私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました認定第1号、2019年度豊島区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号、2019年度豊島区国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号、2019年度豊島区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号、2019年度豊島区介護保険事業会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論します。
さて、安倍首相が退陣し、菅(スガ)政権が発足してから10月16日で1カ月ですが安倍政権以上の強権政治が浮き彫りになりました。
日本学術会議への人事介入は憲法が保障した学問の自由も踏みにじる違法・違憲の暴挙です。さらにコロナ禍のもとで、「自助・共助・公助」が目指す社会像と言って、国民には「自己責任」を迫る菅(スガ)政権は許せません。
また都政で小池都知事は、都立病院や公社病院の独立行政法人化を進めています。新型コロナウイルス感染症への対応に公的医療機関が必死に取り組んでいる中、病院支出を削減し医療を後退させる独立行政法人化方針の策定を強行したことは本当に許せません。
では決算年度の2019年度はどういう年だったか、安倍政権下で、一般会計の総額で初めて101兆円を超えた巨額の予算は軍事費の突出、加えて10月から消費税を10%に引き上げることを前提に、現金を使わないキャッシュレス決済のポイント還元や「プレミアム付き商品券」発行に多額の費用を投入しました。反対に社会保障費のカット続け、生活保護基準額の3年連続の引き下げ、低所得者向けの後期高齢者医療の保険料軽減措置の廃止等を強行しました。
では豊島区の2019年度決算についてです。区は一般会計の特徴について、第一に「100年に一度の大変革の集中投資を経て過去最大となった決算」、第二に「過去最大の集中投資を実施しつつも財政の健全性を維持した決算」、第三に「新型コロナウイルス感染症を踏まえた財政対策を講じた決算」の3点を挙げています。そして「歳入決算は過去最大、歳出決算は大型プロジェクトを集中的計画的に実施するも、区財政の健全性は維持し、基金残高は333億円、起債残高は260億円で、73億円の貯金超過を達成した」としています。
この様な中で、日本共産党区議団は2019年度決算の審査に当たり、第一に区民需要に応えることを最優先にしたものになっていたか、第2に自治体本来の役割を投げ捨て大企業と来街者のためのまちづくりや無駄な開発を進めていないか、第3に将来の財政運営に支障を来すことはないか、以上、3つの観点で審査に臨みました。
第一の観点、区民需要に応えることを最優先にしたものになっていたかについて述べます。
●非核平和事業についてです。
豊島区は1990年7月、23区で初めて「非核都市宣言」を行い、その先駆的な役割を果たしてきました。しかし近年、非核平和に対する取り組みが周年行事に限られています。8月に広島・長崎で行われる平和祈念式典への中学生派遣など、非核平和事業は毎年継続して行うべきものです。
本決算年度は周年には当たらず原爆被災パネル展のみでしたが、予算が全くついていなかったことが審議の中で明らかになりました。予算をかけず創意工夫したという職員の努力は認めますが、非核都市宣言をした区として本当に恥ずべき姿勢です。今年8月、コロナの影響で戦後75年記念事業が中止になりました。会場のセンタースクエアが定額給付金の相談会場になったためですが、来年度必ず開催することを求めます。
区は「予算の多寡、充実というより全庁的に工夫するよう指示する」と反省がありません。戦争体験者、被爆者の高齢化が深刻な今、子どもたち、次世代へ引き継ぐためにも事業を拡充、推進すべきです。
●生活保護、低所得者対策についてです。
近年、異常気象による酷暑が続いています。テレビでは「躊躇なく適切なエアコンの使用を」と一日中呼びかけ、エアコンはいまや生活必需品です。わが党はこの間、低所得者や生活保護利用世帯に対してエアコン補助をと区に提案し続けてきました。
