
私は、日本共産党豊島区議団を代表して「地方自治体の役割は福祉とくらしの向上」と題し、一般質問を行います。
質問に入る前に一言申し上げます。
本日の本会議冒頭、わが党の故清水みちこ区議会議員の逝去にあたり、高際区長並びに林ふたば議員より、弔辞をいただきました。貴重な本会議の場で、お悔やみの言葉をいただき誠にありがとうございました。生前の清水議員に対して、議員各位、区長をはじめとする職員の皆様には大変お世話になりました。謹んでお礼申し上げます。
それでは、順次質問致します。
第一に、基本構想・基本計画にもとづく、2025年度予算について
第二に、介護事業所の支援、介護職員の処遇改善について
第三に、2050としまゼロカーボン戦略について
第四に、北大塚一丁目都営アパートと東部区民事務所の建替えについて
第五に、投票所の改善について、です。
第一に、基本構想・基本計画にもとづく、2025年度予算について、です。
基本構想・基本計画は、将来のまちの姿を描き、基本となる考え方や方向性を示す区政運営の最高指針です。あたらしい「基本構想・基本計画」は、基本構想審議会、「未来としまミーティング」「区民ワークショップ」など区民各層や団体などで、活発な議論をしていただき、区民とともに考え、意見交換を行いながら、共につくりあげたとしています。
では、来年度予算にどうあらわれているか、具体的に見ていきたいと思います。
区は、2025年度予算の特徴として、1.行政需要の変化に柔軟に対応する予算編成、2.多くの区民の声を反映した基本構想・基本計画の実現に向け、第一歩を踏み出す予算、3.学校改築等、今後の行政需要を踏まえ、基金と起債を活用した、としています。
果たして、円安、物価高騰で暮らしに困難になっている区民に寄り添い、区民の声が反映された予算になっているでしょうか。地方自治体の役割は、「住民の福祉と生活向上」です。
今、米、キャベツなど野菜・食料品の価格が大幅に値上がりしています。電気料金も高くなったままです。毎日の買い物が怖い、という声も聞かれます。昨年、わが党区議団が実施した区民アンケート調査には、区民から2,298通の回答が寄せられました。物価高騰・暮らしについて、苦しくなったが49%、苦しい状態でかわらないが37%、あわせると実に86%にも及びます。生活が苦しくなった理由を聞くと、住民税や健康保険料、介護保険料などの負担を重く感じるが55%、やや重く感じるが35%、合わせると実に90%にもなります。
物価高騰と住民税、医療や介護の保険料と窓口負担や利用料の負担が重くのしかかっています。一方で、賃金や年金はあがるどころか、実質下がり続けています。区民の声を一部紹介しますと、「電気、ガス代が昨年の1.5倍になりもう大変。家賃もガソリン代もどんどん上がる」とか「特に固定資産税が増えたのがひどい」、30代の女性は「子育て中なのですが、教育費がとても高騰していて、もう1人産もうとはとても思えません」など多くの区民の切実な声が寄せられています。
昨年の第3回定例会の垣内議員が健康保険、介護などの社会保障負担が重いと感じる区民に対し、救済策を求めところ、区は「特別区及び東京都高齢者医療広域連合において、独自の保険料軽減措置実施した」とか「区の法定外繰入金を増やす必要があり、負担の公平性の観点からも、行う考えはありません」と冷たい答弁をしました。
しかし、今年度は、国保は、夫婦2人、子ども2人の子育て世代を見ると、年収400万円で69,666円の大幅な負担増です。悲鳴が上がるのも当然です。介護保険料、後期高齢者医療保険料も値上げです。
そこで質問します。
区は来年度予算編成で、区民の声を反映した基本構想・基本計画の第一歩と言いますが、物価高騰で苦しんでいる区民に対し、区民の声にどうこたえ、来年度予算に反映させたのでしょうか。今年度は11次にわたる補正予算を組み区民の声に応える施策を講じて来ましたが、来年度当初予算には反映させているでしょうか。特に、区民は、医療保険、介護保険など社会保障の負担が重いと言っている声に、来年度実施計画には、軽減策をもりこまれていませんが、いったい、どう解決しょうとしているか、お答えください。
次に、低所得者対策についてです。
