私は日本共産党豊島区議団を代表し、只今議題とされました「3陳情第3号 都立病院・公社病院の『地方独立行政法人化』の中止を求める意見書提出の陳情」の不採択に反対し直ちに採択することを求め討論します。
この陳情は昨年3月31日東京都が「新たな病院運営改革ビジョン」を提案し、都立大塚病院をはじめ8つの病院と6つの公社病院全てを都の直接経営から外し、「地方独立行政法人」に切り替えるとしたことに対し、豊島区議会から東京都に対して地方独立行政法人化の中止を求める意見書提出を求め、出された陳情です。
「新たな病院運営改革ビジョン」には都立病院について、行政的医療等に「最小の経費で最大のサービスを提供していかなければならない」とし、また、公社病院についても「コストの見直しをさらにすすめ」「都の財政負担の軽減にもつながっていく」とあり、独法化の目的が東京都の財政支出の削減にあることが明らかとなっています。
独立行政法人化は、利用者の負担増加や、行政的医療の切り捨てにつながるものです。実際に国や全国の自治体で独立行政法人化された病院では、効率化と採算性が優先されるために不採算医療が切り捨てられ医療費以外の患者負担が増えるなど医療の重大な切り下げがあいついでいます。
都内では独立行政法人の医療機関の実態はどうでしょうか。
都内で唯一、地方独立行政法人の健康長寿医療センターについてです。
健康長寿医療センターは2009年から単体で地方独立行政法人として運営されています。2018年度は11億円、2019年度は10億円の赤字で、東京都はこの原因を医師不足としています。このような中で差額代・個室が拡大され、また入院保証金10万円、特別長期入院料等が設定されています。
都立病院が区民に負担を強いらないのは、東京都で経営しているからです。
独立行政法人化でも、「行政的医療」などへの取り組みは「運営費負担金」として都が負担すると言いますが、しかし健康長寿医療センターのように経営のために室料、入院保証金など様々な名目で患者負担が設置される可能性があります。こうなればお金のない人は受診もできないという事です。
これについて副区長は、「独立行政法人化にともなって患者のご負担がふえてしまうんじゃないかということは、やはり区民の皆様にとっても一番のご懸念のところかと思います」と認めつつ、これは「都議会の中で引き続き議論されていく」としているのです。
では、区民の医療が守り続けられるのかという点です。
今回のコロナ禍では、陳情書にもあるように新型コロナウイルス感染症への対応を真っ先に行ったのが都立・公社病院です。さらにこの間、小池都知事はすでに1,100床の対応をしている都立・公社病院に対し、その後も1700床の増床を指示しています。
今回の新型コロナ感染症で民間病院の困難さが改めて明らかになり、同時に行政的医療を担う公的病院の役割が大きく示されました。感染症医療は、感染が拡大した時のために日常の備えが必要で、当然、民間医療機関では担いきれない部分です。
さて,都立大塚病院は508床で、周産期医療、母子医療、救急医療、災害医療及び障害者医療を重点医療とし、高度専門医療を提供しています。まさに行政的医療を全面でになっているのです。さらに、地域医療機関からの紹介に基づいた紹介予約制をとっており、高額医療機器の共同利用なども含め、地域医療機関との連携の推進を図っており、多くの区民の方が受診しています。
区の資料によると都立大塚病院の受診者に占める区民の割合は2020年度で入院の場合42,2%、外来では41,7%と高い比率を示しています。また都立大塚病院では豊島区文京区の医師会との共同運営として「豊島文京平日準夜間こども急急事業」が行われており、私自身も準夜診療を受けたとき子どもさんが多く受診していると思いました。
また新型コロナ感染症ではPCR検査等、本区でも大きな役割を果たしていることは周知の事実です。
さらに周産期医療は区内では都立大塚病院の他2か所です。都立大塚病院では費用負担は42万円と新生児の検査や診療代等が数万円と言われています。保険から出る出産一時金は42万円ですから、個室を望まなければ最終的にはある程度の負担で済むことが明らかになりました。
国は医療費削減をすすめており、今回の動きはこれに同調するものです。豊島区民にとって都立大塚病院が多額の部屋代等を設定すれば今までのように受診できなくなる人も出ます。
区民が安心して医療を受けられるようするたるめに、是非、陳情を採択し、東京都に意見書を送っていただくよう求め、討論を終わります。