生活保護を2018年以降に申請した人には設置費用5万円が支給されますが、2018年以前に申請した人には支給されないという制度上の矛盾、不平等があります。区内の生活保護世帯でエアコンのないのは全体の5%、約250世帯(2019年度)です。区独自の加算や法外援護をするのに1世帯5万円、1,250万円あればできるのにやろうとしません。2018年以前から長期に生活保護を利用されている方の多くは病気や障害をお持ちの生活弱者です。この方々は酷暑に加えて今年はコロナによる外出自粛で暑い室内で過ごさざるを得なかったのです。それに対して区は「国の制度に則ってやっている」「扇風機などがある」「訪問、見守りをした」と答弁しました。しかし国は毎年、生活保護費を削減し続け、今年10月からも予定通り保護費削減を強行、要はコロナがあってもなくても、何があっても保護費は削減するということです。
さらに生活保護を利用していない低所得者へのエアコン設置、電気代補助を求めても拒否しています。国と同様コロナがあってもなくても対応は同じ、区民要望に応えていないのであります。
●住宅についてです。
豊島区で居住水準を下回っているのは世帯総数の19.1%と、23区で一番高い比率です。区への相談は、2019年度は前年から激増しています。相談内容で多いのは「取り壊しによる立ち退き」「身体的・経済的な将来の不安」「高額家賃の負担」で、これだけで831件です。相談後どうなったのかは、民間任せの同行サービスを利用した118件以外は不明で、後追い調査もしていないのは問題です。
これまでの区の住宅施策はリノベーションまちづくり、セーフティネット住宅、地域貢献型空家利活用、入居支援パッケージなど、どれも実績が低く目標に遠く及びません。公民連携と言って様々なメニューを出してきても実績が上がらないのは区民需要に合っていないからです。民間任せ、市場任せ、自己責任では住宅問題は解決しないのは明らかです。
区民が求めているのは良質で低廉な家賃の公営住宅です。「住まいは人権」の立場に立ち、「だれ一人取り残さない」というのであれば、区民需要にこたえ、公営住宅の増設へと転換すべきです。
●防災についてです。
この間、地球温暖化の影響による大雨の頻度の増加など、自然条件の変化に伴う災害リスクの拡大が懸念されています。区の行政評価の実施結果でも「防災は最優先」となっており、更にコロナ対策が新たな課題として提起されています。昨年の台風19号から救援センターが各学校区単位で位置づけられ34校と区役所一階センタースクエア計35か所が示されており、行政としては公助をどう整備するかが問われています。
わが党がこの間、要求してきた防災マニュアルは現在、救援センター開設キットが導入され少しずつ前進していることは評価いたします。しかし救援センター機能の拡大としての雑司が谷地域文化創造館の改修は「難しい」といまだに具体化していないのは問題です。さらに35か所の救援センターに対し他セクションの職員が228人位置付けられていますが、しかし一番問題なのは「いざ」という時に指導的立場での対応が求められる防災課の職員が16人という点です。区民の命を守る第一の役割を担う防災課の職員の増員は待ったなしです。副区長は防災課だけ増員することは無理との姿勢を示しました。しかし16人ではすべての救援センターに対応できないことは明らかです。増員できないような定員管理計画は直ちに見直すべきです。改めて早急な対応を求めます。
●次に高齢者対策についてです。
一つ目は特養についてです。特養建設はこの間、ほんちょうの郷で10床増え大規模改修等は進めていますが、常に三ケタの待機者がいるという事は足りないということです。
また今後の建設は「具体化した場合」とされており、これではいつなのか等全く不十分です。計画の具体化を強く求めるものです。
本区は今後一人暮らし高齢者が増加すると位置付けて「見守りと支えあいネットワーク事業」を示していますが、中心はボランティアとしており、区の資料でもこの数年見守り希望者は減り、またボランティアも減っています。行政がきちんとかかわることが重要で、かつては相談員やハローテレホン事業などを行う中で問題発見や安否確認など行われていました。介護保険制度ができ、地域の相談センター、CSW、介護事業所などが関わる場面はあると思いますが、行政としてのかかわり方を拡大すべきです。
●障がい者対策のひとつグループホームについてです。
今年8月に15人定員のグループホームが開所し、10月満室になりました。今回39人が申し込み、結果24人の方が入所できずまだまだ足りません。しかし今回のコロナの影響で示されている「区有施設の整備等の見直し検討」の中に入っており、これでは、作らない方向もあるという事です。具体的に親亡き後対策でどうしても入所が必要としている方が入れなかったという事は本当に深刻です。「事業者が決まれば建設する」というのであれば、事業者にどういう支援が必要かをまず検討すべきです。ところが区は全くそれらに対応しておらず、これでは放置しているとしか言いようがありません。あまりにも冷たい姿勢です。直ちに具体的な対応を強く求めるものです。
