私は日本共産党区議団を代表し、「区民の権利が尊重され住み続けられる豊島区に」と題し、
- 個人情報保護
- 生活保護制度
- 住宅政策
- その他 として介護職員宿舎借上げ支援事業 以上四点について質問します。
第一に、個人情報保護についてです
デジタル関連法が昨年9月1日に施行され、強力なデジタル庁が発足しました。デジタル関連法が目指すのは行政機関などが保有する個人情報を企業が儲けのために利活用する仕組みづくりにほかなりません。匿名加工情報制度による個人情報の「利活用」が地方自治体へ拡大されました。さらに、自治体が独自に制定してきた個人情報保護条例はリセットし、全国共通のルールを設定した上で、地方自治体独自の保護措置を法の範囲で最小限にするとなりました。マイナンバーカードでは地方自治体と国の機関がもつ情報が関連付けられます。デジタル化は真に区民のくらしに役立つために使われるなら否定しませんが、この間、リクナビの内定辞退率販売やラインの個人情報漏洩などが起きています。インターネット上のプライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権であり、どんな自己情報が集められているかを知り、不当に使われないようにする権利、「自己情報コントロール権」、「情報の自己決定権」を保障することが今こそ必要です。EUでは「一般データ保護規則」で厳格な個人情報保護法制を定め、忘れられる権利、プロファイリングなど規定をしています。
まず、デジタル関連法で、これまで自治体が果たして来た個人情報保護の役割が削られている点について伺います。デジタル関連法で、自治体の個人情報保護条例は「独自の保護措置を最小限で許容する」とされ、電子計算機の結合、電算処理、目的外利用、外部提供、委託業務などを審議会への諮問を要件とする条例は定めてはならないとなっています。これまでは、個人情報をどう守るか、などを公募区民や有識者も入った審議会で審議し公開してきましたが、これがなくなるわけで、まさに地方自治の「住民自治」を投げ捨てるものです。4月にだされたガイドラインでは、条例で決めることができるとされた「要配慮個人情報」についても、法に基づく規律を超えられないなど制限がかけられました。
5月19日の豊島区行政情報公開・個人情報保護審議会(以下「個人情報保護審議会」とします。)では、今後、豊島区としては個人情報の保護に関する条例は廃止し、改正法に基づく法施行条例を制定する、個人情報保護審議会は現行条例を廃止し法施行条例に併せて規定し委員構成については改正法の趣旨を踏まえ設定する、豊島区の個人情報の運用ルールの策定をする、法施行条例の制定及び運用ルールの策定のため学識経験者による検討を設置する、そして第四回定例会には、「法施行条例(含む運用ルール)等」を上程すると報告されました。
この日の個人情報保護審議会では、「オンラインによる証明書の申請並びに転出届け出にかかる電子計算機の結合の申請」 (スマホによる税証明、住民票、戸籍、印鑑証明の申請など )の諮問があり、私は反対しました。これは行政が使っているLG=WAN回線を民間企業と結合、アプリを使ってスマホで申請ができ、豊島区が郵送で証明書を本人の自宅に送付するというものです。結合相手先は株式会社グラファー、この事業所しかないため、「随意契約」との説明がありました。業務委託ではなく利用申込とのことで、参考に約款が添付されておりましたが、「申請にかかる住民の手続が完了することについていかなる保障も行っておらず、その手続きか完了しなかったとしても一切の責任はおわないものとします」となっていました。ほかに選択肢がないというこちらにとっては不利な条件とは言え、ひどすぎます。他の委員からも、「お客様(つまり自治体)に通知することなく本サービスの内容を変更できる、ただしお客様や住民に重大な影響を及ぼす変更については1週間前に通知」となっていること、個人情報の取扱いや利用の同意について質疑がありました。いやなら使わなければよいといっても、このような仕組みになっていることをすべて理解して納得して使う人ばかりでなく、「行政が使っているから安心だ」と思う方も多いと想定されます。今後、このような事案が個人情報保護審議会で審査することもなく、進められることになります。
