
私は日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました第24号議案 令和7年度豊島区一般会計予算、第25号議案 令和7年度豊島区国民健康保険事業会計予算、第26号議案 令和7年度豊島区後期高齢者事業会計予算、第27号議案 令和7年度豊島区介護保険事業会計予算の三特別会計予算に反対の立場から討論を行います。
総選挙で国民が自公政治にノーの審判を下しての初の通常国会で、石破政権の政府予算案が、議論されています。衆議院では、少数与党の自民、公明両党は、日本維新の会を取り込んで可決しましたが、「現役世代の保険料軽減」の財源として医療費総額を年間で「最低4兆円削減する」こと、「8.7兆円の大軍拡」という、まさに二つの猛毒を「高校無償化」などの甘いオブラートに包んで国民に無理やり、飲ませようとするものにほかなりません。
加えて、大企業優遇税制の大判振る舞い、大学学費値上げの中止、消費税減税など、切実な暮らしの要求は置き去りにしたままです。一方、裏金問題が国民の怒りを買っているにも関わらず、石破首相の商品券配布問題は許せません。
東京都も国と財界の戦略に沿ってデベロッパーと一体に、いかに規制緩和を進めるかに知恵を絞り、貴重な都会の緑を壊し、莫大な二酸化炭素排出など持続可能でない街づくりを進めています。
神宮外苑再開発の場合、建設する185メートルの超高層ビルは、三井不動産、190メートルビルは伊藤忠商事です。神宮外苑は本来、超高層ビルなど建てることのできない都市計画公園なのに、高さ規制を緩和し、超高層ビルを建てられるようにしたのです。開発業者に至れり尽くせりで、まさに「財界ファースト」であります。
本来、政治というものは、住民が主人公であり、特に生活弱者に光を当て、声なき声も探り、支援していく、この姿勢がますます求められています。物価が高騰し、日常生活に不安を与えています。我が党は、今、全国すべての党支部あげて住民の声を聞くアンケートに取り組んでいますが、暮らしが大変という声はますます広がってきています。
日本共産党区議団は2025年度予算審査にあたり、大きく第一に、物価高騰でより一層深刻となった区民生活を直視し、暮らし、福祉、教育、防災等、区民需要にこたえる予算になっているか。そのために、国や都の悪政や踏み出そうとしない制度や事業に対しても、防波堤となって、区民の暮らしを支えようとしているか。
第二に、大型開発・来街者優先のまちづくりをすすめ、住民追い出しと無駄使いを進めていないかどうか。という観点から、委員会での審査にあたってきました。
第一の観点から順次、指摘してまいります。
はじめは、低所得者対策です。
物価が高騰し、生活保護利用者の生活を脅かしています。生活弱者とされる生活保護利用者や低所得者に対する支援は光を最も当てなければならないところです。ところが、区は、生活扶助費について、今年10月からわずか500円しか引き上げられない扶助額も23年間一円も上がらない住宅扶助額も妥当なもの、適切な基準ときっぱり言いました。
生活保護費削減は、違憲と断じた裁判が全国各地で相次いでいます。引き下げ額からわずか1500円の引き上げを妥当というのは、生活保護利用者の実情や物価高騰に対する認識が欠落しているといっても過言ではありません。
少なくとも他の区で実施している夏季支援金などの法外援護の拡充を求めましたが、本区は全くやる気がないのです。新宿区などではデイサービスの食事代に200円の補助を出していますが、豊島区ではありません。同じ施設で保護利用者が同じ食事を提供されるのに価格の違いの矛盾を改めていただきたいです。
そればかりが、熱中症対策として予算化した生活保護利用者や低所得高齢者へのエアコン購入助成は、今年度の単年度予算と打ち切ってしまいました。一台と言わず別の部屋への設置や、新しく性能のいいものへの買い替え、専門家によるクリーニングなど予算を残せば役立つ制度になったのです。
次に住宅対策です。
区は、住宅対策の拡充を来年度予算の重点施策の一つに位置付けたと言います。子育てファミリー世帯家賃助成の資格要件・助成の拡充についてはいいとして、新規拡充として住宅確保要配慮者供給促進事業は、真に区民が望む住宅とは言えません。国のすすめるセーフティネットの住宅確保要配慮者の仕組みは、生活保護利用者が利用できないほか、オーナーの定めた家賃に、月額4万円を限度に補助金出すものですが、公営住宅の家賃とは違って高額な家賃が多いのです。
8万円の家賃だと4万円の負担で済むと理事者は答弁しましたが、最低居住水準に満たない狭小な住宅です。区民が求めているのは、良質で低廉な公営住宅なのです。
本区は、空き家の割合が高いのですから、区が居住水準を満たす住宅を借り上げ、安心住まい住宅と同じように、所得に応じた家賃設定にすれば、生活保護利用者や低所得者も、立ち退きにあっても安心して住み続けられるのです。
