私は、日本共産党区議団を代表して、ただいま議題とされています第20号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例について、可決に反対の立場から討論を行います。
第20号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例は、新型インフルエンザ等対策特別措置法、国民健康保険法施行令及び特別区国民健康保険事業の調整に関する共通基準の一部改正に伴い、改正するものです。
この条例改正に反対する理由は、今でも高すぎる保険料が値上げされるからです。
来年度の保険料がどうなるのかについて述べます。
まず基礎分の賦課額は所得割率が7.14%から0.01ポイント削減され7.13%に、均等割額は今年度39,900円が38,800円と1,100円削減され、結果、本区での一人当たり保険料の参考値は今年度89,474円が来年度は85,636円と3,838円下がりました。
後期高齢者支援金分はどうか。
所得割率は現行の2,29%から2,41%と0,12ポイントの引き上げ、均等割額は300円増の13,200円に、その結果、本区での一人当たり保険料は参考値で、30,505円が30,787円で今年度より282円の値上げとなります。
介護納付金はどうでしょうか。
所得割率が1,96%から2,45%と0,49ポイントの引き上げ、均等割は15,600円が17,000円と1,400円の引き上げ、その結果、豊島区の一人当たり保険料は35,703円が40,853円と今年度より5,150円の値上げとなります。
結果、区民への影響はどうなるか。
今回の保険料率に基づき、来年度の収入別・世帯構成別の保険料を試算したモデルケースをみますと、基礎分の引き上げは抑えられ、単身や若干の低所得者層は今年度よりいくらか減額となっています。しかし収入300万円以上は殆どの世帯が保険料引き上げとなりました。また、40歳以上65歳未満の単身世帯で年収200万円の場合、保険料は175,711円と今年度より5,940円もの値上げとなっています。収入400万円の40歳以上65歳未満の大人2人と子ども2人の4人世帯では、年間保険料はなんと521,367円で今年度より13,580円もの大幅値上げとなっています。
あとでも述べますが、今回は特別区において「新型コロナウイルス感染拡大という特殊な社会情勢に鑑み、今年度と同様に来年度も国保事業費納付金を96%」としたのです。結果、基礎分の引き上げは抑えることができたのです。このことは評価しますが、国の数字で計算された後期高齢者支援分、介護納付金分とも大きく引き上げられた結果、保険料が上がったのであります。
毎回指摘している通り、国保の加入者の約8割が年収200万円以下という状態が続いています。さらにコロナ禍による国保料の減免見込み世帯は約3,500件、被保険者世帯の6,4%にもなっています。今でも高すぎて払えない、コロナ感染症で多くの人が苦しんでいるときに、保険料を値上げすることは許せません
2018年4月から国は安倍政権の下で「国民健康保険を将来にわたって堅持するため」と言って、国保制度の広域化を始めました。国保の運営主体は区から都道府県に代わり、国が各都道府県に給付費、納付金を示し、東京都が各自治体にさらに示すという流れとなりました。
区長会は保険料率算定における特別区の基本的考え方として、国保事業費の法定外繰入を無くすことを目的とし、激変緩和措置で、今年度は(令和2年度)は96%とし、今後2023年度(令和5年度)までの3年間で法定外繰入を0とする計画を進めてきました。
今回は特別区において「新型コロナウイルス感染拡大という特殊な社会情勢に鑑み、今年度と同様に来年度も国保事業費納付金を96%」としましたが、今後2023年度に納付金を100%とする方針が変わらないのであれば、多額の納付金を求められことになり保険料に大きくは跳ね返ることは必至です。法定外繰入を無くすこと自体大問題です。
改めて言いますが、今こそ制度の全面見直しで国がかつてのように国庫負担を出すべきであります。また自治体が独自に法定外繰入や減免を行う事は規制されていません。本区の国保加入者が安心して収入に応じて保険料を払い、安心して医療を受けられるためにも法定外繰入を実施すべきです。しかしこの間、区は公平性の観点からできないと答弁しています。
なぜダメなのか、区は「法定外繰入は一般会計から入れることなので、国保でない方からも負担を頂くという事。これでは負担の公平性を欠く」「被保険者間の負担の公平さを欠く」と繰り返し答弁しました。そして部長は「国保制度が生存権25条に基づいていることは承知している。以後国民の社会的義務も言及」「また公費の負担割合等は社会状況に応じてできるもの」との答弁がなされました。
私は毎回、国保の審査で取り上げてきましたが、国民健康保険制度は法律で示されている通り社会保障制度です。
旧国保法は相互扶助の精神が強調されていましたが、1958年(昭和33年)に作られた新国保法はその第一条の目的に「この法律は国民健康保険事業の健全な運営を確保し、社会保障及び国民保険の向上に寄与する」と明記されています。
かつてはこの立場から、国は国保財源に42%を投入していました。ところが1984年の法改定で国庫負担を大幅に削減し、更に今回、国保の広域化で法定外繰入を無くすとしているのです。これでは国民健康保険制度自体が崩壊することは明らかです。
今こそ、国保法第一条に立ち返り国庫負担を増額するよう国に強く求めることと合わせ、区としても法定外繰入をきちんと存続することを強く求めます。
最後に報告事項として資格証・短期証の取り扱いの説明がありましたが一言触れます。資格証は今までは2年以上保険料の滞納がある世帯としてきましたが、今後は1年以上の滞納保険料がある世帯で区が必要と認めた世帯等とする、短期証等も、区民に寄り添った丁寧な対応をし、交付数をへらしていく方向が示されました。そもそも今まで異常な対応でした。横浜市などは制度自体を見直しています。是非区民に寄り添った対応を求めます。
以上、第20号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例には反対するものです。