そこで、質問します。このような法制度やガイドラインの下では、自治体としてできる役割がなくなります。このような改悪は地方自治体のはたしてきた個人情報保護の役割を奪い、自治体の持つ膨大な個人情報を民間に放出するためのものです。区長の認識を伺います。
このままでは、区民の個人情報は守れません。行政の匿名加工情報制度をやめさせること、形式的になっている「本人同意」の見直し、保護される個人情報の拡大、インターネット上に残る個人のデータの削除や利用停止といったー忘れられる権利、「プロファイリング」規定の明記など法改正が必要と考えます。いかがでしょうか。
二つ目に情報連携について、二点うかがいます。
一つ目はマイナンバーカードの利用についてです。政府はマイナンバーは一元管理ではない、芋づる式に漏洩することはないと説明しています。しかし、マイナンバーカードを使ってマイナポータルを入り口にした情報連携によって行政的にデータを集積することになっています。さらに、現在、健康保険証をマイナンバーカードのみにするとの議論もされています。国民皆保険制度の中、保険証をもたないわけにはいきません。マイナンバーカードは任意だと言いながら、持たなければ必要な医療が受けられないということは、強制と同じになります。この間、マイナポイントなどの「特典」をつけ、多額の税金を使い取得を進めてきたことに加え、事実上の強制となる健康保険証をマイナンバーカードとするなど、国民にマイナンバーカードを押し付けるのはやめるべきと考えますがいかがですか。
また、政府は健康・医療・介護や教育・こども分野のデータ連携・活用を進めようとしています。今回特に強調したいのは子どもにかかわるデータについてです。国会で審議中のこども家庭庁設置法案等は「子どもの権利条約」の文言も子どもコミッショナーもないものであり、わが党は反対しています。この法案の中で政府が設置を目指す「こども家庭庁」での重要プロジェクトに位置付けられているのが、「データ連携」です。データ連携とは、子ども一人ひとりの成績や学力テスト、学校の出欠状況などの教育上のデータ(個人情報)や、生活保護や児童扶養手当の受給歴など福祉のデータを連携させてデータベースをつくり、「真に支援が必要な子どもや家庭」を見つけ出し「プッシュ型支援」を行うというものです。しかし、生まれた時から子どもの個人情報が集積され、本人の不利益な情報がデジタルタトゥー(ネット上に消せずに残る負の情報)として将来にわたり影響を及ぼしかねないものです。こんなことが記録され、一生ついてまわるとしたら、「やめてほしい」と思うのでありませんか。
6月2日、日本共産党田村智子参議院議員がデータ連携の問題点を質問、実際に英国では子どもデータベースがソーシャルワーカーの役割を監視に変えて当事者との信頼関係を損なったと批判され、全国規模のデータベースが廃止されたと指摘しました。また、子どもに関わるデータの活用を子どもの議論や合意もなく進めていること自体問題だと強調しました。
そこで質問します。
豊島区は、子どもの権利に関する条例を持っています。「子どもの権利保障の立場」からみて、子どもの個人情報のこのような取扱いには問題があると考えますが、区の見解を求めます。
第二に 生活保護制度について質問します。
5月25日、生活保護基準引き下げ処分の取り消しを求めた通称「いのちのとりで裁判」について熊本地裁で勝訴判決が出ました。判決では、引き下げを決めた厚労大臣の判断は「統計等の客観的数値との合理的関連性や専門的知見等との整合性を欠いている点で過誤、欠落がある」と認定し、厚労大臣は「裁量権を逸脱または濫用した」と批判しました。裁判の対象となっているのは2013年5月の生活保護基準の減額改定です。その後も、2015年には住宅扶助や冬季加算の削減、加えて2018年から3年間でさらに引き下げが行われました。今、物価高騰は水光熱費や食料品など生活必需品で大きくなっています。また、生活保護費の基準額は、就学援助など暮らしの多くの制度に連動しています。
そこで質問します.