次に防災対策です。
区は、国や都とともに、防災対策を口実に、盛んに燃えない街づくりを強調し、都市計画道路を推進し、不燃化事業をすすめています。この街づくりは、大企業の儲けや住民追い出しが問題となっています。
避難所となる学校は、開発や売却で統廃合により減らしてきた結果、収容面積が狭められてしまったのです。児童、生徒の増加で教室が不足し、備蓄物資を置く場所も縮小されたところもあります。備蓄量を増やしたり、品目を増やしたりしたことは評価しますが、避難所の拡充にこそ力を入れるべきです。
特に豊島区は、日本一の高密都市であり、かつ一人辺りの公園面積は、座布団一枚にも満たず、公園や広場などについては、その拡充に格段の努力と目標を据えて取り組む必要があります。避難場所を確保する観点からも温暖化気候など環境面からも、公園や広場の確保を一層推進しなければなりません。ところが、基本計画にうたっているものの大幅に増やす策がありません。また圧死を防ぐ家具転倒防止器具の設置補助については、わが党の指摘で復活しましたが、防災対策の柱となる耐震の補強のため予算が少なすぎます。
次に中小企業への支援策です。
区内で倒産、廃業するする事業所が少なくありません。商店街は、さびれる一方で、解散する商店街もみられるようになりました。銭湯も100近くあったのに現在は16件そのうち2件も廃業見込みです。
私の活動する長崎・南長崎地域では、銭湯も本屋も新聞販売店も一軒もなくなり、近所の学校給食の食材を担っていた魚屋さんも今月でやめると伺いました。学校給食の食材は、地元の身近な商店から購入し、少しでも児童・生徒のために頑張っている商店がなくなるのは放置できないことです。
区は、これまでも様々な商店街支援策を講じてきましたが、なかなか見合った十分な効果がなく、どう援助したらいいのか、模索しています。従来の支援に上乗せするほか、空き店舗対策、後継者の育成、大型店の進出規制などで、街に賑わいを取り戻す抜本的な対策を求めるものです。
次に高齢者補聴器購入費助成についてです。
高齢者補聴器購入費助成は、昨年度から、住民税本人非課税の方は上限5万円、住民税本人課税の方は2万円に増額されました。しかし、助成は1人1台、1回限りです。来年度予算で、1281万5千円円計上されていますが、今年度並みで拡充策はありません。区民からは、年齢の引き下げ、助成額の増額、両耳で10万円の補助、買換えのときも再度使えることなど、要望があります。
区は「買い換えの時期については、医師会などと協議し、検討したい」と答弁がありましたが、本区でも東京都の実施自治体への半額補助の「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」も活用して、さらなる拡充をすべきです。
次に障がい者の親なきあとの対策についてです。
要町1丁目区有地は、当初、重度の障がい者も入所できるグループホームの建設を予定していましたが、道路付けが悪いなどの理由で断念し、障がい者総合支援法の事業に限らず、重度の障がい者にも対応した居住施設を誘致する新たな活用案をしめしました。
昨年の11月に事業者の公募を行い、事業説明会と現地見学会には、3者が参加しましたが、応募は1者のみで、今年の2月に応募事業者から辞退届の提出がありました。その理由は、人員の確保、施設整備が困難だということです。
区民から「私が亡くなったら、この子はどうなるのだろうか」と切実な声が寄せられています。区はニーマのようなグループホームについては、別の場所を考えていると答弁しましたが、東部地域も含めて、区が責任をもって早急に建設すべきです。
次に、豊島区独自の地域密着型宿舎借り上げ制度についてです。
区内には、地域密着型事業者は56事業所もあります。また当然一つの施設に一人ということですから、同じ事業所で同じ勤務形態で働く一方だけに手当が付くとなると、なかなか申請もしづらくなります。思い切って人数の制限を廃止または緩和して、希望する方が利用できるような制度にすべきです。
この間、指摘してきたように、大本になる東京都の補助制度が、防災を目的として条件をつけているのが問題で、職員の人材確保の観点からは、保育園の宿舎借り上げ事業のように、柔軟な、そして期限を切らない制度を実施すべきです。
次に、2050(にーまるごーまる)としまゼロカーボン戦略についてです。
儀武さとる委員が、市街地再開発事業がCO₂ 排出量を増加させ、2050としまゼロカーボン戦略に逆行すると指摘しましたが、区は3つの市街地再開発事業で「新たに1万平方メートルの緑の面積を創出するため逆行しない」と答えました。しかし、緑の面積では、極めて不十分です。大手不動産のディベロッパーいいなりで市街地再開発事業のまちづくりを、どんどん進めれば、2030(にーまるさんまる)カーボンハーフを実現することは、不可能です。
