
 さて、バブル崩壊後、土地の価格は下落し始め、住宅制度を取り巻く状況は確かに変化しました。区民住宅では、同じ家賃負担をするなら、ローンを組んでマイホームを取得したほうが得、また、より安い賃貸住宅を求めていくようになりました。つまり、区民住宅の家賃負担額が高いために空き家の発生が多く見られるようになったのであります。
 豊島区は独自策として、所得区分Ⅰ、Ⅱ以上の方について、傾斜家賃を凍結するなど対策を講じました。また、要件を緩和し、それこそ、どこからでも申し込みできるようにもしました。それでも申し込みが少ないのは、家賃が高く、公営住宅としては魅力のないものにしてしまったからであります。
 我が党がかねてから主張しているように、家賃負担を引き下げることや、低所得者向けの公営住宅に転用すれば、廃止しないでも済んだのであります。実際、中央区や新宿区や目黒区では廃止を延長したり、区営住宅や福祉住宅に転用したりして残している区もあるのであります。結局、本区は、無責任な住宅行政の結果、定住化どころか、家賃を払い切れない入居者を追い出すことにしてしまったのであります。
 
 廃止に反対する第2の理由は、継続入居者支援策が余りにも不十分ということです。
 区は、廃止したソシエに引き続き入居を希望する場合、激変緩和措置として引き続き入居支援の助成を行うとしています。現在ソシエの入居者は、5段階の所得に応じた家賃設定がされており、所得の低い区分の人ほど契約家賃との差額を区が多く助成しております。制度上は、廃止した区民住宅の入居者は、所得に関係なくオーナーとの契約家賃を払わなくてはなりません。そのため、満了後も引き続き入居する方に対し、条件に該当する方には助成金を支給するとしているのであります。
 では、具体的にその支援策とはどういうものでしょうか。
 1年目はこれまでの家賃、すなわち入居負担額の1.2倍を新負担額とし、その差額を助成するものであります。2年目以降は前年の家賃負担額をさらに1.2倍とする新家賃としていき、オーナーとの契約家賃と新家賃との差額がなくなるまで助成するというものです。
 委員会では継続入居者の家賃が返還後どうなるのかイメージによる説明がありました。
 オーナーとの契約家賃が月10万円の団地で、7万円の入居者負担額の方は、契約が終わった翌年は、1.2倍の家賃になるので8万4,000円、さらに翌年は、10万1,000円になるため区の補助はなくなるという説明でした。
 今回返還予定のソシエ南池袋第二の入居者の場合どうなるかとの私の質問に、理事者は、オーナーとの契約家賃がおおむね16万円が、返還後のオーナーとの新家賃は、20万円になるといいます。

 現在、ソシエ南池袋第二の入居者で、最も家賃が上がる世帯の例を見ます。
 この世帯は、月額所得区分Ⅰであるため、現在の家賃は11万5,000円ですが、制度では、返還後1年目は月13万8千円の負担、2年目になると16万5,600円と、3年目にはオーナーとの新契約家賃20万円近くとなってしまいます。
 激変緩和といっても毎年1.2倍ずつ上がれば3年後にはべらぼうな高額家賃になる仕組みですからすでに返還済みの区民住宅には、もうこの制度を利用している人は皆無です。

 月額世帯所得区分Ⅰというのは、月額所得23万8,000円以下の世帯であります。この区分は、実際の月収は手取りでおおむね34万円から40万円程度と言われています。手取り34万円が世帯の手取り月収とすれば、現在は家賃に充てる比率は33.8%ですが、区民住宅返還後2年目には月収の約50%を家賃に充てなくてはならなくなるのであります。
 一般的に、生活費全体の25~30%までが家賃や住宅ローンの負担の限界と言われていますが、区が区民住宅を廃止することによって、住む区民に50%に近い負担を負わせることになり、結局は転居せざるを得なくなり、追い出すことになるのであります。絶対にやってはいけないことであります。
 
 第3の反対理由は、住宅対策そのものをますます軽視しているということであります。
 これまでも区営住宅や福祉住宅の増設を求めても、区長はこれを拒否し、公営住宅よりも既存の賃貸住宅の利活用や供給のあり方に移行すべきものと言っていますが、しかし、これもうまくいっていません。区民の望む公営住宅の増設、確保を区長は拒み続けています。区民の住まいを第一優先の課題として位置づけるべきであります。
 区有地を活用すれば、国や都の補助金もあり区営住宅は1団地25戸分で約1億5,000円、借り上げの福祉住宅は25戸分は2,050万円で増設できるのであります。
 廃止する区民住宅も家賃補助を拡充すれば、存続して公営住宅として活用できるものであります。
 今回の審査で、ファミリー世帯の定住化支援策の必要性の認識についてただすと、家賃補助制度の拡充を言いますが、これも転宅の場合の差額の期限付きでの支援であり支援策としては、不十分なものです。

区民住宅の廃止は結局、区の住宅対策の後退であり、認められません。 今後は区民の実情を直視した住宅対策を推進することを区長に求め、第82号議案、豊島区立区民住宅条例を廃止する条例の討論といたします。

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