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一般質問
第3回定例会/一般質問 儀武さとる 「気候危機を打開するために、区がやるべき課題について」
2022.09.22

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して「気候危機を打開するために、区がやるべき課題について」と題し、一般質問を行います。第一に、「2050としまゼロカーボン戦略」について 第二に、プラスチック分別収集について 第三に、災害時要援護者対策・個別避難計画について、です。区長の明快な答弁をお願いします。

第一に、「2050としまゼロカーボン戦略」について、順次質問します。

 まず、岸田首相が原発の新設を含む原発推進方針を表明したことについてです。

岸田文雄首相が8月24日、エネルギー政策を検討する政府の会議で、電力需給ひっ迫などを理由に、次世代型原発の開発・建設を検討する方針を表明しました。政府はこれまで既設原発の再稼働を推進する一方、新増設・リプレース(建て替え)は「想定していない」としてきました。新たな方針は、将来にわたり原発に依存し続ける姿勢を露骨に打ち出したものです。原発が、ひとたび事故を起こせば、住民に甚大な被害を与えることは11年前の東京電力福島第1原発の事故で明らかです。大事故の教訓を忘れ、新たな「安全神話」をつくりだす原発回帰の逆流を許してはなりません。

そこで質問します。岸田政権は昨年決定したエネルギー基本計画で、原発は「ベースロード電源」で「必要な規模を持続的に活用」するとし、2030年度の原発の電源構成比率を20~22%にすると決めました。ただ、世論の批判を意識して、新増設の明記を見送り、「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」とも記述しました。今回、この立場を完全に投げ捨てたことは重大です。原発の新規増設は認められません。区長の認識はいかがですか、お答えください。

また、豊島区の2050年目指すべき姿として、すべての区有施設で再生可能エネルギー由来の電力を使用する「2050としまゼロカーボン戦略」を根本から揺るがすものであります。次世代炉はいつまでに開発・普及できるか、見通しがありませんし、再生エネルギーへの転換を先送りするものです。原発の新規増設を撤回することを国に求めるべきです。答弁を求めます。

 次に、気候変動危機感の共有と住民参加で「気候区民会議」の設置することについて、です。

昨年の地球温暖化対策推進法の改正により、各自治体で温室効果ガス削減計画の策定が迫られています。本区は2021年2月、気候変動地球温暖化に対応するため、23区で三番目になるゼロカーボンシティを宣言し、環境政策をさらに推進するために「2050としまゼロカーボン戦略」を策定しました。この戦略では、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロをめざし、2030年度の温室効果ガス排出量削減目標を2013年度比50%削減まで引き上げることにしています。

 戦略の構成は、区、区民、事業者の取り組みを明記し、オールとしまでゼロカーボンを推進し、「2050としまゼロカーボン戦略」実現するために、アクション1環境に優しいエネルギーの利用促進と省エネルギー化の推進、アクション2未来へ向けたライフスタイルの転換、アクション3、資源循環3Rの推進、アクション4、区の率先行動、そして気候変動適応策などを推進するとしています。2030年カーボンハーフへ向けて、既存の技術や、実用化のめどが立っている技術を積極的に普及・導入することで、直ちに削減に踏み出すことが必要です。

今、世界でも、国内でも気候危機打開のために青年が行動に立ち上がっています。温暖化に危機感をもち、産業革命前と比べて地球の平均気温上昇を「1・5度以下」に抑えるためのタイムリミットを示す時計を渋谷区に置くために、ネット上で資金を集めている若者たちがいます。大企業に頼ることなくネット上で資金を集めているのは、資金集めの段階から多くの人を巻き込むことで、一人ひとりの市民の手で気候変動への意識を変えていくプロジェクトにできるから、と意義を話しています。

そこで質問します。「若者に残された時間は少ない」「未来の自分が苦しんでいる姿を想像すると眠れない」と訴え行動に立ち上がる若者たちの危機感を区長は共有できますか、区長の認識を伺います。また、ヨーロッパでは市民が直接参加し、計画や施策に反映していく「気候市民会議」が盛んですが、日本でも札幌市や川崎市で取り組まれ、都内でも武蔵野市が7月に実施しました。本区でも区民の主体性を発揮すべく「気候区民会議」を設置すべき、と考えますが、いかがですか。お答えください。

 次に、環境に優しいエネルギーの利用促進と省エネルギー化推進の具体化についてです。

具体化の一つ目に、エコ住宅・事業者普及促進事業についてです。

 東京には、建物が高度に集積しており、これらの建物関連からのCO₂排出量が都全体の排出量の7割を占めています。2050年を見据え、今後は、建物の稼働段階でCO₂排出量ゼロを実現できる性能を備えた建物を新築することが重要です。区のエコ住宅助成事業の昨年実績は、太陽光発電システム22件、断熱改修窓22件など7事業で116件です。2030年度目標は累計で1800件ですから、8年間で単純に割ると、年間225件程になり、件数を約2倍に増やさなければなりません。同様に、エコ事業者助成の昨年実績は9件、今年度予算は8件です。2030年度目標は累計で160件です。8年間で単純に割ると、年間20件程になります。エコ住宅・事業者普及促進事業の予算は、昨年と今年は、同額の1546万円です。20年度、21年度の執行率は、90%前後と高いです。区民からの問い合わせも多いと聞いています。

そこで質問します。2030年までにカーボンハーフを実現するために残された期限は、あと8年です。区長が本気で目標を達成すると言うなら、来年度予算は大幅に拡充すべきと考えますが、いかがですか。また、2030年度カーボンハーフを実現するために施策の抜本的強化と具体的な計画をお示しください。