日本政府の目標と取組は、先進国の中でも低すぎます。国内でも、猛暑、豪雨、豪雪、山林火災など温暖化の影響が深刻化しており、温室効果ガス排出削減は急務です。今後10年間の取り組みに人類の未来がかかっています。区も、2035年度削減目標を、2013年度比75~80%に引き上げ、気候危機打開への本気で取り組むべきです。
子どもスキップについてです。
昨年の決算特別委員会の時点でも、正規職員4人、学童保育指導員12人、スクールスキップスタッフ12人など合わせて、34人の欠員を、来年度はすべて解消する見込みとなりました。欠員を解消するために、職員の様々な努力と頑張りを評価したいと思います。同時に正規職員や会計年度任用職員の待遇改善を行ったことが、離職率の低下、職員の採用、定着につながったことでもあります。しかし、学童クラブは、100人以上登録しているスキップは14施設になっています。かつて、豊島区は23の児童館をすべて廃止しました。児童館をすべて廃止した区は豊島区だけです。児童館の時の職員体制は、館長以外に常勤職員は2人体制でした。常勤職員は、所長を除き、2人体制にすべきです。
就学援助についてです。
物価高騰の下で、実質賃金は下がる一方です。豊島区の認定基準が低すぎます。今年度足立区は1.1倍から1.2倍へ、杉並区は1.3倍に引き上げました。さらに足立区は来年度1.3倍に引き上げます。本区も1.3倍に引き上げるために必要な経費は629万円です。直ちに1.3倍に引き上げることを求めましたが、区は拒否しました。どの子も安心して学校で学べる環境を整備することは区の仕事です。認定基準の引上げを強く求めます。
教員の働き方改革についてです。
教員の長時間労働の解決は待ったなしです。授業には事前の教材研究などの準備や計画の時間、事後の子どもの理解度の評価などのふりかえり時間が必要です。さらに教員には、子どもの個別指導、打ち合わせなど数多くの校務があります。長時間の残業を防ぐには、教員の勤務時間内に授業を持たない相当の時間を確保することが必要です。ところが、小学校では、「1日5コマ」が当たり前です。これでは、授業の準備時間や子どもに向き合う時間が取れません。教育委員会は、区における働き方改革の33の取り組みで、業務改善・効率化の推進などで、長時間労働は改善されつつあるとしていますが、根本的な解決策にはなりません。異常な長時間労働はついに「教員不足」をもたらしています。教員志望の多くの学生たちが、過酷な働き方を避けて別の進路を選び始めています。このままでは学校がもたなくなるところまで事態は切迫しています。当面、部活動指導員の抜本的な増員を行い部活動の負担軽減を図るべきです。
大きく第二に、大型開発・来街者優先のまちづくりをすすめ、住民追い出しと無駄づかいを進めていないかどうかについてです。
区民の暮らしや福祉の予算がお粗末な一方、大企業の儲けや不要不急の無駄遣いには、大判振る舞いの予算になっています。
来年度予算の投資的経費の375億円のうち、再開発に関するものは、160億円になっています。今年度予算にも南池袋二丁目C地区に41億円、東池袋一丁目地区に41億円と二つの市街地再開発事業だけでも総額82億円です。
2025年度から2029年度の5ヵ年の投資的経費の見込みでは、1402億円のうち711億円が、再開発などの整備事業の補助金です。
南池袋二丁目C地区に建設中のグランドシティータワーのマンションの価格は、54.92~88.44平米で、1億55百万円~3億18百万円です。多く区民が望む住宅ではないのです。多額の税金を投入しても多くの区民は、入居きません。
これに加えて、池袋駅西口地区が、都市計画され、市街地再開発事業をさらにすすめとしています。
池袋だけでなく都心部では大規模な再開発が乱立し、高さ日本一を競う再開発、乱開発が進められています。そのため、オフィスは供給過剰になっており、極めて厳しい状況です。
そんなことは、わかっていながら区も応援して職員を付け、区民の血税をけた外れに投入するのです。
市街地再開発に伴う事業は、これにとどまらないのです。広場の造成、道路の付け替えや整備、公共事業を入れれば、これに伴う整備や初期投資など、再開発事業の補助金以外に、区が財政負担をするのは、過去の事例からも明らかです。
さらに再開発が頓挫すれば、結局、区が肩代わりして、財政を悪化させ、区民の暮らしや福祉をバッサリと削ってきた歴史を忘れてはならないということです。
IKEBUSについてです。