生活保護費の減額によって、多くの利用者は苦境に立たされました。食費を削り、旅行もいけない、冠婚葬祭といったお付き合いができなくなる、まさに健康で文化的な最低限度の生活を国民に保障する憲法25条に基づく生活保護制度の土台を掘り崩した政府の責任は重大です。現在、物価高で多くの人が悲鳴を上げています。生活保護利用者からも「この先さらに値上げが進めば、生活できなくなる」と不安な声が上がっています。
国に対し、生活保護基準額を引き下げ前の水準に直ちに戻すよう求めるべきです。また、電気代が心配でクーラーはあっても使わない、という人が高齢者には多いです。今年の夏は猛暑ともいわれています。区として生活保護費に夏季加算を行うことを求めます。
あわせて、高齢者、障がい者、ひとり親家庭などに対するエアコン設置費用の助成や電気代補助をすべきです。いかがですか。
私は、今年第一回定例会で生活保護制度の改善について質問しましたが、その中で生活保護制度の周知について、再度とりあげます。
「生活保護の申請は権利です」とのポスターを作る自治体がふえています。中野区ではポスターを作成するだけでなく、「生活保護のしおり」には、制度利用を阻んでいる「扶養照会」について、厚労省通知や東京都の通知に沿って、「それぞれの事情により、『扶養義務の履行が期待できない」と判断される場合などにも、基本的に福祉事務所から直接の照会を行わないこととされています。』と記載されています。豊島区でも「Q&A」「生活保護のしおり」での記載の改善を求めます。
さらに、第一回定例会答弁では周知の方法について「広報としまで毎年定期的にお知らせしており、他の媒体についても検討しております」とのことでしたが、ポスターの作製はするのかどうか、ほかにもなにを検討しているのか、具体的にお答えください。
第三に住宅政策について質問します。
わが党は、安心して住み続けられる豊島区にするために、「住まいは人権」の立場で住宅施策について連続して取り上げてまいりました。昨年第三回定例会では儀武議員が、第四回定例会では清水議員が取り上げました。私は、改めて第一回定例会の一般質問と予算委員会で、区長のまちづくりが低所得者を追い出していることや、空き家がたくさんあっても民間任せでは家賃の安い住宅は供給されないことから、区が責任をもって公営住宅建設や家賃補助の抜本的に拡充すること求めました。しかし、これまでと同様、区の答弁は「公営住宅ではなく、民間のストックを活用する」「家賃補助は慎重に検討する」との答弁でした。
取り壊しによる立ち退きなどに対応する安心すまい提供事業は、豊島区独自の優れた制度です。近隣区の議員にこの制度を紹介すると「豊島区にはそんな良い制度があるのか」と大変驚かれます。一棟借り上げの物件もありますが、空き家になっているところを個別に借り上げで提供することができれば、「民間のストックを活用する」事業ともいえます。しかし、区は、現在165戸の住宅数をふやすつもりはありません。清水議員の質問に「住戸の入れ替えを含め多少の増を見込みながら新たな借上げ住戸の確保に努める」との答弁もありましたが、いまだに区が言う「地域的なバランスやバリアフリー、世帯用などニーズが高い課題に対応することはできていません。
そこで質問します。
豊島区は、答弁で「新たな公営住宅の建設ではなく民間賃貸住宅のストックを有効に活用して対策を講じていく方針」と繰り返しています。しかし、民間ストックを活用する事業である安心住まい提供事業の拡大も遅々として進んでいません。提供住宅が増えないのは、いったいどのような理由でしようか。本当に増やす気があるのかどうか、お答えください。
増やすことができないのであれば、やはり区が責任をもって公営住宅の増設や家賃補助制度の抜本的な拡充をしなければなりません。いかがですか。
住宅政策の二つ目に公営住宅の家賃におけるコロナ給付金等の扱いについて伺います。
新型コロナ感染が長引く中、東京都などの協力金や国の給付金などを受けた中小事業者や、フリーランスなどから「協力金や給付金が収入として算定され、都営住宅の家賃や国民健康保険料が大幅に引き上げられる」との不安の声が上がっていました。
国土交通省は「協力金や給付金など、継続的収入とすることが著しく不適当である場合がある」として、「自治体の判断で家賃への算入対象から除外できる」との認識を示しました。日本共産党山添拓参議院議員と日本共産党都議団の聞き取りで4月6日、明らかになりました。
そこで質問します。豊島区が判断すれば、東京都などの協力金や国の給付金を算定の対象から外すことは可能です。区営住宅などの家賃に関して、「事業収入等の計算に含めないとする」べきですが、いかがか、答弁ください。
第四にその他として、介護職員宿舎借上げ支援事業についてうかがいます。
介護施設・サービスの人手不足は深刻であり、待遇改善は急務です。第一回定例会で、わが党儀武議員が、この間グループホームなど地域密着型サービスでは職員の宿舎借り上げに補助がされない問題について、22年度から東京都が要件を緩和し地域密着型サービスの場合も適用されることになったとして、豊島区が早急に制度を創設するよう求めました。区は「本区の対応は、事業内容の詳細が確認でき次第、検討する」と答弁しました。
そこで質問します。
東京都の制度改善事業内容が公表されました。直ちに制度を作り、これまで利用できなかったグループホームなど地域密着型施設でも宿舎借り上げの補助がされるようにすべきです。その際、「区市町村と災害時協定を締結し、災害時に利用者の安否確認や避難所等で介護サービスの提供等を行う事業所」については、「⑷対象入居者は災害対策上の業務に従事する職員であること」の条件があります。これでは使えない事業所や従事者が出てくることになります。作っても使えない制度では意味がありません。ぜひ豊島区として改善すべきです。答弁ください。以上で質問をおわります。ご清聴ありがとうございました。