HOME主な活動カテゴリ一般質問第1回定例会/一般質問 小林ひろみ 「区民の生存権を守るために区がやるべきこと」
一般質問
第1回定例会/一般質問 小林ひろみ 「区民の生存権を守るために区がやるべきこと」
2022.02.17

 私は、日本共産党豊島区議団を代表し「区民の生存権を守るために区がやるべきこと」と題し、

  1. 低所得者への支援策
  2. 高齢者・障害者世帯への支援策 
  3. その他として、国民健康保険制度

の3点について質問します。

 年末年始を含め、各地で行われた食料支援や相談会には多くの方が並びました。2月5日の衆院予算委員会参考人質疑で、反貧困ネットワークの瀬戸大作事務局長は、困窮者などへの支援活動を通じて、「コロナで貧困の底が抜けたような状態だ」と指摘。公的住宅の拡充、生活保護の適切な受給、求職者支援制度の弾力運用などを求めました。総選挙後、自公政府が行った「経済対策」のうち、個人向けの10万円の給付金の対象は非課税世帯または家計急変で非課税相当に限られ、年収200万円以下のいわゆるワーキングプアには届きません。

 先日相談に来た70代後半の女性は、年金のみ月14万円程度、介護保険料などを引かれると手取りは月12万円余り、家賃3万5000円の風呂なしのアパートに住んでいます。大家さんから来年5月で更新はしないといわれ、相談に来ました。年間168万円の年金だと、住民税課税世帯となり、今回の10万円の給付金の対象になりません。

 また、40代の男性は、2020年4月から運輸関係のパートの仕事に就くことができましたが、緊急事態宣言で休業状態、しばらくは雇用調整交付金による休業補償がありましたが、それも減らされるなか、アパートの更新があり、緊急小口資金10万円を借りました。今月は手取り月10万円程度となり障害年金月6万5000円があっても生活はギリギリです。21年度が住民税非課税のため、10万円の給付金はもらえることになりましたが、今後も仕事が安定的に入るのかわからず、不安な日々を過ごしています。

 これらは、これまでも認識されていた問題が新型コロナウィルスのパンデミックでより一層顕著になってきた問題です。

 そこで質問します。

 区長は、こうしたコロナ禍でいっそう区民の困窮した現状についてどう認識し、また「公助」として救済しようとする気があるのかお答えください。

 豊島区は、来年度予算で、コロナ対策、SDGsとアトカル、DX、池袋の都市再生をうたっていますが、困窮した人々、苦しんでいる人に対する施策が不足しています。そこで、直ちにやるべき低所得者への施策について大きく三点伺います。

 一点目は、豊島区独自の給付金の実施についてです。

 住民税非課税世帯の目安は、単身世帯で、給与所得なら年間100万円、月83000円、年金収入のみなら年間155万円、月約13万円です。足立区は22年度世帯所得が200万円以下で住民税の課税対象世帯に区独自で10万円を給付することになりました。新型コロナウイルス禍で経済的に厳しい世帯に向けた国の臨時特別給付金の対象外となる世帯を支援するためとのことです。

 そこで質問します。

 豊島区でも、住民税課税であっても年収200万円以下など低所得の区民に対し区独自の給付金を実施すべきです。答弁ください。

 二点目は住宅対策です。

 これまでも何度も指摘してきましたが、豊島区は家賃が高く生活費を圧迫しています。先日相談に来たご夫婦は、「何度都営住宅を申し込んでもあたらない」といい、「東京都は、来年度も都営住宅の新規建設はやらない」と説明すると本当に怒っていました。

 わが党は「住まいは人権」との立場から公営住宅の増設や家賃補助制度の拡充などくり返し議会で求めてきました。「家賃さえ下がれば、生活保護を利用しなくてもすむ」「二階に住んでいるが、年をとつて足が悪くなり1階に住みたい」「建て替えで大家から立ち退きを迫られている」などの声をこれまでも届けてきたのです。しかし、区は、「公営住宅はつくらない」「民間の空き家活用を進める」としてきました。昨年第四回定例会でも清水議員の質問に区は「未利用の民間賃貸住宅が多数存在している」「高齢者など住宅確保要配慮者への支援にあたっては、新たな公営住宅の建設ではなく、民間賃貸住宅のストックを有効に活用して、対策を講じていく方針にかわりはない」と答弁しています。

 そこで質問します。

 22年度予算でも「民間賃貸住宅のストックを活用した」対策と思われる「住宅確保要配慮者賃貸住宅促進事業」はわずか9戸分の予算増、それも「空き家」ではなく現在住んでいる住宅であっても家賃助成をするものを含めてと聞いています。また、民間の空き家を利用すると思われる安心住まい提供事業用の住宅も増えていません。