イケバスは、「公共交通」とは言えない観光バスです。昨年区は、今後三年間で見直すと表明していました。料金も100円から200円に引き上げ、収支は幾分増えましたが、いつまでガラガラのバスを走らせるのでしょうか。来年度も1億2000万円余の予算が計上されていますが、これ以上、区民の血税をつぎ込むべきではありません。きっぱり中止すべきです。
さて本予算には、これまで触れてきたもの以外にも、日本共産党が求めてきた公契約条例の制定、障がい者の日常生活用具給付の拡充や、視覚障害者への支援拡充などもありますが、2つの観点で審査した結果、一般会計予算には反対をいたします。 また、委員会で提案した予算の組替え動議については、必要最小限の組替えを要求したのですが、自民党、公明党、立憲・れいわ、都民ファーストの会・国民、維新・無所属によって否決されましが、補正予算を組んででも区民の立場で予算修正することを強く求めておきます。
次に3特別会計について討論します。
まず、国民健康保険事業会計予算についてです。
高すぎる保険料に悲鳴が上がっています。一人当たり平均保険料は、昨年度は10,791円、今年度は13,848円の大幅な値上げでした。
2025年度の一人当たり保険料額は、24年度の19万6,019円から19万2,238円へ、前年比3,781円、1.9%の減となりました。
23年度の医療費総額を過大に見積もり、保険料を取りすぎて、決算剰余金が発生し、保険料引き下げに充当したものであります。また、総額158億円の特別区独自の負担抑制策を講じ、一人当たり保険料を11,657円抑制したと言いますが、実際には特別区独自の負担抑制策の段階的縮小を粛々と行っています。
今回の保険料の引き下げは、極めて不十分です。国保の構造的な問題にメスを入れることなく、法定外繰り入れの解消をすすめています。これは、国保加入者へ保険料の引き上げにつながり、国と自治体の負担を減らすものだからです。国保料を協会健保並みに引き下げるには、国庫負担の増額しかありません。国が拒否するなら、区が独自支援を行うべきです。
また、今国会で政府は、高額療養費制度の負担上限額の引上げを予定していました。東京都全体では、その影響額は明らかにしていませんが、マイナス0.12%を見込むよう指示があったそうです。
難病やがん患者に負担増を押し付けるやり方に、全国がん患者団体連合会・当事者の声と野党の論戦で8月からの実施は「凍結」に追い込まれました。国民が声を上げれば政治は変わると、実感したのではないでしょうか。しかし、参院選後に再浮上の可能性もあります。負担上限額の引き下げこそ必要です。
次に後期高齢者医療保険事業会計予算についてです。
2022年10月より、所得が一定額を超える「後期高齢者」の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げられ、6,423人の区民が影響を受けました。実に保険加入者の21%です。また、長期頻回受診患者等への配慮措置として、2割負担への変更により影響が大きい外来患者について、令和7年9月30日までの3年間は、1か月分の負担増を最大でも3,000円に収まるような措置が運用されていました。いよいよ、10月からその措置もなくなります。保険料についても、値上げされる階層があります。物価高騰の下で、実質的に年金の引き下げです。高齢者にたいして、本当に冷たい仕打ちです
最後に介護保険事業会計予算についてです。
介護保険制度は、高い保険料が徴収されるもののいざ介護が必要な時の需要に見合った十分なサービスがうけられる制度になっていません。保険料は、第9期計画において、給付費準備基金を活用することで基準保険料を値上げせずに可能な限り被保険者への負担を抑制したといいますが、そもそもの基準保険料が高すぎるのです。
これに加え、介護現場を取り巻く状況は、低賃金、過密労働などでマンパワーが不足しています。結局、介護受ける人、介護を支える人にしわ寄せがきています。
区は、独自の介護サービス事業所に対する物価高騰対策については、予算化を見送りました。
特養ホームの待機者数は、2024年12月末は441人で、一部運用を変えても待機者は一向に減りません。さらに待機者数が増えることは必至です。にもかかわらず、西巣鴨地域への特養ホームの建設は、本来なら2022年度に完成して供用開始する予定だったのですが、次期介護保険事業計画の策定に改めて検討と先送りにしてしまいました。いつできるのか全く見通しがありません。「作れば良いというものではない」と開き直る区の責任は重大です。
以上、第24号議案 令和7年度豊島区一般会計予算、第25号議案 令和7年度豊島区国民健康保険事業会計予算、第26号議案 令和7年度豊島区後期高齢者事業会計予算、第27号議案 令和7年度豊島区介護保険事業会計予算の三特別会計予算に反対することを表明して、討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。