●中小企業、商店街対策についてです。
豊島区は理事者も認めている通り、商業の街です。区はコロナ対策として区独自の中小企業対策として融資制度を行っていますが、6月までの利用が487件、5月から始めた無利子の融資制度は9月までで920件となっており、当初10月までの予定を12月末まで延長しています。相談件数は1300件に上っています。また相談件数では飲食業が多く、やはりコロナ禍の下で、厳しい状況を強いられていることは明らかです。昨年2019年10月から消費税10%へ増税がされました。政府はキャッシュレスだ、プレミアム商品券だ、対策は万全だと言いましたが、プレミアム商品券の執行率は27.4%と役に立っていないのです。
区の資料では2018年の倒産件数は59件、2019年は44件、今年は9月までで24件ですが、これは融資制度で救済されていることと同時に、平年でも中小企業は厳しい状態に置かれているという事です。
●子どもの貧困、教育における私費負担の軽減についてです。
義務教育は無償が原則です。これまでわが党は教育における私費負担の軽減を求め、第3子以降の給食費補助の条例提案などを行ってきました。今年度から始まった給食の食材費補助はその第一歩ですが、食材費の高騰、消費税増税により保護者負担は現状維持、つまり下がらないということです。保護者負担については「負担という方には就学援助で対応」「大きな負担になっていない」という認識です。また就学援助を利用できないボーダーのご家庭については「厳しいところもあろうかと、生活保護基準の68次で対応している」と答弁しました。ボーダーのご家庭が厳しいと認識しているなら基準を引き上げるべきです。生活保護基準の1.3にあげても720万円程度でできるのにやろうとしません。
今年度、新型コロナによってわが党が要望していたICT環境整備が進んだことは評価します。9月には一人一台のタブレットPCが配布されました。タブレットPCはソフトや保証等の費用込みで、一台当たり8~9万円かかるとのこと。タブレットを含め、家庭でのネット環境がなくても対応できるなど保護者負担はありません。本来、義務教育とはこうあるべきものです。しかし給食費、修学旅行、移動教室費をはじめ、まだまだ私費負担は大変重いままで、さらに今後のコロナの影響は計り知れません。子どもたちがお金の心配なく教育を受けられるよう、さらなる支援の拡充をすべきです。
●少人数学級ついてです。
わが党は一貫して少人数学級を求めてきました。新型コロナによる長期の休校、学校再開後の分散登校を経て、少人数学級を求める声が全国的に広がっています。こうした中、国の来年度予算案の概算要求にも盛り込まれました。
教育委員会はこれまでも国や都に対して要望を続けてきました。しかしなかなか進まない要因はなにか、何がネックになっているのかと質問すると、「教員数、教室数の増」と答弁、つまりは「財源」が必要ということです。財源措置をし、段階的、計画的に進めていくことが重要です。
区長にその認識を問うと「行政の基本は教育」「教育委員会と連携を取りながら教育行政を進めていきたい」との答弁でした。いま全国の議会で「少人数学級実施」の意見書が可決されています。少人数学級は子どもの最善の利益、保護者の願い、教職員の働き方改革にもつながります。教育委員会、行政、議会が少人数学級実施にむけ、力を合わせるときです。
●巡回子育て発達相談について
障がい者、さらにグレーゾーンのお子さんが増える中、保育園の巡回子育て発達相談のニーズが高まっています。しかし2019年度の相談件数は1636件、前年度の2556件から920件も激減しています。その理由を問うと、2019年度は職員を1名増員し、正規職員1、会計年度任用職員4、アドバイザー1の6人体制をとったが、年度当初から1名欠員、年度途中でさらに1名欠員が出、募集しても応募がなかったとのこと。今年度当初に補充できたが途中で欠員、再度の募集で補充したとのこと。その体制で昨年度は私立園を含む54園、今年度は58園の相談対応をしていたことも明らかになりました。
私立園長会からは「非常勤職員が辞め、月1の巡回相談が昨年秋からなくなった。コロナの休園後の6月から再開されたが2か月に1回しかない。巡回相談は正規職員にしてほしい」と改善を求める声が出ています。所管は「相談は断ってはいないが頻度は落とさざるを得なかった」「児童相談所開設にあたり職員の在り方を検討する」と答弁しましたが、必要な時に相談できない、2か月もかかるのは大問題です。もともと脆弱な職員体制に加え、非正規での募集のみでは人材が集まらないのも当然です。保育園の数も増え、ニーズも増えています。チームの人数、正規職員を増やすとともに採用は正規募集にして待遇改善をしなければ職員は定着しません。つまりは区民需要に応えることはできないのです。