長引く物価高騰で、最も深刻な影響を受けている方は、生活保護利用者、年金生活者などの低所得層です。年金だけでは暮らせないので、70~80代で働いている方も少なくありません。貯金を取り崩して生活しているが、あと何年持つか、不安を訴える人も増えています。区内在住の70代のМさんは、癌に罹患し2か月入院加療後退院しましたが、仕事も失い、貯金を使い果たして、生活保護を利用することになりました。現在の家賃は8万円ですが、転宅を迫られ、病を押して5万3700円の住宅を必死で探していますが、なかなか見つかりません。物価高騰で家賃も値上がりし、住宅扶助費の5万3700円の範囲でアパートを探すのは、極めて困難です。
2025年1月29日、福岡高等裁判所は、生活保護基準引下げ処分の取り消し等を求めていた福岡県内の生活保護利用者39名による控訴について、原告の請求を棄却した第1審判決を変更し、同処分の違法性を認めた上で処分を取り消すという原告側の逆転勝訴判決を言い渡しました。全国29の地方裁判所に提起されている同種訴訟において20例目の勝訴判決です。
わが党区議団は、国がこれまでに生活保護基準額を最大15%引き下げたのは、生存権を保障した憲法25条に反するもので、繰り返し国に求めることを指摘しました。
そこで質問します。
国は、生活保護の生活扶助費を月額500円引き上げる方向としています。豊島区の生活保護利用者の実状から見て、500円の引き上げが妥当のものと認識していますか、お答えください。住宅扶助については、見送られました。53,700円の住宅扶助は妥当なもの認識していますか、お答えください。先の決算特別委員会で、区は、国に対して、引き上げを要望したと言いましたが、いったい、いくらまで引き上げれば生活保護者が、安心して地域で暮らせるか、具体的にお答えください。さらに来年度予算には、生活保護利用者への負担軽減策は盛り込んだでしょうか。お答えください。また、生活保護者だけでなく年金生活者など低所得者への区独自の救済策を来年度予算にどう盛り込んだか、お答えください。
次に、住宅対策についてです。
来年度予算に、子育てファミリー世帯家賃助成の資格要件・助成の拡充などが盛り込まれました。家賃補助の拡充については、わが党も繰り返し求めて来ました。区民の声にも一定応えたものとして評価したい、と思います。しかし、住宅相談で多いのは、良質で低廉な住宅、いわゆる都営・区営住宅など公営住宅に入りたい相談です。わが党は、公営住宅の増設、安心住まい提供住宅の増設・拡充を求めて来ましたが、悉く拒否されてきました。本当に冷たいです。本庁舎の前に建築されるグランドシティタワー池袋等には、総事業費1279億円、税金が337億円投入されます。今、物件が売りに出されています。専有面積54.92㎡~88.44㎡、間取り2LDK~3LDKで、価格は、なんと1億5500万円~3億1800万円です。この価格で、いったい何人の区民が購入できるでしょうか、これが、区民の声でしょうか。多額の税金を投入しても、多くの区民は入居できません。
そこで質問します。
新基本計画では、「生涯にわたり健康で、地域でともに暮らせるまち」を掲げ、住宅対策の拡充を来年度予算の重点施策の一つに位置付けています。新規拡充として住宅確保要配慮者専用住宅供給促進事業で、専用住宅オーナー及び管理会社の空き家になるリスク軽減に資する区独自の支援策で、高齢者や障がい者の住宅確保のための専用住宅戸数を増やす狙いです。
しかし、国のすすめるセーフティネットの住宅確保要配慮者の仕組みは、オーナーの定めた家賃を市区町村が月額4万円を限度に補助金出すものであり、公営住宅の家賃とは違って高額な家賃になっています。区民が求めているのは、良質で低廉な公営住宅なのです。
来年度予算に盛り込んだ新規拡充により、区民の求める都営住宅、区営住宅、福祉住宅の応募が減り(代わりとなる)、低所得者への住宅供給が満たされるとお考えですか。
一方で、安心住まい提供事業の住宅は、空き家を口実に供給を減らそうとしていますが、立ち退きなどの入居要件を緩和すれば、低廉な家賃で賄えるはずですが、住宅そのものを、なぜ放棄してしまうのかお答えください。
第二に、介護事業所の支援、介護職員の処遇改善についてです。
自民・公明政府が2024年度から訪問介護基本報酬を2~3%引き下げたことを受け、訪問介護事業所の倒産は昨年、過去最多を更新しました。高齢者の在宅介護を支える訪問介護事業所が一つもない自治体が、昨年末時点で全国107町村になりました。半年間で新たに10町村が事業所ゼロとなりました。そうしたなか、世田谷区は2024年9月の補正予算で、国内の高齢者・障害者施設への総額約8億7000万円の緊急安定経営事業者支援給付金の支給を決めました、昨年12月から給付金申請の受け付けを始め事業者から歓迎されています。これは介護給付費の不足分を考慮した緊急支援金です。新潟県村上市は、報酬引き下げによる減収分を昨年4月の改定時にさかのぼって独自に補助することを決めました。同市によると同趣旨の自治体補助は全国初です。