 未利用の民間賃貸住宅が多数あっても、家賃は下がらず、低所得の区民は高い家賃をがまんして払うか、都営住宅や安いアパートにはいるために区外へ転出するしかありません。これでは、区民を追い出しているのも同然です。区長にそういう認識はありますか。答弁ください。

 改めて、区が責任をもって建設する公営住宅増設と思い切った家賃補助にふみきるべきです。答弁ください。

 三点目は生活保護制度についてです。

 昨年の第三回定例会で私は、生活保護を受けたくても受けられない人たち、制度のはざまに落ちてしまう人たちがいることについての区としてどう受け止めているか、を伺いました。その時に、大学生が生活保護を受けられないことについても取り上げたところです。本来、必要な制度を豊島区として独自に作っていくことが必要と考えます。

 横須賀市は、保護者から虐待を受けて避難している大学生らに対し、2022年度から生活保護と同程度の金額を支給する独自制度を設けることにしたこと、また1月28日には生活保護制度の運用改善を国に求めたことが報道されました。

 豊島区は2023年2月から児童相談所を開設することになっています。厚生労働省は児童養護施設で暮らす子どもや若者について、自立支援の年齢制限を撤廃する方針を決めました。これまで問題になっていた18歳以上の若年層への支援が一歩すすむことが期待されています。しかし、虐待をうけていたが18歳になって自分で自立した人、また大学生、専門学校生には利用できる施策が少なすぎます。現在行われている大学生向けの10万円支援金も、一時的なものであり根本的な解決とはならないのです。

 そこで、質問します。豊島区でも、大学生や専門学校生について横須賀市のような支援できる制度を検討すべきです。いかがですか。

 また、そもそも、大学や専門学校の学費が高すぎます。豊島区として給付制の奨学金を創設すべきです。答弁ください。

生活保護制度の二つ目に住宅扶助についてです。

 コロナで仕事を失い、夫婦二人で生活保護を利用することになったAさん、家賃が基準より高いので転宅の指導をされています。しかし、家賃の基準は二人世帯で64千円、区内でも家賃の安いといわれる長崎でも「ワンルーム」でも7万円はします。

 単身世帯の53700円の基準も厳しいものです。区からは風呂付をといわれ、15㎡以下だと43000円しかでないため、その基準で探すと豊島区内には見つかりません。かつては、単身でも高齢者は特別基準69800円で認められていました。2015年7月から「障害者で車いすが必要な人」などと基準を厳しくしてしまったのです。

 そこで質問します。

 生活保護の住宅扶助基準の引きあげを国や東京都に対し要望すべきです。いかがですか。また、豊島区独自の住宅扶助を創設すべきです。答弁ください。

 

 生活保護の三つ目は、生活保護を利用しやすいものにするための提案です。

 日本の生活保護捕捉率 は2割と諸外国と比べ著しく低く、その理由は、生活保護は恥との意識や制度が正確に知らされていないこと、役所の窓口に行っても間違った説明で追い返される「水際作戦」が横行していることなどが指摘されてきました。

 新型コロナ拡大を受けて生活保護制度の運用が改善されてきた面があります。ビジネスホテルを活用した支援は、これまでの住所不定者は「個室でない宿泊施設の入所を前提」とするやり方を変えるもので、コロナ後もこれを継続させるべきです。また扶養照会によって家族に知られたくない、という人も多く、厚生労働省は扶養照会をしない場合について改めて通達をだしました。豊島区長は「困ったときには、権利ですから申請してください」と答弁され、わが党の指摘後に豊島区ホームページにも「生活保護の申請は国民の権利です。」「ためらわずに申請を」と記載されるようになりました。

 現在豊島区には、生活保護を申請された方向けの「生活保護のしおり」と一般向けの「生活保護Q&A」があります。わが党は、毎年の予算要望で、「保護申請用紙を窓口の見えるところに置き、保護申請は無条件にこれを受理し、区民の申請権を侵害しないこと。また速やかに決定、支給すること」を要望してきました。しかし、生活福祉課・西部生活福祉課には申請用紙どころか、「生活保護Q&A」もありません。あるのは、就職案内や就労支援制度をはじめとする生活保護以外の施策の案内ばかりです。昨年夏、野洲市や札幌市が、新型コロナ感染症拡大などで暮らし向きが困窮している人に対し、生活保護の利用を呼び掛けるポスターを作ったことが話題になりました。こういった目に見える形での「宣伝」「意識改革」が必要です。

