私は日本共産党豊島区議団を代表し、第二回定例会に続き「コロナ禍の中で今こそ区民の命と暮らしを守る区政を」と題し、
第一にPCR検査の拡充について、
第二に保健所機能の拡充について質問します。
区長は区民の命と暮らしを本気で守る立場に立った答弁を求めるものです。
第一の質問はPCR検査の拡充についてです。
この間、わが党区議団は6回にわたり新型コロナウイルス感染症対策について緊急申し入れを行ないましたが、改めて何点か質問します。
さて、わが党志位委員長は8月27日の国会内記者会見で、新規感染者が減った5月に検査を減らしてきた経過に触れ「PCR検査を増やし無症状感染者も含めて把握・保護する取り組みをやる時期だった」と指摘し「今この時期に検査体制に抜本的に取り組むべき」と発言。そして翌28日、政府は新型コロナウイルス対策本部で感染流行地域や医療・高齢者施設などでの幅広いPCR検査等の実施を都道府県に要請すると決定しました。
また9月3日の参議院予算委員会でわが党の山添議員の「感染を抑制するために、無症状者を含めた幅広い検査を行い、財政支援も必要」との質問に、当時の加藤厚生労働大臣は「感染を早期発見し抑えていくのは基本。しっかりやっていく」「地方公共団体が予算がないから検査できないということがないようにしたい」と答弁しました。
これに先立ち、7月30日に東京都医師会は唾液検査等も含め「PCR検査を受けやすい環境に整えたい」として検査が受けられる医療機関を都内で40か所から1400か所まで増やし、最終的には人口1万人程度に一か所等を目指すとしました。
また日本医師会は8月5日、緊急提言を出し、保険適用によるPCR検査等は都道府県との間での行政検査の委託契約締結がなくても実施可能であることを改めて明確化すること、PCR検査の保険適用での患者一部負担金を公費で措置すること、検査実施医療機関の拡大に対応可能な人的・物的両面での整備、さらに検査結果が出るまでの受検者の待機場所、陽性者(軽症者、無症状者)の療養場所の整備など7項目を提言、「国は財源を確保した上でその実現に努めるよう強く要請する」としています。全国知事会もPCR検査拡大等の緊急提言を行い、さらに世田谷区等複数の自治体では独自の検査拡充に取り組んでいます。
この様な経過の中で、東京都は9月3日、PCR検査経費支援や経済活動を支えるとして中小企業への制度融資の拡大、生活福祉資金貸付事業補助を増やすなどした補正予算を提案。新型コロナウイルス感染症への緊急対策としては、PCR検査について、特別養護老人ホームや障がい者支援施設等を対象にPCR検査を実施した場合の経費の支援として都内の高齢者施設750か所、障がい者支援施設等100か所、計15万人分30億円を予算化、また民間PCR検査機関への検査機器導入支援、個人に対し医療機関でのPCR検査の保険適用の自己負担分の支援、感染症法に基づく医療費の公費負担、65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人へのインフルエンザ予防接種費用の負担軽減、家族や保護者が感染した場合の要介護者や児童の受入体制を整備する区への支援、医療機関支援等で、合計3,413億円の補正予算を提案しています。
また本区では補正予算でPCR検査センターの設置期間を来年の3月まで延長し、検査日を週2回から週3回に拡充、また検査をしている区内2病院に慰労金を支給、更に区立学校、幼稚園、区内保育施設、子どもスキップ等での検査希望の職員への検査実施を提案しました。
豊島区のコロナ感染者は増え続けています。改めて経過をみますと、4月1日時点で10人が5月1日では123人、6月1日で149人が2か月後の8月1日では442人、そして9月1日時点で649人とこの一ヶ月で感染者は200人を超え、9月23日時点では累計727人となっています。
さて区内でのPCR検査体制は、区の検査センターと3か所の医療機関で合計一ヶ月1,500件の体制をとっていますが、この間の採取数は4月の713件が7月は1,553件、8月は1,473件と感染の第二波の下で増加しており、保健所内でも所長等3人の医師の下で独自に検査を実施するなどして対応しています。