次に第2観点、自治体本来の役割を投げ捨て大企業と来街者のためのまちづくりや無駄な開発を進めていないかについて述べます。
●市街地再開発事業です。
区の資料によると2018年度から2020年度の3年間の再開発事業計画は6か所で、2018年度、2019年度決算、2020年度予算の総額は39憶7400万円で、決算年度の執行額は4億3千万円です。6か所の再開発事業では終了が1か所、現在建設中が1か所、都市計画決定が2か所、協議中が2か所で、財政負担は今後大幅に増加していきます。
これら再開発事業に関する区負担分は財調交付金で支払われるといいます。今、コロナ禍で財調交付金自体が減額されると言われる中、再開発事業で区に交付される金額は固定されています。コロナは今後いつ収束するのか不明であり、更に収束後の経済動向も不安定と言われる中で、多額の再開発費用を要する、このようなやり方は大問題です。
南池袋二丁目C地区の計画規模はでは53階と50階のマンション建設で、総戸数は1,500戸、事業予算は1,101億円、区内最大の再開発事業です。
そしてこの事業には、わが党は反対していますが、保健所を入れる計画となっています。ところが保健所建設費は保留床の価格が決まっていないのでわからないとの答弁です。こんな無責任な計画はありません。
さらに区長はこの間のわが党の質問に、「現在の仮保健所は独立した建物で敷地面積も広く、感染症対策に十分対応でき23区で一番、今後の健康危機事態への対処に万全を尽くしたい」と言い切っています。それであれば南池袋二丁目C地区再開発事業に保健所を合築する計画は直ちに見直すべきです。改めて見直しを強く求めるものです。
更にこの間の様々な市街地再開発事業では6割近くの区民が追い出されています。多額の税金を使い、区民を追い出す再開発事業は認められません。
●次に住民不在のまちづくりについてです。
現在、区は安心、安全なまちづくりと言って木密対策を行っています。
誰もが安心して生活ができる場所を作ることは否定しません。しかし木密対策に名を借り、マンション建設で採算を求める住民不在のまちづくりは改めるべきです。
防災公園の前の低層の住宅が並ぶ東池袋4丁目C街区では、都道81号の建設と合わせて都電の移動、2018年から造幣局の解体が始まり、防災公園建設、区道の改修、今後区道の無電柱化に合わせ、ガスや水道管の改修、そして保育園の建設のための解体や建設、大学建設等、C街区の住民はこの数年間、常に工事の騒音、振動におわれています。
この様な中で、公益財団法人東京都都市づくり公社は2018年4月突然14階建てのマンション建設計画を示し、しかも住友建設が工事説明を行いました。近隣住民から多くの怒りの声が上がりました。安心なまちづくりを行うのであれば、まず区民の要望を聞き、安心安全なまちづくりはどうするのか、区が住民とともに考えるべきことではありませんか。
都市づくり公社は都が確保した土地を受け、そこをタネ地に、家の立て建て替えができない人を救済するためとして共同住宅を建てる計画を示していますが、本当に建て替えができない人のための施策なら低層のマンションを建設すればよいこと。ところが東京都都市づくり公社は先日の意見交換会でも12階建て77戸のマンション建設計画を示し「事業である。採算をとるため」と繰り返しました。
木密地域解消というのであれば、採算を求めるやり方は間違っています。区は住民の立場に立って行うべきです。「木密解消、安心なまちづくり」をかざして住民追い出しなど絶対にすべきではありません。
●次に東アジア文化都市にかこつけて進める「東アジア文化都市まちづくり記念事業」についてです。
2019年度、23事業の投資的経費は243億6000万円です。新ホールや4つの公園とイケバス、さらには大塚駅北口のリングなどが含まれています。あとでも述べますが、これら23事業の年間のランニングコストは13億円とされてきました。