支援金は、引き下げ前の訪問介護基本報酬に政府が昨年の改定で本体部分の平均引き上げ率とした0・61%を上乗せした額と、引き下げ後の実績の報酬額との差額を市内17の訪問介護事業所に支払うものです。支援策は次期介護報酬改定まで3年間の措置で、総額は4200万円。介護保険給付等準備基金を取り崩します。
昨年、第2回定例会で、訪問介護事業所の現状認識と支援を求めた私の一般質問に対して、区は、2022年11月、区内にある321の介護サービス事業所にアンケート調査結果を踏まえ、「介護人材の確保・定着・育成に向け、今年度からハローワークと連携した就職相談会の開催など、介護事業者の支援に取り組んでおります。」と答弁しました。
これまで、相談会を2回開催し39人が相談会に参加し、実際に採用につながったのは、2名だけです。
そこで質問します。
今でも、訪問介護事業所は、約4割が赤字です。就職相談会も大事ですが、このままでは、「介護基盤崩壊」が一層加速する事態も起こりかねません。区は、介護基盤を整備し、安定的な介護サービスを提供する責任があります。今こそ、世田谷区や新潟県村上市の様に介護事業所への直接支援をすべきです。また、介護職の給与は全産業平均7万円も下回っています。介護保険の国庫負担増などを行い、国費による介護職員の賃上げ助成を進め、国の責任で「全産業平均」並みに引き上げることを求めるべきです。さらに、訪問介護の基本報酬をすみやかに元に戻し、すでに減額された分を補填する措置をとることを求めるべきです。また当面、区が独自支援をすべきです。いかがですか。答弁を求めます。
第三に、2050としまゼロカーボン戦略について
昨年の夏は、連日のように熱中症警戒アラートが発表されました。世界気象機関が、昨年の世界の平均気温が産業革命前を1.55度上回ったとする推計を発表しました。国連のグテレス事務総長は「気候崩壊が始まった」と危機感を示し、各国政府に対策の加速化を強く促しています。深刻な事態になるもとで、米国トランプ政権がパリ協定から脱退したことに、気候危機に取り組む若者や専門家から、厳しい批判の声があがっています。同時に日本政府の姿勢も問われています。わが国はいまだに石炭火力発電の廃止期限を決めていません。そして、2035年までの温室効果ガスの削減目標は、13年度比で60%削減にとどまっています。目標の引き上げは国際社会と未来の世代への責任です。
再エネは、燃料を輸入に頼る原発や火力発電と違い、エネルギー自給率向上にも寄与し、世界的にも最も安価な発電手段です。ところが政府はエネルギー基本計画の改定作業でも、「脱炭素」を口実に原発の「最大限活用」と石炭火力の延命に固執しています。
わが党の森議員が、第4回定例会の一般質問で、ゼロカーボンシティ戦略と再開発ビルを主体としたまちづくりについての質問したところ、区は「再開発事業がゼロカーボンシティ戦略に逆行しているとは考えておりません」と答弁しました。
そこで質問します。
東池袋一丁目再開発事業だけでも、CO₂排出量は2,349トンから8,008トンになり、CO₂排出量は約3.4倍にもなります。池袋駅西口地区市街地再開発事業のCO₂排出量は、従前との比較はありませんが、年間約22000tにもなります。豊島区の全区民がプラスチックの資源回収をおこない、CO₂削減を行っていますが、その削減は約2,498tです。全区民が行うプラスチックの資源回収によるCO₂削減の約9倍以上にもなります。しかも、市街地再開発事業は目白押しです。これが逆行と言わずになんというのでしょうか。答弁を求めます。
さらに、区は、2050としまゼロカーボン戦略を実現するために、2030年までにカーボンンハーフを実現する目標をたてています。市街地再開発事業などで排出されるCO₂削減をどうすすめるか、お答えください。また、国に対して「エネルギー基本計画」の原案は撤回することを求めるべきです。答弁を求めます。
第四に、北大塚一丁目都営アパートと東部区民事務所の建替について、です。まず、北大塚一丁目都営アパートの改築についてです。