また、区は繁華街感染防止対策としてPCR検査を行ってきました。
しかし、区民からは「予約がすぐに入らない」「職場で感染者が出たが民間で3万円払い検査を受けた」等の声が寄せられています。
先ほども言いましたが、都医師会では「住民1万人に1か所の検査機関の設置を」としており、それであれば本区では30か所の検査機関の設置となります。今、区に求められているのは検査を希望する区民が身近なところで検査が受けられる体制を確立することであります。
そこでPCR検査体制の拡充に関する最初の質問です。
私は第二回定例会で医療・介護施設等の従事者、入所者等のPCR検査を求めましたが、区は「PCR検査はその性質上感染しているのに結果が陰性となる場合や、感染していないのに陽性と判定される場合があり」「感染者が発生していない状況で不安解消を目的として検査を行う事は考えておりません」との答弁でした。
しかし今こそ、区民の命を守るため、感染拡大にストップをかけるためPCR検査の拡充が求められているのです。
そこで質問します。この間の経過、今後の対応等について区長はどう認識しているのか。まず答弁を求めます。
PCR検査拡充の2つ目の質問は医療・介護現場でのPCR検査の実施についてです。
先ほども述べましたが、都は都内の高齢者施設、障がい者支援施でのPCR検査を実施した場合支援することを予算化しました。しかし都の支援対象施設は障がい者支援施設と高齢者では特別養護老人ホームと老人保健施設です。この間、区内ではそれぞれの施設が最大の注意を払いクラスターの発生を防いでいますが、毎日が緊張の連続と言われています。だからこそわが党は早期からこれらの施設の利用者、職員へのPCR検査実施を求めてきたのであります。今回の都の対応は一歩前進ではありますが、同時にデイサービスの施設や、在宅へのホームヘルパーへの検査はありません。高齢者や弱者といわれる人たちが感染すれば重度化することは周知の事実です。
そこで質問します。
デイサービスの施設や、在宅へのホームヘルパーへの検査等、高齢者、障がい者の全ての施設の利用者、職員に対し区独自にPCR検査の実施に取り組むことを求めます。答弁ください。
また医療機関への検査実施支援と検査機器の設置等を進めるべきです。合わせて答弁ください。
PCR検査拡充に関しての3つ目の質問は、検査結果が出る期間と保険適用によるPCR検査の患者一部負担金、自宅療養等に関してです。
今回、都の補正予算で保険適用によるPCR検査の患者一部負担金への都の支援が提案されています。検査の拡充への一歩前進です。
さて緊急申し入れでも申し上げましたが、PCR検査は1日から2日で判定が出ると言われています。陽性者には2日から3日で電話連絡がありますが、陰性の結果が受検者に知らされるのに6日間かかっている例があります。保健所からは「医療機関も検査で混んでおり対応は大変」との説明がありました。もっともだと思います。しかし受検者の就労条件が時給制や日給制の場合、「症状が改善すればすぐにでも働かねば」と大変深刻な問題です。またこの間、国保での傷病手当が認められるよう改善されましたが、実際には3日間の待機で4日目から支給となります。受検者の生活保障が求められるという事です。陽性でやむを得ず自宅療養や、また濃厚接触者との判断があれば2週間の待機が求められます。
そこで質問します。
まず検査結果の通知の日数です。医療機関、保健所の職員の方々が連日の残業の中で、厳しい状況との認識は持っていますが、受検者の症状、生活状況等の関連から改善が必要と思われます。答弁ください。
次に在宅での療養者に対する支援についてです。
例えば墨田区などでは食品や生活必需品の提供など取り組んでいます。2014年に区が示した「豊島区新インフルエンザ等対策行動計画」では、高齢者・障害者等の生活支援への要配慮者支援が示されていますが、今回、区民全体が外出を自粛する中で、特に自宅療養者への支援は区独自の対応が求められます。答弁ください。
次に大きな第二の質問、保健所機能の拡充について2点質問します。
