私は日本共産党豊島区議団を代表してただいま議題とされております、議員提出議案第4号、「あらゆる性暴力の根絶を目指す決議」について、可決に賛成の立場から討論を行います。
「性暴力」はその被害の深刻さから「魂の殺人」とも呼ばれています。
今月(3月)12日、愛知県内で当時19歳の娘に性的暴行を加えたとして、準強制性交等罪に問われた父親が被告の控訴審判決が名古屋高裁でありました。高裁は一審無罪判決を破棄し、一審の求刑どおり懲役10年を言い渡しました。
昨年3月の一審判決は、同時期に相次いだ性被害事件の無罪判決の一つです。全国で性暴力に抗議するフラワーデモが広がるきっかけになりました。
現在22歳の被害女性のコメントとして、「やっと少しほっとできる気持ちです。フラワーデモなどの活動を見聞きすると、私の訴えは意味があったと思う」と報道がされました。
翌3月13日付、東京新聞に被害女性のコメント全文が掲載され、私も全文を読みました。被害女性の深い傷と苦しみの凄まじさに言葉を失いました。ぜひこの場にいる皆さん、特に議員の皆さん全員に読んでいただきたい。
被害女性の「とても怖くてじっと耐え続けるしかなった」「感情もなくなってまるで人形のようでした」「信じてもらえないつらさをこれから救いを求めてくる子どもたちに味わってほしくありません」という言葉から、性被害の実態が浮き彫りとなっています。
内閣府の「男女間における暴力に関する調査」で示される通り、性暴力被害者の6割が「どこにも、誰にも、相談しなかった」と答え、苦しみを一人で抱え込んでいる実態があります。警察に相談した人は3%で、ほとんどの加害者が野放しとなっています。
「性犯罪は加害者が悪い」「被害者は悪くない」「相談を」というメッセージを大きく打ち出し、相談体制を充実させ、被害者へのケアを十分に行うとともに、潜在化を防ぐ対策も強化しなければなりません。
しかし性暴力やセクハラ被害を告発した女性への攻撃、バッシングなど許しがたいことが起きています。勇気をもって声をあげた人を決して孤立させず、また、声をあげられずに苦しんでいる人たちの痛みを自分の痛みとして、ともにたたかうことが重要です。
このような「性暴力の根絶」の視点からも、今年はジェンダー平等への重要な節目の年といえます。
国連は今年の3月8日の女性デーを「ジェンダー平等達成、すべての女性と少女に人権を保障する世界的な運動を起こす好機」「要の年」にと呼びかけました。いま、女性だけでなく男性、すべての人が声を上げ社会を変える運動が、世界でも日本でも大きなうねりとなっています。
しかし2019年の日本のジェンダーギャップ指数は153カ国中121位で、G7の中では最下位、世界でも際立つ「ジェンダー平等後進国」です。
わが党は、戦前から男女同権をかかげ、戦後も賃金格差や職場での差別をなくすために、市民とともにたたかってきました。2019年の参院選重点政策において、「個人の尊厳とジェンダー平等の実現、性暴力被害者支援の拡充と刑法の抜本改正」を公約にかかげました。
そして2020年1月、16年ぶりに一部改訂した党綱領に「ジェンダー平等社会をつくる」と明記しました。ジェンダー平等社会をつくるとは、あらゆる分野で真の「男女平等」を求めるとともに、さらにすすんで「男性も女性も、多様な性をもつ人々も、差別なく、平等に尊厳をもち、自らの力を存分に発揮できる社会をめざすということであります。
国連で2015年に採択された「持続可能な開発目標」でも、ジェンダー平等は目標の一つに掲げられ、すべての目標に「ジェンダー視点」がすえられました。
世界でも日本でも「#Me To」「#With You」などを合言葉に、性暴力をなくし、性の多様性を認め合い、性的思考と性自認を理由とする差別をなくし、誰もが尊厳をもって生きることができる社会を求める運動が広がっていることは、人類の歴史的進歩を象徴する出来事です。
昨年2019年12月18日、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBSワシントン支局長から性的暴行を受けたとして損害賠償を求めた民事訴訟では、東京地裁は伊藤さん勝訴の判決を言い渡しました。
この判決は民事裁判とはいえ、これまでの性被害裁判の「強姦神話」と「名誉棄損」に画期的な判断をしたもので、性暴力根絶運動に弾みをつけるものでした。
今回、本決議が提案されるきっかけは、豊島区議会議員名で、昨年末、性被害女性の人権を踏みにじる発言がネット上で発信、拡散されたことです。私自身は、勇気をもって声を上げた方の人権を踏みにじることはあってはならない、二重被害となることに激しい怒りを感じています。
その後、ネット上で様々な反応があったとともに、区民相談課や区議会事務局へも50件を超えるの意見、苦情等が寄せられ、先月2月12日の議員協議会で当該議員から発言がありました。
改めてこの時期をとらえ、豊島区議会として、性暴力を許さないとともに、二重被害ともいえるセカンドレイプを許さないこと、つまり「あらゆる性暴力の根絶を目指す」ことを明確に示す必要があります。
昨日(3/16)行われた正副幹事長会では、本決議の提案に、自民党、公明党、都民ファーストの会・民主の会派から、いずれも「のれない」という発言があったと聞いております。
豊島区は2013年第1回定例会で、家庭内や親密な間柄で起きる虐待や暴力のないまちをめざし、全国初の都市宣言として、「虐待と暴力のないまちづくり宣言」を全会派一致で採択しました。
これまで述べてきたように、世界的な規模での「#Me Too」「#With You」運動、日本全国に広がった「フラワーデモ」など、「性暴力の根絶を目指す運動」とその成果は劇的な進化を見せているのです。
これらこの間の経過を踏まえ、先駆的な役割を果たしてきた豊島区であるからこそ、今こそ豊島区議会として全会一致で「あらゆる性暴力を絶対に許さない」という姿勢を示すことが重要であります。
ぜひ、すべての議員のご賛同を得て、議員提出議案第4号、「あらゆる性暴力の根絶を目指す決議」を可決することを強く求め、私の賛成討論を終わります。ご清聴、ありがとうございました。