イケバスは、当初ランニングコストは運賃でまかなうとしていましたが、昨年9月の副都心委員会では1日当たり1000人超が有料で乗り、広告収入も見込むなどしてギリギリ黒字となる数字が示されました。昨年の決算委員会でわが党は、これは過大な見込みの可能性もあると指摘しました。結局、2019年度はイニシャルコストとランニングコスト合わせて総額5億316万円をつぎ込みました。そして今年度予算では総額5,900万円、そのうちランニングコストは、3599万5000円となっています。昨年度もガラガラでしたが、今年度はコロナ感染症の影響もあり、乗客は増えず、バスの運行を取りやめた等の理由で、ランニングコストとして1億5千万円の補正予算組むとの答弁がありました。つまり、現段階で今年度は2億900万円区民の税金をつぎ込むことになります。やればやるほど赤字は増えるばかりですが、区長は「今後は、乗る人は増える」と、全くやめる気はありません。
また池袋西口公園の整備事業費は30億円にまで膨れ上がりました。基本計画段階から三菱地所関連会社が関わり、本体工事は大成建設と随意契約しました。維持管理経費は平年度ベース2億3千万円で今年度はコロナによる自粛でカフェ、舞台等の収益が減り、区負担はさらに増える見込みで、区財政にさらに大きな負担を与えます。
一方、区民や園庭のない保育園の園児が日常的に使う地域の公園では、公園トイレの改修4000万円がコロナによる執行抑制事業になり先送り。谷川端緑道公園は老朽化が激しく全面改修を求めてきましたが、昨年度調査で改修が必要な37か所中8か所の改修のみ。昨年2019.12月の副都心委員会で私が指摘した、遊具交換もいまだに7か所残っています。イケバスには1億5000万円も補正予算でつぎこもうとしている一方で、身近なトイレや遊具の改修は先延ばしです。
区は「公園の役割が違う」「一度にすべての改修はできない」と繰り返しますが、まさに来街者と大企業のためのまちづくりを進め、区民需要にこたえていない典型であります。
●この項目の最後に、羽田空港新ルートについて述べます。
日本一の高密都市である豊島区上空を低空で飛行機が飛ぶ羽田空港新ルートの運用が、今年3月29日から強行されました。
区民からは「ルートや騒音など説明会で聞いていたことと違う」「直接、国から説明を聞きたい」など、怒りの声と教室型説明会を望む声がさらに大きくなっています。
これまで区長は新ルートを容認する立場をとってきましたが、区民の命と財産を守るべき行政の長として大問題です。改めて区長の認識と、区長自ら教室型説明会の開催を国へ強く求めたのに対して、「新ルートは東京の発展につながる」「理解をえられるように」という答弁でした。区民を犠牲にした発展などありえません。新ルートは白紙撤回すべきです。
次に第3に将来の財政運営に支障を来すことはないかについてです。
わが党区議団は、これまで高野区長のトップダウンによる無計画な投資事業、国際アートカルチャー都市や東アジア文化都市の名による大企業のための街づくりや投資は、将来の財政運営を左右することが必至であり、これまでも見直しを求めてきました。
高野区政は外から人を呼び込む街づくり力を入れ、池袋を中心とした大型開発、新ホールや四つの公園とイケバス、さらには大塚駅北口のリングなどを進め、多額の税金をつぎ込み、住民追い出しの市街地再開発事業や特定整備路線を進めてきました。
とくに、東アジア文化都市記念まちづくり事業は、2019年度に集中的に投資するものとしていましたが、2020年度以降も投資的経費が生じるだけでなく、ランニングコストは、年間13億円にもなってしまいました。
こうした投資による財政逼迫が起こらないのか。こうした危惧はますます深まるばかりです。
さて、本決算年度の予算編成の際、歳入にかかわる問題では、地方消費税の清算基準の見直し、法人住民税の一部国税化など不合理な税制改正や消費税増税による景気低迷も減額要素が見込まれていました。
私たち日本共産党区議団は、未来のためといって不要不急の投資事業に歳出をあてれば、将来の財政運営にも大きな影響をもたらすことは必至であり、くわえて、以前のようなリーマンショックのようなことが起きたら取り返しのつかないとも指摘してきました。
今回の新型コロナ禍による経済の落ち込みによる歳入の減収は、区長も認めているように予想をはるかに超えるものとなりそうです。
まさに私たちが指摘してきた将来の財政不安が現実のものとなってきてしまったではありませんか。
区長の財政の見通しの甘さと区政を来街者のための不要不急の異常な投資事業を進めてきた責任は極めて重大ということです。
区は、決算の特徴については、先ほどのべた三点をあげていますが、これまでの財政運営に全く反省がありません。特に、「100年に一度の大変革」の集中投資を収入が上がっていた時期にやり遂げることができたと言いますが、投資つまり東アジア文化都市記念まちづくり事業は、まさに大きなお荷物になりつつあります。ところが区長は、区民が求めるものは、やろうとしないのに、ほとんど利用のないイケバスなど見直さなければならないものは見直さないことは、いま述べたとおりです。