今回のコロナ禍の下で、帰国者・接触者電話相談件数は1月から8月末で10,929件、一日平均70件、こころの相談は40名、その他、陽性者への対応、自宅療養者等への対応等、保健師さんの業務は異常と言わざるを得ません。この間、区では体制改善のため感染症グループ14人に加え、保健所内からの援助、都からの支援の他、派遣職員として看護師6名、事務4名計14名が支援に入っています。保健所業務がいかに困難な状況に置かれているかということです。
こういう中で、今多くのマスコミでも保健所機能の強化を報道しています。
7月末の毎日新聞に日本医科大学救急医学教授の松本尚氏の「保健所機能の強化を」と題する記事が掲載されました。松本氏は「保健所は1937年に制定された保健所法で公衆衛生思想の啓発や疾病予防を目的に設置され」、1994年に地域保健法にかわり「保健所の業務は感染症対応や精神保健、食品・環境衛生に関する指導、医療法に基づく医療機関の監視など多岐にわたる」としています。また「2005年に国の地域保健対策検討会が『保健所を中心とした健康危機管理体制の構築、特に原因不明の健康危機や災害有事・重大健康危機への対応を』としており、「保健所は国民の健康を支える重要機関」と指摘しています。同時に「しかし国の行政改革で94年度に保健所が大幅に減らされ」「今回・・職員数が全く足りず迅速な対応ができない状況が多くみられた」「保健所機能が今のままでよいはずがない」「保健所における災害時保健医療の司令塔機能を拡大し強化するよう提案したい」としています。
またNHKの番組では、区の保健所長は、保健所の現在の最大の課題は「保健師の確保」として、人材不足の理由は保健所の集約化と保健所に求められる業務が多様化したことと指摘しています。同時に他の専門家からは予算が削られる中、感染症の対応は優先順位が低くなり、結果的には経験や知識のある保健師が減少しているとしていました。
では本区ではどうでしょうか。保健所が2か所の最後の年2001年度の職員数は139人でした。しかし保健所が1か所となった2002年度には136人と再任用1人で現職は3名減となっています。2019年度は現職103人と再任用4人で、2か所の保健所時代からみると現職は32人もの減です。しかし業務では保健所移転計画グループや民泊関連なども増えています。そして区民の人口も大幅に増えているのです。
私は第二回の定例会で保健所の機能拡大と長崎保健所の復活を求めましたが、区は「保健所の区内一か所体制は豊島区を一体エリアでとらえ統一的かつ機動的に対応したことで、区内感染は落ち着いている」と答弁しています。しかし感染者数は増加しているではありませんか。
そこで質問します。これから台風災害の時期に入り、インフルエンザ流行期でもあります。保健所機能の強化は待ったなしで医師、保健師等をはじめとして職員体制の強化は必置です。体制拡充へ具体的な対応を求めます。
改めて1か所の保健所では対応に大きな限界があり、また区民に身近な保健所は絶対に必要と考えます。再度、長崎保健所の復活を求めます。合わせて答弁ください。
保健所機能の拡充についての2つ目の質問は南池袋二丁目C地区への保健所移転計画についてです。
区長は二定での私の質問に、池袋保健所の仮移転について「敷地面積も広く、事務所機能もワンフロアで効率的、駐車場のスペースも広がったため感染症に十分対応できた」「今後も今回の教訓を生かしながら・・様々な健康危機管理に万全を尽くす」との答弁がなされました。保健所機能の確保には、駐車場等のスペースや空地があり、そして独立した建物が求められるという事です。
南池袋二丁目C地区では、53階の北街区と43階の南街区の2棟の建設が予定されており、保健所は北街区の1階に薬局等が入り、2階3階が保健所の執務室の予定と言われています。しかし今、感染症の中で、区民からは「住宅棟との合築は不安」との声が寄せられています。
そこで質問します。南池袋二丁目C地区で「住宅棟と合築」する保健所移転計画は撤回し、改めて、区民に身近な土地で独立した保健所の建設を求めるものです。
答弁を求めます。
以上で私の一般質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。