北大塚一丁目目都営アパート建替移転説明会が1月23日、東部区民事務所などで行われました。現在、入居97世帯、管理戸数は126戸です。説明会では、移転先住宅見学会が2~3月頃、部屋決め抽選会を4月頃、入居手続書類提出5月頃、引越しは7月頃のスケジュールです。2026年に解体工事を着手、27年ごろ新建物の建設着工し、5年後の32年竣工の予定です。移転先住宅は西巣鴨二丁目アパート、南大塚二丁目アパートなどで、移転料は17万1千円です。もし住宅に家具等が残っている場合、移転完了とみなされないため、移転料の支払いはできませんと説明された、とのことです。
そこで質問します。
現在、入居されている方は、ほとんどが高齢者です。入居時は二人以上の世帯でしたが、子どもは巣立ち、配偶者は死別するなどして、現在は単身者が多いです。当然、単身用住居となるため、引越しする際は、粗大ごみや残置物がかなり出ることが予想されます。引越し期間の延長、粗大ごみの搬出などについて、都に要望するなど、特別な対策を講じるべきですが、いかがですか。
また、現在、単身で90歳を超え、介護度3の方からは、引越しの準備とその費用、粗大ごみや残置物の処理費用などが心配だと相談されました。それらは、すべて引越し業者などに依頼するしかないので移転料の17万1千円では足りません。移転費用の増額を都に求めるべきですが、いかがですか。さらに、都営住宅の新規建設は、26年間連続ゼロがつづいています。わが党は公営住宅の増設を強く要望してきましたが、区は「新規建設はしない。供給戸数の維持をしていく。建替えの際は供給戸数を増やす」立場です。この立場から見ると、東京都に供給戸数を増やすことを強く要望すべきですが、いかがですか。答弁を求めます。
次に、東部区民事務所の建替えについてです。
現在の東部区民事務所は、土地は、東京都より賃貸借し、建物は区分所有で都営住宅と合築です。延床面積は、1814.33㎡で、執務室などの配置は1階から3階の一部を使用しています。改築後は、執務室などの配置は、1階と2階の一部を想定し、延べ床面積は、現在と同程度としています。
区は、区民の利便性向上の図るため、東部高齢者総合相談センター、東部障害支援センター、東部子ども家庭支援センターなどを集約し、複合施設にする予定です。そのため貸し会議室がほとんど設置できません。貸し会議室は、建替え期間中は、休止し、近隣の南大塚地域文化創造館等で利用することを進めようとしています。建替え後も、日中は、原則職員が利用し、夜間、土日のみの利用を検討しています。
現在、東部区民事務所の集会室利用団体数は、91団体です。利用目的ごとの利用団体数は、会議・研修が、46団体です。講演・講座・ワークショップが16団体、軽スポーツ軽運動が16団体、舞踊・ダンスが10団体、演劇・演奏が4団体です。実に幅広い、団体が利用し、文化・スポーツを楽しみ、健康づくりに生かしています。利用団体や区民から、今度、改築する際には、ぜひエレベーターの設置をお願いしますと、何度もお願いされて来ました。
そこで質問します。
建替え期間中は、貸し会議室を休止し、近隣の南大塚文化創造館等で代替する予定です。これは、利用団体にとっては切実・重大な問題です。利用者団体に対する説明会を開催し、区民、利用者団体の声をきくべきですが、いかがですか。また、民間の貸し会議室の活用し、会議室の確保をはかるべきです。答弁をもとめます。
さらに、改築後は、東部区民事務所、東部高齢者総合相談センター、東部障害支援センター、東部子ども家庭支援センターの集約・複合施設化しようとしていますが、貸し会議室も増設すべきと考えますがが、いかがですか、お答えください。
第五に、投票所の改善についてです。
駒込在住の区民から、投票所の増設ができないか、相談をうけました。
これまで、選挙の大切さ、一票の大切さを知ってから毎回、投票所に足をはこんでいるそうです。4~5年前から両下肢の具合が悪くなり駒込小学校前等の坂を上るのがきつくなったそうです。歩行器を利用しいていますが、急な坂は怖いとのことです。これまで、車で送迎された方も居なくなったので、区役所に相談しましたが、坂の上の駒込小学校の投票所までの公的な有効な手段がないとのとでした。地域でシニア集まると、「坂がきつくなった」と話題なります。これは自分だけの問題ではない、と考えて相談したのです。
そこで質問します。
選挙に行くことは、政治に参加することです。豊島区と地域のまちづくりをどうするか、医療、介護や年金など社会保障はどうするか、候補者の政策や理念を知り、投票することは国民の権利です。そのために、例えば、染井まちづくりセンターに投票所の開設や移動投票所を設けるなど検討すべきと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。