 具体化の二つ目に、区の公共施設についてです。

新築の小中学校などには太陽光発電システムを設置していますが、既存施設にも設置が可能か調査を行い、断熱改修や太陽光発電システムの設置を計画的に拡充すべきと考えますが、いかがですか、お答えください。

これらの施策・事業を円滑に推進するために区内事業者を育成する必要があります。その為、区内事業者が施行した場合には区独自に上乗せする補助制度を創設すべきです。合わせて答弁を求めます。

次に、CO2削減と再開発についてです。

昨年の第3回定例会の一般質問で、私は、東池袋1丁目再開発事業だけでも、建物の延べ床面積は、現在の29,060㎡から約145,000㎡に、CO₂排出量は、2,349t₋CO₂/年から8,008tCO₂/年になり、CO₂排出量は約3.4倍にもなることを指摘し、コロナ禍で東京一極集中の見直しが叫ばれている中で、さらに大型再開発事業を進めるやり方は、これに逆行するものではあり、このような再開発は見直すべき、と質したところ、区は「オフィス等から排出されるCO₂総量は、従前よりも増えることになりますが、地域冷暖房設備の導入や省エネルギー化に優れた最新のオフィスに建て替わることにより、1㎡当たりのCO₂ 排出量は3分の2に低減されます。」「再開発事業を見直す予定はございません」と答弁しました。

そこで質問します。区は、1㎡当たりのCO₂ 排出量は3分の2に低減されますと言いますが、 CO₂排出量は、2,349tから8,008tになり、CO₂排出量は5659tも増えます。 CO₂排出量は総量として増えるのであります。例えば、本区は秩父市と箕輪市との連携による森林整備・カーボン・オフセット協定を締結し、頑張っていますが、2021年実績は、秩父市は年間4.5t、箕輪市は7.4tです。CO₂ 排出量が5659t増えた分をどこで削減・吸収するのですか、お答えください。

しかも、再開発事業が目白押しです。今議会の招集あいさつにもありますが、池袋丸井跡地(仮称)池袋西口プロジェクトは、地下4階、地上28階、高さ141mの建築物で、2025年竣工です。加えて南池袋Ⅽ地区の北街区は地下2階、地上52階、南街区は地下2階、地上47階も竣工が2025年です。CO₂排出量が大幅に増えることは必至です。2030年カーボンハーフに逆行することを否定できません。改めて伺います。CO₂を増加させるこのような再開発事業は見直すべきと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

第二に、プラスチック分別収集についてです。

 気候危機の問題とも重なり「プラスチックゼロ」も地球と人類の未来にとって喫緊の課題です。基本的に化石燃料使用ゼロの脱炭素社会では、石油由来のプラスチックも製造できません。そこに向け計画的に削減を進めていくことは不可欠です。

 本区の「2050としまゼロカーボン戦略」のアクション3 資源循環・3Rの推進で、2050年目指す姿として、使い捨てプラスチックの使用ゼロが実現している、としています。

豊島区はプラスチック分別収集導入検討調査を昨年7月に実施し、今年度は約120世帯を追加実施しました。

 調査の目的は、 プラスチック新分別ルール(案)に沿ってごみ・資源を排出、アンケート調査をおこない、分別状況やルールの分かりやすさ等を検証し、2023年4月 から予定しているモデル実施に反映するためです。

 私は昨年の第3回定例会の一般質問で、「全区で実施すると、分別回収の費用はいくらになると想定されるのか、人員態勢も含めてお答えください。」と質したところ、区は「現時点でお示しすることはできません」と答弁しました。

そこで質問します。プラスチックの資源化の流れとして、区は収集・運搬・選別・保管することになっています。改めてお聞きしますが、その想定費用はいくらになりますか、職員態勢も含めて、お答えください。

また、国の新たな方針のもと、住民の協力によって、ゴミの減量、資源化を進めて、燃やすごみの量を減らせば、焼却炉の建設費用、管理運営費、修繕費などを大きく削減することもできます。1999年6月に竣工した豊島清掃工場の焼却炉の能力は200tの2炉です。23年が経過し、建て替えを検討する時期になりました。第51回豊島清掃工場運営協議会の資料では、2028年から3年かけて延命化工事を行い、工場の耐用年数を40年程度に伸ばす計画となっています。将来の施設整備計画については、燃やすごみのいっそうの減量、プラ資源化を前提とした計画に抜本的に見直すことを東京23区清掃一部事務組合に求めるべきです。答弁を求めます。

第三に、災害時要援護者対策・個別避難計画についてです。

 2021年5月災害対策基本法の改正により、個別避難計画作成を市町村の努力義務化されました。区は、保健福祉部と防災危機管理課の部局を横断した組織を立ち上げ、検討をおこない、準備をすすめています。保健福祉部要援護者対策会議では、今年度の取り組み目標として、安否確認や避難の実効性を高めていくとしています。今年6月の防災震災対策調査特別員会で、私が職員態勢を確認したところ、福祉総務課の職員が日常業務と並行しながらチームの対策会議や準備を行っていることが明らかになりました。

そこで質問します。災害時要援護者対策は、防災危機管理課で数十年取り組んできましたが、遅々として進みませんでした。福祉総務課職員の各チームは、日常業務をこなしながら、計画やマニュアルの作成、介護事業者アンケートの実施、介護事業者団体の設立準備、協定内容の協議など多忙を極めています。現在の進捗状況と目標との関係で、今後の見通しをお答えください。また、これらの作業の全体管理や介護事業所団体の立ち上げや調整など、どうしても専任の職員が必要と考えます。職員態勢を抜本的に強化すべきと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

さらに、介護サービスを利用していない独居高齢者や障がい者などの災害弱者が取り残されないための施策をどのような検討がされているか、お答えください。

以上で、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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