区長は招集あいさつで、「この先、歳入は数年にわたり大きく減収が想定される一方で、感染症対策に係る歳出圧力は、形を変えながら、当面の間続くと予想されます」「これまでの右肩上がりの歳入を前提とした予算編成ではなく『入るをはかりて出るを制す』といった財政規律に基づいた厳格な財政運営がこれまで以上に求められるのです」としています。
審査で、副区長は、時代に見合った見直しを進めていくといいましたが、過去には、財政難を口実にした聖域ない区民サービスの切り捨てをすすめ、スクラップアンドビルドといって区民にとつて必要な事業も削ってきたではありませんか。
区の財政運営というのは、その時々の歳入環境や将来の見通しを見据え、リーマンショックとかコロナ禍といったように誰もが想定しないことが起きた時でも区民に犠牲を強いるような財政運営をしてはならないということです。
本決算は、こうした将来の財政運営において支障をきたすものであり容認できません。
以上のことから、第1に区民需要に応えることを最優先にしたものになっていない、第2に自治体本来の役割を投げ捨て大企業と来街者のためのまちづくりや無駄な開発を進めている。第3に将来の財政運営に支障を来すことになる。
よって一般会計決算の認定に反対するものです。
続いて【3特別会計】について述べます。
●国保についてです。
コロナ禍で国は保険料の減免制度を実施しています。本区では9月末現在、減免世帯数は2433世帯で、そのうち全額免除は2177世帯、89%となっています。高い保険料は毎年上がり、更に消費税が10%になり、今度はコロナで無職になるか、大幅な収入減など区民の生活は本当に大変です。ところが区は過去の滞納分は継続としており、これでは払えないのは明らかです。
2019年6月の滞納世帯割合は23区中20位です。ところが短期証発行世帯数、資格証発行世帯数はともに23区中4位で、いかに豊島区が区民に厳しいかです。
そして決算年度2019年度の差し押さえ件数は768件にもなっています。委員会でも発言しましたが、差し押さえで手持ち金300円という人が相談に来られました。差し押さえをするにしても生活費は保障することが原則です。本当にひどいやり方です。
わが党は2019年3月 均等割の免除制度の創設を議案提案しましたが否決されました。保険料の上がり幅を抑えるために国保料の据え置きを実施した場合7256万円で実現できます。しかしこれも実現しませんでした。
●介護保険についてです
コロナ対策での保険料減免は135件です。
この間、介護保険には総合支援事業が導入され、特養入所者対象を介護1から3以上に引き上げ、利用者負担は応益1割から2割、3割負担を導入してきました。さらに補足給付の改悪を行うなど制度全般が改悪され続けています。
来年度からは8期事業計画になりますが、国は「ケアプランの有料化等新たな負担増を検討」と報道されています。この点を確認すると、区は「今まで通りに対応する」との答弁がありました。利用料の引き上げや、給付の削減は絶対にすべきではありません。
また選択的介護は今年度でモデル事業が終了しますが、2019年度末の利用者は36件です。区は「利用者は少しずつ増加」としていますが、大きな伸びはありません。我が党は「選択的介護は介護の有料化への道づくり」として反対してきました。本来、必要な介護は介護保険で給付すべきです。
●後期高齢者医療についてです。
審議の中で、区は直近3年間の滞納者数は横ばいだが、滞納額と一人当たり滞納額は増えていると答弁しました。しかしそれは、これまであった均等割りについて国の保険料軽減特例が廃止されたのが大きな要因です。
加えて、本決算年度は差し押さえ件数が、前年度の17件から24件に増え、過去最大になっています。そもそも保険料が払えず滞納になるのは、「普通徴収」の人です。月に1万5千円程度の年金か無年金などの低所得者が多いのです。年金は毎年減り続けるのに、保険料が上がる、軽減特例がなくなる、消費税も上がるなど、高齢者の生活は苦しくなる一方なのに、差し押さえをされたらそれこそ死活問題、差し押さえなど、もってのほかです。
区は差し押さえは督促状を送付し十分な納付相談をしても応じていただけない場合といいますが、精神的にも肉体的にもなかなか相談にいけない高齢者の実情を直視していません。督促状を送りつけるだけでなく、高齢者に寄り添ったきめ細やかな対応が求められているのです。
以上のことから、3特別会計決算の認定に反対いたします。
以上で討論をおわります。ご静聴ありがとうございました。