 そこで質問します。

 豊島区でも、「生活保護は国民の権利です」とのポスターを作製すること、また、生活福祉課などにポスターを貼り、「Q&A」や申請書を見えるところに配置すべきです。いかがですか。また、デジタルサイネージなども使い、「生活保護は国民の権利です」と周知・宣伝することを求めます。

 生活保護制度についての最後の質問は職員についてです。 

 22年度予算の新規・拡充事業として、生活福祉課・西部生活福祉課で「正規職員が中途で欠員の時に、会計年度任用職員を採用する」経費が計上されました。 

 豊島区は、ケースワークの仕事は、正規職員で行ってきたのです。ケースワーカーの仕事は、一人一人の生活にかかわることであり、一年更新の会計年度任用職員で対応するのはふさわしくないと考えます。ここ数年、年度途中で職員の退職や休職で、ケースワーカー一人80人という基準を守れなくなっています。区は、年度当初は一人当たり80人になっているとしていますが、それは相談員を含めての数字であり、実際のワーカー一人当たり件数は当初から80件を超えています。ここを改善すべきです。

 そこで質問します。

 年度当初より、相談員を除くケースワーカーの担当件数を一人80件とするような職員配置をすべきです。いかがですか。1年更新の会計年度職員をあてにするような職員体制にすべきではありません。答弁ください。

 大きな二つ目の質問、高齢者・障がい者世帯の支援についてです。 

 その第一は、障がい者のグループホームの増設についてです。

 40代の知的障害の息子をもつ80代の母親から、相談がありました。「息子が一人で散歩にいって骨折して入院をした、こんな大けがは初めてのことで、自分も高齢となり、改めて今後のこと、親亡きあとのことが心配になった」ということです。そして、「入所できるniima(ニーマ)のような施設がもっと増えてほしい」「早く作ってほしい」と言っていました。実際にすみなれた地域で高齢者や障がい者が暮らしていくには、ショートステイやグループホームも含めた施設とそこで働く職員の体制を整える、そのための「公助」が必要なのです。昨年3月の予算委員会で障がい者グループホームについての渡辺くみ子議員の質問に理事者は「近い将来、あまり遠くない将来実現したいというふうに考えてございます」と答弁していました。しかし、22年度予算では具体的な計画は盛り込まれていません。

 そこで質問します。

 未来戦略推進プランでは、障害者福祉基盤等整備費助成事業は、「整備計画が具体化した段階で予算化する」として2022年度も予算計上はされませんでした。一向に進んでいません。一体いつになったら着手するのか、お答えください。

 高齢者・障害者世帯の支援の二つ目は、精神障害者についてです。

 新型コロナ感染症拡大の不安で統合失調症など精神障害が悪化する人もいます。

 池袋保健所も長崎健康相談所も、新規拡充としてとりあげられるのは女性や子どもの分野が多く、これはこれで必要ですが、一方で精神障がい者への対応がおろそかになってはなりません。新型コロナ感染症で保健師の重要性が認識されてきましたが、まだまだ不十分です。保健師の地域担当制はかろうじて残っていますが、担当範囲も広く、その対応は大変です。地域担当制を実効性のあるものにするためにも、せめて二人体制になるようにしていくべきです。いかがですか。

 大きな三つ目の質問は、国民健康保険制度についてです。

 国民健康保険料が高すぎるということは、何度も指摘してきました。来年度保険料については、昨日2月16日の区長会で決定し、明日18日の豊島区国民健康保険運営協議会を経て、28日に開催予定の臨時議会に、改正条例案が上程されることになっています。昨年末23区特別区長会は、国や東京都に対し、コロナ感染症という特殊な事情が保険料を引き上げていると推察されることから、財政支援を求める要望書を提出。豊島区議会でも9日の本会議で、国や東京都に対し財政支援を求める意見書を全会一致で可決したところです。

 22年度の保険料については、就学前の子どもの均等割を二分の一にすることになりました。特別区長会では、国に対し子どもの均等割の軽減についてさらに拡大することを求めていますが、当然です。

 まずは、23区独自にでも子どもの均等割りについて軽減割合の引き上げや対象年齢の18歳までの拡充を実施すべきですが、いかがですか。

 また、保険料が毎年のように引き上げられる要因の一つは、国が「法定外繰入の解消」をおしつけているからです。わが党は、これまでも法定外繰入の解消については反対してきましたが、とりわけ新型コロナ感染症拡大で区民が困窮している中では、法定外繰入の解消ではなく、思い切った財政投入で保険料を引き下げることと考えます。区長の見解を求めます。

 また、23区の区長会で値上の決定がされたとしても、豊島区独自に補助をして値上しないようにすべきです。答弁ください。 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

関連タグ:なし